第22話 脱出へ
女司令奪還作戦は佳境を迎えた。
薄手の守りとはいえミッションの失敗は許されない。
しかしそんな中でディアードはある点に気がつく事で、
戦線から一方的に離脱した。
「はあ!?
なんでオメーだけ先に上がるんだよ!?」
「やるべき事はやり尽くした。
これ以上いる意味はない。ストルム、
ここからは穏便に頼んだぞ」
そう言って目的の部屋へ歩みを進めていった。
コドクも少し意見していた。
寧ろ5つあるのなら別の牢獄を探して
調査を始めた方がいい。しかしディアードからすると
リスクしか無い仕事に手を染める訳で、
検討が付いたものにわざわざ手をかける事ほど、
そんな愚めかしい物は御法度だと言う。
「仮に…私があの場所をこれ以上調査しても
発見はあっても、成果がでない」
「でも発見があるのなら
予定通りに完了しやすくなりますよ」
「それが予測外だったとしても
“その時点で予定は狂ってしまうんだ”」
結果論の真意をディアードはこう勘繰っている。
例えそれが予想よりも良い結末を出したとしても、
予測から外れた者に指示を出しても聞いてもらえるはずはない。
ならもう指示も予測もない。
それならいっそのこともう気にかける事もできない、と。
流れた音声を聞いていたストルムは
自分が置かれた環境を思い出した。
確かに暴れ放題だがこれは任務であって、
完了を承認されるまではエンドレス、
つまり自分がもういいと言っても相手は
そんな事は知ったことでもない。
「(自分で選んだ自滅なら
早く蜘蛛の糸を探して這い上がって来いってか)」
少しバツが悪く感じて反省の色を隠せなくなった。
「おい、帰り遅くなる。
ターゲットの安全を図るために迂回ルートを使うぞ」
「わかった、いい道を出すから
ターゲット身の確保を急げ」
女司令は一方で退屈がてら冷蔵庫に何か無いかと
探すも、ペットボトルの市販で売られている水が一本と、
少し物足りなかった。もういいやとテーブルに手をかける。
「ふふ…某チェーン店のさっくりポテトにしましょうか」
手刀は包丁となり手にかけたテーブルに念を掛け、
後はどうなって欲しいのかをイメージするだけ。
ジャガイモになったテーブルの切れ端を纏めて、
着ていた服のポケットを剥がすと、小さな鍋になった。
そこに投入し、指パッチンで火をつければ
ジュ〜と焼ける音がする。
「油…あ、これが良いわ」
残ったテーブルをカットしてギュッと絞る。
使われていた樹脂が料理油となってポタポタと落ちると、
挙げられたポテトスティックは誘惑の香りを発する。
後は火を消して箸を取り出せば至高の時間だ。
「しっかし服が取られなくてよかった。
この(万能白衣)はオーダーメイドの一品物ですもの」
着ていた白衣は科国の仕事を愛する人ために
最高の機能を誇る制服を手掛けるメーカーが繕った物。
料理人との掛け合いだったので、様々なポケットや、
緊急時に器が作れたり冷蔵、保温、加熱にも
手が行き渡る魔法で作られたような白衣だ。
堪能しているとガチャ、鍵が開く音がすると
ストルムが入ってきた。
「うわっ、もっとなんかエグい部屋想像してたけど、
この状況杞憂どころかで済みそうにねえな」
「あら、貴方が例の人?
初めまして。リュシオ・イスバルキ、リュシオでいいわ」
「ストルムな。
さて、脱出するけど…それ持ってくの?」
「当然よ。一本どうぞ」
サクッと音を鳴らして味わい3秒で顔が歪んだ。
美味すぎる。もはやこの人1人でも脱出できたろうにと。
閲覧ありがとうございました
21話に始まった事ではありませんが
たまにタイトルを書き忘れてしまいます。申し訳ない…
次回もお楽しみに♪




