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第14話「設立」



依頼は増え続けていた。


---


「次の案件ですが――」

「継続でお願いしたく」

「顧問契約の件でご相談が」


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画面は常に埋まっている。


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(……回らないな)


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北川は静かに目を閉じた。


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量が増えた。


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単価も上がった。


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だが――


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一人でやるには、限界がある。


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(時間が足りない)


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どれだけ効率が良くても。


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物理的な限界はある。


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(なら――)


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答えは一つ。


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“増やす”


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だが。


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ただ人を入れるわけじゃない。


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(同じにはしない)


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かつての会社。


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歪んだ構造。


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奪われる側と、奪う側。


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そんなものは作らない。


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(全部、自分で握る)


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責任も。


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評価も。


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---


数日後。


---


北川は一枚の書類を見ていた。


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会社設立届。


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(名前は……)


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少しだけ考える。


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そして。


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ペンを走らせる。


---


---


提出。


---


---


その瞬間。


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北川は“個人”ではなくなった。


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---


小さな会社。


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社員は、まだいない。


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だが。


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“形”はできた。


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部屋。


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変わらないワンルーム。


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だが意味は違う。


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ここはもう――


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会社だ。


---


---


# ■主人公専用ステータスUI


【ステータス】

名前:北川 聡

年齢:22

役職:代表取締役

性別:男


振り分け可能ポイント:0


判断力 328(+300):S:[+](0)[-](0)[確定]

交渉力 439(+420):S:[+](0)[-](0)[確定]

集中力 354(+323):S:[+](0)[-](0)[確定]

処理力 330(+316):S:[+](0)[-](0)[確定]


資産:※案件収益により増加中(非固定表示)


---


(次は――)


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人を入れる。


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任せる。


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広げる。


---


だが。


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(絶対に間違えない)


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誰を入れるか。


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どう使うか。


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どう評価するか。


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すべてが重要。


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その時。


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通知が鳴る。


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「御社と長期的なお取引を――」


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企業からの正式オファー。


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(会社として、か)


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北川はわずかに口元を緩める。


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個人ではない。


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“法人”として評価されている。


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「お引き受けします」


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短く返信。


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北川は静かに立ち上がる。


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窓の外を見る。


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変わらない景色。


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だが。


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立っている場所は、もう違う。


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(ここからが本番だ)


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積み上げたものを、


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さらに大きくする。


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一人ではなく。


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組織として。


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北川は再び席に座る。


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新しい仕事が始まる。


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