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Magic & Cyberpunk -マジック&サイバーパンク-  作者: タナカ アオヒト
8章_堕落の弾丸

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8.17_真のクリスマス

「さあ来い! お前を、良い子に叩き直してやるッ!」



ふざけた戦い方をするサンタクロース、ナイスデイ。


全クラス最高峰の火力を持つ、火薬武器の一撃を平然と受け止めるタフネス。

大木を軽々と振り回すパワー。


トリッキーでいて、なおかつストロング。


軽い言動とは裏腹に、マジな強さを有している。



JJは走り出す。

武器の残弾は、火薬武器に6発、火薬籠手に1発。


籠手の残弾が心もとないが、1対1の戦いで呑気にリロードできるとは思えない。


ここは基本に忠実に、肉弾戦を仕掛ける。


ダッシュで距離を詰めるJJ。

彼を迎え撃つため、ナイスデイも走る。


足元で爆発が起き、石に覆われた地面が抉られる。


先に仕掛けたのは、ナイスデイ。

JJよりも高い身長と、長いリーチ。


左ジャブを打ち、攻撃の取っ掛かりを得ようとする。


左ジャブを受ける。

ジャブの軌道に、右肘を置く。


相手の指を、硬い肘で破壊する、攻防一体の武術。


甘えた様子見を、肘の一撃で破壊する。

少しは、ナイスデイに効いたらしい。


が、相手は機械で、この世界には魔力がある。


ナイスデイは、肘を合わせられた左腕を引く。

ダメージなど気にせず、素早く2発目。


ダッキング。

ノッポが上体を屈め、左手でボディブロー。


JJは、ナイスデイのジャブを受けるために、右肘を上げた。

それにより、ボディのガードが甘くなっている。


その、ガードが甘い右脇腹を狙う。


JJはボディブローを捌く。

右脚を引きながら、身体を旋回。


旋回する勢いを使い、JJは左手で拳鎚を放つ。


誘われたと、ナイスデイは感づいた。

ボディブローを中断。


スウェーバック。

上体を大きく後ろに逸らし、JJの拳骨を躱す。


JJが、ナイスデイの足を踏みつける。

左足で、右足を踏んづける。


アメリカンスタイル・ボクシングで肉弾戦をこなすナイスデイに対し、JJはルール無用の古武術で戦う。


ナイスデイの足を踏みつけると同時に、左肘を打つ。

踏み込まず、抜重による体捌きは動きの予測ができず、ナイスデイは肘を腹に受ける。


サンタが、口を開く。

単純な肉弾戦では勝てないと判断。


口から火炎放射を吐いて、JJを追い払う。


JJは後ろに退かず、むしろ前に出る。

屈みながら、ナイスデイの側面を取る。


彼の右脚を取る。

膝の位置を持ち上げて、転倒させる。


ナイスデイの火炎放射が、下から上に弧を描いていく。


仰向けに転倒したナイスデイに、左拳を振りかぶる。


目からビーム。

仰向けのまま、JJに攻撃。



――ブレイブゲージを消費。



ブレイブアーマー。

勇気が、不退転の力を与える。



ブースターオン。

2本のレーザーが身体を貫通するも、お構いなし。


この火薬と拳は、止まらない。

――止められない!


レーザーを撃ったナイスデイの顔面に、強烈な一撃を叩き込まれた。



「ぐわぁ!?!?」



これで、火薬籠手は弾切れ。


良いパンチを貰ったナイスデイは、周りにプレゼントをばら撒く。

嫌な予感を感じて、飛び退く。


ばら撒かれたプレゼントは、例によって爆発。


爆風が収まると、そこにはサンタ服の汚れを払うナイスデイが立っている。


火薬武器の攻撃を凌げるほどに硬い体だ。

プレゼントの爆発くらい、どうってことないのだろう。



「‥‥ふむ。ボクシングでは分が悪いようだ。

 ならば――、クリスマスで戦うとしよう!」



ナイスデイが、両手を空に掲げる。

両手の上に、プレゼントボックスが現れる。


ラッピングされた箱は、どんどん大きくなる。


みるみる大きくなり、たちまち二階建ての家屋を超える大きさとなる。



「干支侵略! グレイテストミミックシャーク!!」



ナイスデイが超巨大プレゼントボックスを投げる。

箱を破り、超巨大なサメが顔を出す。



「来年の干支は‥‥、イルカだぁぁ!!」


(サメじゃねぇのかよ‥‥。)



