第2話 戦禍の中
人が住む大陸こと人大陸。
その中で魔術や魔法を駆使して栄えた魔国と
科学の応用で発展した科国は敵対関係であった。
巻き込まれるのは当事者ではなく、代用の人間。コドクはその内の一人だった。
人の大陸・魔国、ヴェルサイス領。
18歳の青年コドクは今まさに命の重きを知る。
撃ち抜かれた右脚からは大量の血が流れ、
激痛と死の葛藤を前に涙が止まらない。
「とても無茶だったんだ。
貴族はパーティーの為に足止め役で僕たちを雇った。
それが1番の間違いだったんだ…」
アニミスクはおよそ10年ほど前から使われてきた
戦闘用の機械獣だが、ここ最近で研究が重なった結果、
主人の命令には忠実でなおかつ迅速に戦況を掌握し、
効率的に敵を葬ることに長けたスーパーマシンとなっていた。
「アニミスクの噂は聞いていた。
けど…こんなの強すぎる…人間が相手にしていいものじゃない…」
出血多量で眩暈がすごい。頭も痛い。破れる。破れそうだ。
その刹那に頭をよぎったのは世間への恨み節などではなく
この暴力装置への憂いと何も知らない貴族たちへの心配だった。
ユニコーンの頭を持ち、天使の翼を持つ人型ロボット、ヴァーチュズ。
そして四足で疾走する犬の頭と小型のレーザーシューターを搭載したドミネイド。
同じく四足歩行だが、猫の頭とチェーンソーの尻尾を持つファナ。
科学の王国が送り出した兵器は魔術をも超越している。
小さな茂みで気を失い掛けていた束の間、
近くからキラキラした光が見えた。
あまりの煌めきに何事かと確認すると
ドミネイドの1機がこちらを目掛けて光線放たんとしている。
「やばい!」
一言言い放つと熱光線は発射され
ホースから強圧のかかった水が出るように
辺りを薙ぎ払う。一瞬にしてその場は大火事になった。
炙り出されるように表へ飛び出たコドクだが、
まるで一部始終を知っていたかのように
ファナがテールソーを振り下ろした。
コドクは回避する。死への恐怖という
負けたらいけない何かを相手に奮戦する。
支給されたダガーで襲いかかるファナを露払いしながら
赤く染まる右脚を引きずりゆっくりと後退する。
「左脚は緊急回避のための軸足になる。
でも歩く為に必要なのはこの左脚だけ…それでも行かなきゃ」
まだ死ねない。理由は特にないが回避しなければならない。
そう思わせるには十分すぎる要素が自分以外にもあった。
「ううっ…!?」「あああ…!!」
腕が切られ、腹部を撃ち抜かれた
赤く染められた味方の断末魔は、ドラマで聞いたものより
ずっと静かで呆気なく、何よりその表現こそが
1番何が起こったのかをわかりやすく伝えてくれた。
そんな事を考えているうちに
「うう…」「ひっ…ひっ…」と死体が出来上がる音がした。
「コドク!コドクか!?」
「は…た、隊長!戦況は!?」
逃げた先で偶然ばったり会うことができた所属部隊の隊長は
全身の大半が赤く染められていた。
隊長は追ってきたファナとヴァーチュズを、
カメラ部分と思わし部分を射撃して撃退するが、
センサー感知機能が起動し、襲いかかった所を
コドクは持っていたダガーで尻尾の部分をスパッと
切り落とす。千切れたテールソーを振り回すと、
殺気で身の危険を感じたのか、ヴァーチュズは逃げ出した。
そばにあったファナの体部分は念の為に、憎悪を込めて粉々にしておいた。
「前線部隊はほぼ全滅だ。
撤退しても殿軍に影響が及ぶのみ…
伝令は通した、ここから近くの洞窟で生存者は休んでいる。
コドク、お前も来い。もう貴族どもは逃げているだろう」
「そうします…」
捨てられていた事実が確かなのかは、
ここが戦場である事を思い出した瞬間に忘れた。
貴族の兵士として雇われていた時は
ずっと仲間達と夜逃げしたいと思っていた。
兵士として訓練されている頃は
軍団はバラバラで組が分かれていた。
大人のカーストは子供ものよりも醜悪で、
暴力、金銭、権力。あらゆる物で分けられていく。
コドクは成績劣等だったから、前線行きは早めに決まった。
そのほかの連中は後続での控えなど比較的安全な
位置に就任。だが偶然かなにか…この戦争において前衛は比較的
楽な立ち位置となった。
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次回をお楽しみに♪




