第20話 追いかけっこ
スタンブレードを振り回す看守。
暴れ狂う用に追い詰めるが、
全てディアードの手のひらの上でしかない。
「ディアードさん!その通路真っ直ぐ行ったら
相手に突進させてください!エレベーターを使いましょう!」
「…!なるほど、いい案だ!」
階段のほぼ反対側にあったのは看守用エレベーター。
タイミングよくエレベーターを開いて突進させれば、
時間は稼げる、しかしそれでもバレるのは時間の問題だった。
ディアードはコドクの誘いをそのまま解釈するが、
それではプロとして務まらない。と更に先読みをする。
強いていうなら、議席の戦力増強のための説得に、
いつも却下をもらっていたあの頃、何故却下されるのか。
まさしく今、それを応用する時。
ルートを外れる。
コドクからの指示を一旦無視すると、まずは看守室へ潜り込む。
プライベートを覗かれることは万死に値すると、
更に憤慨する看守。もはや暴走特急だ。
スイッチを迂闊に押すのは危険だが、
一つだけ誰でもわかるスイッチがある。
ブレーカーだ。大きなスイッチは全部の電源なら、
細やかなスイッチを押せばいい。
しかも何がどれなのかを書いている。
押したのは階段室だ。それだけだった。
「!?階段室だけ!?何を企んでいる…!」
「コドク、この部屋の収監部屋はどれくらいある?」
「今走っている通路に10部屋、それが後右に3列です。
あ、そっちはダメです!行き止まり!」
「そっちって?」
「3列目の通路の先です!
そこは物置部屋でカギが要ります!」
「上出来だ。コドク、エレベーターを起動させて置いてくれ!」
「ええ!?そんな事できるんですね!?」
エレベーターのアイコンをタップすると
無機質に扉が開いた。
「ストルム、通信いいか!」
「あいよお!どうする!?」
「地下通路を探せ!付近にあるはずだ!
コイツは…倒せる!だが」
「目的の人はこっちかもってね!
おっけ!ちょっと行ってくらあ!」
コドクはしばらくディアードのサポート。
つまりどうせ派手に暴れ回るストルムなら、
こちらが遠慮する事はない。
外は猛吹雪で館内以外でのコミュニケーションは困難。
あとはこの看守を攻略すればいい。
行き止まりまで行けば相手がどうなるか、
それはもうまさにお手本の様な「もう逃げられない」だ。
先読みはコミュニケーション。相手の様子を伺うのではなく、
相手の答えを粗方先読みすれば動きやすい。
ちなみに他の候補としては「そこを動くな、袋叩きだ」か
「そこには伏兵がいるんでね」だ。
いずれも復習済みだからは問題ない。
とどめの一撃は電撃波。
狭い通路で壊しても壊れそうにない壁が周囲で
とても都合がいい。大リーガーのストレート並みはある
視認速度で分厚い輪が迫る!
「甘い!」
カバンの袖からダガーを引っこ抜いて軽くいなす。
不意を突いたらスネに一発蹴りを入れると、
そのまま挑発混じりに走り出した。
「うがアアア!許さねえ!」
「どうした!ハンデが欲しいか!?」
「殺ス!」
ここまで怒らせれる事ができれば十分だ。
廊下の溝に隠れて相手の足を止めると、
ディアードはカバンからフーセンガムを噛んで
風船人形を作るとそれを走らせた。
「そのままこの世の果てまで走り続ければいい。
私は次の角で上のステージに行かせてもらおう」
真っ直ぐ優雅に進んだ先は開きっぱなしのエレベーター。
この部屋の看守や許可されたものだけが使えるので、
別の階層の人間には使われない。
ある製菓会社が作ったこのフーセンガムは
膨らませて固めるとフィギュアみたいに頑丈になる。
10回ほど噛めば風船が作れるので身代わりにもってこいだ。
(ガムフレンド)という商品で売られているが、
仕事用の物だけ特別に身代わり人形ができる。
「タンザナイトの力を込めれば
氷の魔力とともに思考回路も虚像に写せる。
ただのゴム人形ですら私と瓜二つだ。」
エレベーターは勝者を乗せて動き始めた。
閲覧ありがとうございました
業務用ガムフレンドは俗にいう極秘ルートでしか手に入りません。
市販の物はあらかじめ魔素に完成品の偶像を認識させて、それをガムにする。
それが噛まれて柔らかくなり、空気に長時間触れることで景品に変わるという物です。
なんかばっちいですねw次回もお楽しみに♪




