「ローマの休日」のスローリーディング その23
◎場面10
ジョーのアパートを出てからアンは様々な店が立ち並ぶ一角を歩いて行き、トレビの泉にたどり着く。
ショーウインドーの写真に魅かれて泉のそばにある美容室に入っていく
(ちょっと一言)
1:アンの後を彼女に気付かれないようにしながらジョーはついて行く。
この映画は全てローマでのオールロケだが、とりわけこの場面ではローマ市民でごった返す繁華な通りでの撮影だ。ヘプバーンに対してはそうでもないが、グレゴリー・ペックを立ち止まって眺めている好奇心丸出しのイタリア人たちがフィルムに映っているのには微笑を誘われる。
当時ヘプバーンはまだ無名であったが、グレゴリー・ペックはすでに「子鹿物語」「紳士協定」「頭上の敵機」等で主役を演じ、アカデミー賞の候補にもノミネートされているハリウッドを代表するスターであった。
そのスターがすぐ目の前を歩いているのであれば、イタリア人でなくとも目が釘付けになろうというものだ。
2:さて、二人はローマの代表的観光スポットであるトレビの泉までやって来る。
1950年代初頭に撮影されたそのシーンでは泉の周辺が人だかりしている様子はない。
私がローマに行ったのは1976年、その時でも泉のふちに腰かけて写真を撮っている観光客はいたものの混雑はしていなかった。
ところが最近見たニュースではトレビの泉の周りは二重三重の大変な人だかりで、年末の渋谷交差点もかくやと思うほどだった。
前からずっと不思議に思っていることがある。
トレビの泉に背中越しにコインを投げ入れると再びローマを訪れることが出来ると昔から言い習わす。
私も「ご縁がありますように」と5円玉を投げ入れた。
あれは何故背中越しなのだろう?
後ろ向きに投げても泉から外れる可能性はまず無いのにもかかわらずだ。
それはともあれ、5円玉一枚では「しぶちん」と思われて泉の機嫌を損ねたのか、ローマを再訪する機会はいまだに私には巡ってこない。
3:「ローマの休日」(1953年)の翌年1954年、Three coins in the fountain(邦題は「愛の泉」)というアメリカ映画が公開された。
この映画ではトレビの泉がふんだんに登場する。
「旅情」のロッサノ・ブラッツイがイタリアの伊達男にふんしている。この映画のテーマ曲は映画タイトルと同名のThree coins in the fountainで大変ヒットし、後年フランク・シナトラもこの曲をよく歌った。




