第25話 治療を受ける施設は
最後の砦を突破して無事に本部に戻ったストルム。
メンバーは合計4人に増えたところで、
いよいよ魔国は作戦に本腰が入る。
最初に狙われたのは科国の重要拠点、アスタビッチ領の港だった。
転送ポイントに到達したストルム達。
本部へ戻ると早速治療が始まった。
リュシオはほぼ無傷だが、疲労による影響が大きく
出ているのでとある施設に案内する。
「スパなんてあるのね」
「まあ表向きはラグジュアリー健康ランドだからね」
「(なんだその設定…!?)」
深刻なのはストルムの方だった。
胸と背中にそれぞれ大きめの切り傷が3つ。
太ももにも大きなものが2つ程付いて、
大半が出血多量。後をつけられていてもおかしくは無いが、
雨雲で作ったインスタント集中豪雨で洗い流してから
街中へ出ているので、跡をつけられる事はなかった。
買ってきた酒とつまみを渡すとその場で崩れ落ちた。
「おらよ、俺の分は病室まで持ってきてくれや…」
「いや、そんな陰湿なことはしない。
それより良い機会だ。ひと眠り終えたら施設案内だ」
「言われてみれば…寮ぐらいあるよな?」
「コドクの分もある。個室制だが悪く思うなよ」
「今時こだわるかねえ…」
駅ビルである以上インフラとして多くの人が利用する施設。
1階部分と地下1階は鉄道駅なので歩行者天国、
しかも中心はバス専用通路と一般道が完全に別れて設置。
そこから一般とタクシー用の停車スペースが用意。
都会においてこれでもかと便利と整理を追求した駅。
そんな施設の2階層より上は世間の忙しなさなんて
微塵も感じないくらいラグジュアリーに仕上がっている。
動線が整った大都市駅みたいなビルと言えば良いのだろうか、
ブティックもある、料亭もある、ジムもある、
しかしちゃんとギルド本部には入れないように封鎖できている。
「寮は緊急時に備えてこのビルにはない。
そこの4階建の綺麗な建物がそれにあたる」
「え…あそこってグランドランクのホテルですよね?」
「一般客が使える部屋は正面側だけだ、
奥側にしか行けないように特別なエレベーターで入るんだ」
「(一般兵から信じられないくらいの昇進…!
故郷にいる隊長も招待したいくらいだ…!)」
ちなみに戦線でコドクを助けてくれた隊長は
コドクにとって唯一の理解者だった。
剣をはじめとする武器関係の覚醒者になりたいと呟く
コドクに対して、それを一切否定しなかった。
むしろ肯定してくれていた。だから厳しい訓練も
えげつない差別すらも、支えてくれる人がいるだけで
絶対に屈してはいけない、諦めてはならないと思えた。
指差した先の寮となる建物は
モダンで尚且つ芸術的な見た目の豪邸。
3つあるグレードのうち一番低いランクで一泊13万円かかる。
当然高級車かタクシー以外駐車場に泊まっていない。
耳を澄ますとたまにスポーツカーならではの
エキゾースト音が聞こえてくる時がある。
7階層は病院。
ストルムは緊急搬送された。
無論だが治療は超一級の施設と医者の元で進められる。
結果、右腕に打撲も見つかって1週間は謹慎になった。
治療を終えて戻った後に自室のテレビを付けると
そこに映っていたのは新たな依頼の幕を開けるプロローグだった。
(科国アスタビッチ寮 軍事テロ襲撃)
「うわ…何人か逝ったろうな…」
見るも無惨に爆撃された港町には様々な機械が壊されている。
消防車と救急車が入れ替わり立ち往生しており、
偶然カメラが捉えた風景の一つに、腕から流血しながら
歯ぎしりの表情のまま担架で運ばれる科国民が、
その悲惨さと事件性を物語る。
インタビューからは予想通りのメンツが
それぞれの感情を語ってくれている。
「あんまりですよ!
そもそも昨日の国会で戦争の発端が魔国側にあるのは
周知の事実!これを見てる皆さん!
悪いのは魔国です!」
「いや…もう…なんというか…
平和なんて…口でならなんとでも言えますよね。
…権力者の…退屈しのぎがこれですか…」
「子供が…まだ連絡が取れないんです
あ…ちょっとすいません……もしもし!?大丈夫!?」
戦争の形はそれぞれだが、民にばかり負担が回る。
真実を語るという大義名分をなせるならマスコミにとって、
この惨状はある意味極上のエサ。
ストルムは嫌気がさしてテレビのスイッチを消す。
ため息を吐くとディアードが入ってきた。
「なんだよ。もう24時35分だぜ。
門限とかねーのかよ」
「今日はここで一晩過ごす。
それより…新しい依頼だ。内容は魔国の物理的侵略行為を
抑止するものだ。君がキーになる」
「なあ…思ったけどさ、
俺が暴れればアイツら大人しく引くのかね」
「私個人の考えとしては…まあ、ありえないだろう。
今回撃退しても向こうは因縁と難癖をつけるだろうな」
ストルムの頭に浮いたモヤモヤとした感情が
嫌なインスピレーションを作り出していく。
今すぐにでも本丸へ殴り込みに行きたいくらいに
浮かんだ現状が妬ましい。
命の輝きのどうのこうの…
そうじゃない。ストルムが嵐を起こす時、
何故過ぎ去るだけの悪天候を選ぶのか。
唾を吐き付けられたあの日を思い出した。
「お前なんかに言われる筋はねえわ!カアッ、ペッ!」
その一言だけで起こすなら
関係のない人間は唾のひとつで死ぬのか?
自分のせいで?そんな酷い話はないだろう。
だから利権と欲望で人殺しをするヤツを
自分達知的生命体と一緒にして欲しくなかった。
屈辱だ。力ある者として、誰かが
人でなしに殺されるのは。
閲覧ありがとうございました
さて、おそらくですがここまで書いて主要メンバーの風貌が
掴みにくい、もしくは書いていないために掴めないはずです。
コドク→18歳 女の子みたいな顔立ち(俗にいう男の娘)
ストルム→人間で23歳くらい 白髪の筋肉質な大男(人間体で180センチ越え)
ディアード→ロングヘアで医者の服が似合う長身の細マッチョ
リュシオ→アラサー 体型はグラマラスの黒髪美人
です。
モチーフにした人物を書いた方が良かったかな?
次回もお楽しみに♪




