第13話「連鎖」
あのプレゼンから、数日。
---
変化はすぐに現れた。
---
「北川様、ぜひ一度ご相談を――」
「先日のプレゼンを拝見しまして」
「弊社でもお願いできませんか」
---
通知が止まらない。
---
(広がったな)
---
口コミ。
---
評価。
---
そして――
---
“結果”
---
それがすべて繋がっている。
---
北川は一つ一つ確認する。
---
焦らない。
---
選ぶ。
---
(これだな)
---
次の企業案件。
---
コンペ形式。
---
そして――
---
(またか)
---
会場。
---
見慣れた顔。
---
神谷。
白石。
中村。
高橋。
山口。
---
元の会社。
---
(来ると思ったが)
---
だが様子が違う。
---
余裕がない。
---
焦り。
---
不安。
---
すべて表に出ている。
---
---
プレゼン開始。
---
元会社。
---
説明が浅い。
---
構成が弱い。
---
説得力がない。
---
以前とは別物。
---
(……これが本来か)
---
---
次。
---
北川。
---
静かに前へ出る。
---
言葉を選ぶ必要もない。
---
構成は完成している。
---
流れも完璧。
---
話すだけでいい。
---
結果は明白。
---
---
「本件は、北川様に――」
---
また勝つ。
---
---
それが一度では終わらない。
---
二度。
---
三度。
---
四度。
---
その度に。
---
元会社は、同じ場にいる。
---
そして――
---
同じように負ける。
---
---
「なんでだよ……」
---
神谷の声が震える。
---
「こんなはずじゃ……」
---
白石が資料を見つめる。
---
「前は……通ってたのに」
---
中村が呟く。
---
「……おかしい」
---
山口の顔は青い。
---
---
だが答えは単純。
---
“いないからだ”
---
作っていた人間が。
---
---
北川は何も言わない。
---
ただ。
---
結果で示すだけ。
---
---
そして。
---
数ヶ月後。
---
企画課。
---
「……案件が、ない」
---
黒瀬の声が沈む。
---
連敗。
---
信用低下。
---
依頼が来ない。
---
---
「このままじゃ……」
---
誰も続かない。
---
---
さらに数週間後。
---
決定打。
---
主要取引先、契約打ち切り。
---
---
「……無理だな」
---
黒瀬が呟く。
---
---
その日。
---
会社は、静かに終わった。
---
倒産。
---
---
ニュースにもならない。
---
小さな会社の終わり。
---
---
その頃。
---
北川の元には。
---
新しい依頼が届いていた。
---
「正式に顧問契約をお願いしたい」
---
(……いいな)
---
北川は短く考える。
---
そして。
---
「お引き受けします」
---
迷いはない。
---
---
かつて奪われていた評価。
---
今はすべて、自分に返ってくる。
---
誰にも奪われない。
---
---
北川は静かに画面を閉じる。
---
(次だ)
---
もう、過去を見ることはない。
---