内心でツッコミながら、JJはパイルバンカーを取り出す。

Ultパッシブ「愚者の引き金」発動。


ナイスデイの、頭の悪いこの攻撃。

干支侵略ミミックシャークは、今のJJにとっては非常に脅威だ。


火薬籠手は弾切れ。

彼の機動力は、大きく低下している。


そこに、巨大な敵による範囲攻撃。

呆れるほどに有効な攻撃手段。


JJは、回避を諦め、パイルバンカーに活路を見出す。

愚者の弾丸を3発、装填された火薬武器。


体力を300ポイント消費して、負の極致たる火薬が武器に吹き込まれる。


火薬銃のシリンダーを撫でると、シリンダーが自動で回転。

シリンダーから、青い放電が起こる。



銃を構え、引き金を引く。


眼前を覆いつくすほどに巨大なミミックシャークに向け、パイルバンカー!!!

愚者の火薬が発火。


銃口から、巨大な杭が撃ち出される。

巨大な杭には、青い血管のような模様が入っている。


パイルバンカーの銃身が裂けて、不格好なラッパ銃みたいな形になる。

射撃の反動で、JJは吹き飛ぶ。


愚者の砲撃は、龍の咆哮。

火薬杭が、大口を開くサメを食い千切った。


牙を向けるサメの体内を食い散らかし、胴体が入っているプレゼント箱を爆発四散させる。

当然、ミミックシャークは絶命。


ひとまず、頭の悪い窮地を脱出。



「HAHAHA――! 隙だらけさ☆ボーイ!」



パイルバンカーの大きすぎる反動に錐もみするJJを、ナイスデイは見逃さない。


目からビーム。

機械特有のエイムで、JJを撃ち抜く。


JJが、火薬籠手のリロードをしようとする。

火薬籠手から、使用済みのショットシェルが全てイジェクトされる。



「させるか! ラッピングバリア!」



ナイスデイは、その場に体育座り。

サンタさんが包装されて、消える。



「良い子の元へワープ!」



サンタさんは、良い子の味方。

プレゼントを楽しみにしている子どもたちの元へ、一夜でプレゼントを配るべく、ワープだってできるのだ。


JJの頭上に、包装されたサンタさんがワープ。

絶賛大炎上している箱が、落下してくる。


箱が燃えているのは、口からファイアーしているからだろう。

燃えるプレゼントを、ローリング (前転受け身)で回避する。


地面を転がりながら、懐からショットシェルを2発取り出す。


プレゼントの中から、燃える鶏が飛び出す。

何匹も出てくる鶏が、飛びながらJJに襲い掛かる。



「‥‥クソ!」



ショットシェルを捨てる。

右手に、火薬鎚を呼び出す。


スキル ≪黒色飛燕衝≫ 。


火薬鎚を上から下へ。

火薬が爆発を起こして、爆風の壁が生じる。


爆発は空気を圧縮し、ソニックブームを起こし、飛来する鶏を叩き落とした。


叩き落とされた鶏は、アツアツのチキンに変わる。



「目からビーム!」



ビームを屈んでやり過ごす。

ついでに、アツアツのチキンを左手で拾う。


チキンを齧ると‥‥、体力が回復する。

50ポイント、体力が回復した。


ナイスデイが、口を開く。



「口から――、バスーカ!」



近接信管砲を発射。

火炎放射よりも速度が速い砲弾は、JJを爆風で吹き飛ばし、地面に配膳されたチキンを台無しにした。



(ファイアーじゃないのかよ‥‥!)



