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第24話 脱出完了

立ち塞がった最後の砦は幽体(ゴースト)の覚醒者。

肉体を完全に幽霊にする能力に苦戦するが、

弱点とも言える事実に気付き突破口を開く。

出口は目の前だった。

迫り来る亡者の鎌、響く足音。

足の速さは互角でも、向こうは一才の障害物が

効かない。やがて追いつかれると、

今度こそ仕留めんとばかりに鎌を振る。


出血多量のストルムはただ立っているだけでも、

限界に近い状態だった。このままでは逃げ切れても

逃げ切れない、戦えるのなら戦いたいが

相手にすらならないだろう。


「ストルム!走れ!なんとしても切り抜けろ!」

「わーってるっての!…

クソ上司が…クククッ…」

実態を持たない相手に何もできないから逃げる。

正しいがある意味認め難い現実だ。

そもそも戦う時のことばかり考えていたから、

トリックや超能力なんて考えてもみなかった。


人であって幽霊にあらず、

されど幽霊であって人である。思いつく限りのワード、

消える、浮き出る、繰り返す…

後は詰める、斬る、消える。

なにか無いのだろうか、全てを無視する常識と似た物は


「あ…ストルムさんの能力って

物理的にしか効かないんでしたっけ?。

「まあな。さっき試しに気圧入りの正拳突きカマしたけど、

これもすり抜けられた」

「それです!つまり透明化していないと攻撃は当てれない!

 なら実態は人間になった時に現れる…」

「んな事いまさら…」

ストルムは少し考えたが今いるメンバーなら

あることができると分かった。


攻撃が当てられると自信を持って鎌を振るうのなら、

攻撃を当てられない時は自分の位置を悟られないようにしている。

なら単純に自分達の姿を掴ませなければいい。

そして今、気圧の変動だけで出せない物が一つ思い浮かんだ。

霧だ。雲でも良いが、あたり一面に欲しい。

轟嵐(ディザストーム)で出す物には範囲(レンジ)に限りがある。


「おいアンタ、今ここで火を出せるよな?」

「よく分かったわね。出せるわよ。

でも焼くものがないと無理だわ」

「これは焼けるかい?」

リュシオが何かを察すると手のひらから火を放つ。

大きめの鍋みたいに広げると、気圧の塊を

まず自らの魔力で雲に変えて火鍋でかき混ぜる。


やがてあたり一面は濃ゆい霧に包まれてきた。

歩きながらマップを確認しつつ霧を生み出す。

まるで綿菓子機のようにもやが生まれる。

あたり一面に甘い香りのする霧が出来上がった。

もはや獄兵が実態を晒すのは時間の問題、

当てる瞬間にしか姿を見せなければ、相手側が何を

するかわからない。迅速に安全に終わらせたい感情を逆撫でする

霧の(コールド)悪夢(ゲーム)が成立した。


「………!クソが…!」

「あばよ、良い勉強になったぜ」

二人は地上へ脱出した。


地上はまだ猛吹雪が続いている。

時間にして夕暮れ時で、あちこちで車が事故を起こしていた。

急激に降り積もった雪によってスタットレスタイヤですら

アイスバーンを起こす景色は、隠蔽にはもってこいだった。

一歩踏み出すとずもずもと雪を踏み抜いた足音がする。


「さてと…本来ならもう私は自由のみだけど…」

「碌(ろく)でもねえこと抜かすんじゃねえ、

アンタを連行しなければ俺は生きて帰れねんだわ」

「そうよね。というか、肩貸しましょうか?」

「いらねえよ…」

満身創痍でも己の使命に強者としてのプライドを持つ。

脅しに構えた右の拳にビリリと電流を流すと

リュシオは逃げられないと悟った。

例えあの手この手を使っても逃げられない。

自宅マンションにて帰りを待つペットは

念の為に代行人に任せているが、それでも不安だ。


帰路はすでにディアードによって洗練されていた。

街中は人でごった返しており、大通りは特に

燃料などを求める人と買う人で賑わっている。


その途中でスーパーに立ち寄ると

買い物リストを見ながら品物をカゴに入れていく。

惣菜と清涼飲料水、そして大量のお酒。

目的がわかると馴れ馴れしくボトっと好みの物をいれる。


「おわっ」

「いーでしょ、別に」

「良いけど…お前こんなの飲むのかよ…」

(鬼かまし)の一升瓶にドン引きするストルムだった。

閲覧ありがとうございました

前回で投稿が重なったので次の分を出しています。

またちょっと説明が変なところがありますね…

後日編集を入れるかもです。

次回もお楽しみに♪

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