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第16話「選別者」



静かなオフィス。


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と言っても、ワンルームだ。


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だが今は違う。


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ここは“会社”だ。


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(そろそろだな)


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北川は画面を見ていた。


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採用ページ。


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募集内容はシンプル。


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「企画・資料作成補助」


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条件は一つ。


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“実力”


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応募は、来ていた。


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数十件。


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だが――


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(ほとんどいらないな)


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経歴。


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肩書き。


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そんなものは意味がない。


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見るのは――


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“中身”


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提出された課題。


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構成。


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論理。


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思考。


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(これは……違う)


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次。


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(これもダメだな)


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無駄が多い。


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浅い。


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使えない。


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そして。


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一つの資料で、手が止まる。


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(……いいな)


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無駄がない。


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シンプル。


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だが、芯がある。


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“考えている”


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それが分かる。


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名前。


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「佐伯 凛」


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年齢:20歳。


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(若いな)


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だが関係ない。


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数日後。


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面談。


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扉が開く。


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「失礼します」


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入ってきたのは、小柄な女性。


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だが目は強い。


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(いいな)


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北川は一瞬で判断する。


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「座って」


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短く言う。


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佐伯は静かに座る。


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無駄な動きがない。


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「この資料、君が作ったのか」


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「はい」


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迷いがない。


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「理由は?」


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「必要な情報だけで構成した方が、伝わると思ったので」


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(理解している)


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「余計な説明は?」


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「不要だと思いました」


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(いい)


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沈黙。


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北川は少しだけ考える。


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だが答えは出ている。


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「採用する」


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「……え?」


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佐伯が一瞬だけ驚く。


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「いいんですか」


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「問題ない」


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即決。


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「……よろしくお願いします」


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深く頭を下げる。


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(これでいい)


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北川は確信する。


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過去とは違う。


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奪う人間はいらない。


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作れる人間だけでいい。


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# ■主人公専用ステータスUI


【ステータス】

名前:北川 聡

年齢:22

役職:代表取締役

性別:男


振り分け可能ポイント:0


判断力 328(+300):S

交渉力 439(+420):S

集中力 354(+323):S

処理力 330(+316):S


資産:増加中


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(次は――)


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“組織”だ


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北川は静かに立ち上がる。


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ワンルームの中。


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だが。


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確実に、広がっている。


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一人から、二人へ。


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小さな会社が、動き始める。


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