第19話 看守の一手
遂に牢獄に潜入した。
組織に置いてもやる気のない者が
気楽に監視する中、ダミーの中には本物が混じっているようだ。
牢獄施設への潜入が上手く行ったら、
ストルムに合図が送られる。
合図を受け取ったストルムは積乱雲を生み出す。
その途中だが、コドクから方角をもう少し右に
変えてほしいという指示があり、言われた方向へ
圧力を掛けていった。
司令室のシステムであるメインモニターは
天気に関しても詳しく分析してくれる。
方向をずらしたのは低気圧が流れる方向への
誘導だったので、突発性のない大嵐を
作り出そうと読んでみた。
人気の付かない高さまで浮かんで
およそ50メートル。力を蓄えて
魔力の塊を解き放つと、曇り空と混じりあって
やがてそれを力一杯かき混ぜる。
スイーツメイクみたいだがこうすることで
より自然に発生した悪天候と見せられる。
「あと3分でここいら一帯は猛吹雪だ。
通信悪くなるだろうけど大丈夫だよな?」
「問題ない、むしろ上出来だ」
そんな中でも顔を引きつっていたのはコドク。
過去数十年の地図と照らし合わせていたが、
牢獄施設の場所がおおよそ10年単位で
移動している事に気がつく。そして…
「10年前から日単位で動いている…
そんな事普通はありえない…まさか…」
一向に口が開けないが、目的地の場所は
アイコンに表示されている。だから言う必要がない、
そう思っていたけど
「ディアードさん、もし今から入る牢獄の
守りが手薄だと思ったら、早めにストルムさんに
動いてもらってください」
「マップにミスがあったか」
「違うんです…
ただここ数年である一定の区間を
移動する様にアイコンが動いているんです」
「それじゃまるで電車じゃん。
なんだよ移動する監獄って」
「ちなみに今ストルムさんがいる場所が
終端部になっています」
「なるほど…わかった、ありがとう」
潜入開始。まずは一階を隈なく調べて
緊急の脱出経路などを探す。使えそうなものや
壁が薄い場所、あらゆる可能性を無視しないこと。
二階に降りると少し薄暗い空気になった。
まるでトンネルの中で、足元が浅い闇によって
澱んでいる。トラップを踏まないためにも
持っていた多機能ゴーグルで注意深く進む。
途中では見回りの看守がいたが、およそザル。
お疲れ様ですと声を掛けると疑いもしない。
暗い通路に窓は無いが、換気扇だけが通っていた。
扉からは音がしないが、透視機能で中は見える。
くつろぐものや励む者もいるが、
誰一人として絶望する者がいない。変だ。
三階へ踏み込んだ時、辺りの雰囲気が変わった。
木質の床と少し湿った匂い。
まるで本物の牢獄の雰囲気がする。
ここがまさにそうだとすると、誰かがいる。
それは今までのような柔なメンバーではない、
強いて言うなら、”同じくこちら側の人間”
「止まれ…」
重たい物言いがディアードの足を凍らせる。
固められたコンクリートみたいに歩みが止められた。
「服装は似せてもゴーグルの支給なんて物はない」
「これは私物です、特許をとってあります」
「ほう…俺がそんな物に特許を…」
ゴーグルを外して渡すと、物珍しそうに眺めて
グシャり。
右手を挙げると落雷の如く警棒スタンガンを振り下ろした。
バチイイイッ!
「ッつ…!」
「避けたと言う事は…貴様は部外者の人間!
職務執行!権力を行使するウウウ!」
やはりバレたかとバックステップを踏んで間合いを取る、
身長2メートル越えの大男はダッシュで距離を詰めて
大きな一振りでディアードを追っていく。
巨大な熊から逃げる様に後退していくうちに
上への階段室へ到着した。だが避難のために登れば更に
苦しい状況が待つ以上移動はできない。
「ディアードさん!そいつ人間じゃない!
迂闊に戦うと殺される!」
「種族はわかるか!?」
「アンノウン…!でも獣みたい…」
「…やるだけやろう…!」
マグナムにキャッツアイの加護を持つ獣喚弾をセット。
まずは警棒を持つ右腕に一発、
怯んだところで額を狙って見事命中させた。
強い催涙性を持つ結晶が火薬によって高熱を帯び、
炸裂した瞬間に溶けて散る。
インドぞうが相手でもその激痛に許しを乞うという、が…
「うがアアアっ…うう…うおおお!」
「痛みがあっても、神経は腐ってると言うことか」
「なんだ!?そっち戦ってんの?俺もいこーか?」
「冗談はよせ!」
何かないかとマップを探るコドク、
しかし偶然に見つけたもので奇跡的に打開策が
閃いた。
閲覧ありがとうございました
前回のお話からですが、通行人(主にカタギ)に手を出して大丈夫?
裏社会の組織なんじゃないの?と思われますが、
物語中でディアードが仕向けたように完全に無力化します。
しくじってもバックにいる人員が漏洩を許しません。
次回もお楽しみに♪




