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ダンジョン攻略 1階層

 


 グラナードの街にあるダンジョンは3階層で各階層の広さもそれなり、順調にいけば攻略に6日もかからないため、ダンジョンの中でも攻略しやすいと言われている。なお、最短だと2日で攻略できるらしい。


 3階層目にいるダンジョンボスは以前、イグニスとナラが森で遭遇したトロールが1体ということだ。ダンジョンには周期があるので、魔物の種類が変わることもあるが、流石にボスは変わらないと思いたい。


 クエストの素材を回収するためにダンジョンに潜ることは何度かあったが、1階層で充分事足りたので、下へは降りていない。そろそろダンジョンのボスも倒せるのではないか、ナラとそう話した結果、ダンジョンの攻略を目指すことになった。


 ダンジョンのボスを倒すことを攻略と言うらしい。実際、グラナードのダンジョンは初心者向け、攻略した冒険者が何十人もいる。まあ、途中で亡くなった冒険者たちも多いとは思う。実際、冒険者ギルドの裏で定期的に行っている冒険者の集い『サバイブ』でも、顔を出さなくなって気づけば亡くなっていることがある。



 ダンジョンで一番困ることは、水と食料だ。宝箱から時折パンのような食料が出てくるとはいえ、そんな宝くじのような食料は当てに出来ない。水に関しては一日1リットルとしても、7日なら7リットルで7kgの重量になってしまう。

 長引くことを考えたら、多めに20リットル程度は必要だろう。イグニスは数十キロ程度なら背負えるが、もっと深くて広いダンジョンになると持ち運ぶのが大変だ。


「水の魔法具を買えればいいんですけどね」


 大量の水を荷物に詰めていると、ナラが申し訳なさそうな顔で呟く。基本、重い荷物を持つのはイグニスだが、この程度なら持ち運びは出来る。


「……お金を貯めておこう」


 水の魔道具は上位の冒険者は必ず持っているものらしい。水筒に水も魔石がついていて、魔石に触れれば水が補充される。但し、結構な値段がする。イグニスたちではまだ手が出ない。


 荷造りを終えると、リュックは結構な重さになってしまった。軽いものを詰めた布製の肩掛けカバンをナラが、割と重いリュックをイグニスが背負う。


「いつも思うんですけど、イグニスさんってどうしてそんなに力があるんですか?」


「……鍛錬の成果と素質、かもしれない」


 女性よりも男性の方が筋肉がつきやすいし、体格や身長は遺伝に依るところが多い。当然、鍛錬で伸びる部分もあるが、正直にいえば限度がある。筋肉がつき過ぎると重くなって、素早さで劣る可能性もある。


「ナラは俺を目指さないでいい。役割分担だと思ってくれ」


 イグニスは脳内でムキムキのナラを描こうとして、余りにも現実離れした想像に内心で首を振った。





 以前と同じように、ダンジョンの前で見張りに名前を言ってから、地下へと続く暗い階段を降りていく。ココは大きさで言えば大型犬だから、石造りの階段を降りるのも平気なようだった。一番先頭をイグニスが、その横にココが並んで、後ろをナラがついてくる。


 ダンジョンの1階層、地下1階はリカルドたちを出会った場所だ。前に素材回収のためにダンジョンへ潜った時から周期がきていないお陰で、既にある程度の地図は出来上がっている。出てくる魔物も、スライムやゴブリンにクモといった戦ったことがある種類ばかりだった。


 ラグナ武器屋で刀を手に入れてから、意識的に使うようになったお陰で、刀の切れ味は鋭くなった。この鋭さなら、オークの首であっても斬れるかもしれない。大剣では分厚い皮膚を斬ることができず、ナラの助けがなければ苦戦していた。


 ぼんやりと考えながら振るった大剣は、2匹のゴブリンをまとめて壁に叩きつける。複数を相手取る時は、力押しで何とかなる大剣の方が楽ではある。ゴブリンが落とした素材を回収して、先へと進む。


 そして、ココが走り出して吠えた。イグニスがココを追いかけて走ると空気の流れが変わったことに気づく。


「これが下へ降りる階段ですか」


 後ろから追いついたナラが緊張とともに声を出した。下へ降りていく石造りの階段はどことなく不気味な雰囲気を醸し出している。


「行こう」


 2階層になると多少は魔物種類が変わるはずだ。けれど、ここグラナードのダンジョンに出てくる魔物は、今のイグニスたちなら充分対応できるはずだった。


 そうして、二人と一匹は下へと続く階段を降りていった。


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