このサンタ、何でもありである。



「こんなこともできるぞ。

 お腹から、ガトリング!」



サンタ服をたくし上げると、シックスパックの腹筋から、ガトリングガンが生えて来る。

ガトリングは、当たり前のようにJJに向けて発砲される。



「HAHAHA――――!!!!」



手回し式のガトリングを乱射。

左手でハンドルを回しながら、逃げ回るJJを追いかけ回す。


クリスマスで畳み掛け、サプライズで翻弄し、リロードの隙を与えない。

の、だが‥‥。



この世界は、近強遠弱。

エージェントには、遠距離攻撃に対する対処法が、いくつも用意されている。


AGを1本消費。

アサルトステップ。


JJの身体を、弾丸が何発も透過していく。


アサルトステップによる回避成功。

アサルトアタックに派生。



「ぬん!」



ナイスデイの背後に瞬間移動したJJの、正拳突き。

トリガーハッピーになっていたナイスデイは、躱すこと叶わず、背骨に強烈な拳をお見舞いされる。


アサルトアタックに成功。

アサルトラッシュ。


ノックバック性能が強化された拳により、ナイスデイは冗談みたいな吹っ飛び方をする。

人間なら背中の骨が折れているような角度に体が曲がり、ゴロゴロと地面を転がる。


バカが、バカをやっている隙にリロード。

お腹を空かせている火薬籠手に、2発のショットシェルを装填。


テレポート。


起き上がったナイスデイに、もう一度、正拳突き。

ナイスデイは、スウェーバックで拳を避ける。


いまのJJの攻撃に、触れる訳にはいかない。

攻撃力は上昇していないが、ノックバック性能が上がった拳を受ければ、さすがのナイスデイもバランスを奪われてしまう。


バランスを崩せばジーザス、火薬武器の餌食だ。


JJは、火薬鎚を取り出す。


反動の隙を突かれるのを恐れ、使用を控えていた火薬鎚。

アサルトラッシュ中の今ならば――。


柄のエンド部分を捻り、撃鉄を起こす。


スキル ≪黒色飛燕衝≫ 。


火薬の衝撃波で、ナイスデイを吹き飛ばす。

攻撃には直撃していないのに、アサルトラッシュを得た火薬の余波で、体が浮く。


マジックワイヤーを射出。

ブースターオン。


ワイヤーで手繰り寄せたナイスデイに――、拳を叩き込む!



「ぐほぉぉぉおお!?」



火薬籠手が手繰り寄せたワイヤーは、蒼い拳によって、釣り糸をリリースしたかのように伸びていく。


ワイヤーを切り離す。

ベクトル反転。


火薬を消費せずに加速。

そしてアサルトラッシュによる、テレポート。


殴り飛ばしたナイスデイに追いつき、追い抜く。



ブースターを噴かす。

火薬鎚の撃鉄を上げる。

EXスキル ≪ダブルバレル≫ 発動。



「ぬぅん!!」



フルスイング!!


ナイスデイを、火薬鎚でジャストミート。

空の彼方に向けて、かっ飛ばした。


アサルトラッシュ状態が解ける。


今の隙にリロード。

火薬籠手にショットシェルを2発。


残弾、火薬武器に2発。

火薬籠手に2発。


ホームラン級の勢いでかっ飛ぶナイスデイ。


彼は、靴の裏からジェット噴射。

スーパーマンになって空を飛び、目からレーザーを出す。


地上に復帰。

拳を構えるJJと相対する。


センチなハートがOMG。

感慨に耽り、ちょび髭を撫でる。



「中々どうして、やめられんね。

 サプライズを届けるのも、受け取るのも。」



ナイスデイは、空を見上げる。

浮き島が連なる空の、頂上を見る。


時間は――、もう少ししか残されていない。


このナイスなひと時も、残りわずか。



「ならば、今こそ見せるとしよう。

 クリスマスの真髄を――――!」



ナイスデイに魔力が集まっていく。


大きな魔力だ。

龍の力を取り込んだエージェントの、それ以上。



本来、機械による魔力の運用は、効率が悪い。


この世界で、エージェントのような歩兵が重用されている理由。

それは、人間が魔力の扱いに優れているからに他ならない。


人型サイズの機械は、人間に魔力量で劣る。

魔力量で劣るから、戦闘力でも劣る傾向がある。


だがしかし、ナイスデイは特別だ。


サンタの体が、黄金色に変わっていく。


ゴージャスな金メッキなんかじゃない。

溢れる魔力が、体を黄金色に輝かせる。



「クリスマスとは、家族とのひと時。

 すなわち、家族との絆!」



ゴールデン・ナイスデイとなった彼の両手から、雪の結晶が、しんしんとちらつく。

手を、地面につける。



「魔術師だった、ファーザーの力!」



地面から氷柱が。

針葉樹のようなツララが幾つも生え、2人が戦っている浮き島を、冬の森に変えてしまう。


森の中から、氷の体を持つ鹿の群れが現れ、JJに襲い掛かる。


鹿と戦うJJに、ナイスデイは、左腕を向ける。



「機械技師であった、マザーの力!」



左腕が、巨大なバズーカに変わる。

バズーカが砲弾を撃ち出すと、砲撃の轟音により、氷の針葉樹が砕け散る。


JJは間一髪、テレポートで爆発をやり過ごす。


冬の森が、火の海となる。


燃える氷の森を、ビスケットの巨人が見下ろしている。



「世界一おいしいお菓子を作る、グランマ!」



ジャイアントジンジャーブレッドマンが、両腕を振り折ろす。

緩慢な動きの攻撃は、反して力強く、攻撃の余波でJJは吹っ飛ばされる。


立ち上がるブレッドマンの肩に、ナイスデイが飛び乗る。

高い眺めの下、JJがこちらを見上げている。


JJの目の前に、アリ地獄が発生する。

黒い渦のアリ地獄が、JJを引きずり込んでいく。


ナイスデイが、巨人の上から飛び立つ。



「そして、グランパは――。」



目に涙を浮かべ、足裏のジェットブースターで加速して。

愛と悲しみの一撃。



「グランパは――、借金を残して死んだァァァァ!!」


(なんじゃそりゃぁぁ!?)



ナイスデイのジェットキックが、JJの頬を蹴りつける。


頭から盛大にトマトケチャップを流しながら、スポリとアリ地獄から足が抜ける。

ぬかるみ沈む地面から解放されて、凍った地面を転がる。


シュタリと、ナイスデイが着地。



「みたか! これが、愛と悲しみの――、家族の絆だ!」


(コイツ‥‥、頭がおかしい。)



氷の樹が燃える森の中、JJが立ち上がる。

コイツは頭がおかしいが、やっていることは凄まじい。


地形を冬の森に変える魔法に、火薬術士もビックリの仕込み武器。

お菓子の巨人を召喚する召喚術に、‥‥借金を残して死んだ祖父。


なるほど、これがナイスデイの本当の力。


手強い。

武術の達人とは、別ベクトルの強さだ。


何をしてくるのか分からないというよりも、何が出てくるのか分からない。



拳を構える。

相手が、どんな力を使おうが、火薬術士には関係ない。


火薬を押し付けて、ぶっ飛ばす。


あの手この手を使うサンタとは対極。

一点突破でぶっちぎる!



ナイスデイは、ジェスチャーでJJを挑発。

クイクイと指を動かし、かかって来いと煽る。



――上等だ。

ブースターオン。



拳が、蒼く‥‥、熱く‥‥。

燃え上がり、爆ぜる。





‥‥その瞬間。


まるで、大気を全て押し潰して、海に押し込んでしまいそうな‥‥。

強烈な魔力の奔流が、浮島の頂上から流れた。



‥‥‥‥。

‥‥。




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