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おとぎ裁判  作者: 神楽澤小虎
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【第1審】~25~



アケチが木槌(ガベル)を置いて法壇を去ると、

弁護士のブルーと検察官のロブも一礼をして法廷を後にした。


それを見送って、ジュードはひねり上げていたオオカミの腕を乱暴に離す。

毛並みが乱れ、床に膝をついたまま、その眼は焦点が合っていなかった。


「……クッ……ククククク

 何を偉そうに。あの裁判官め!!!

 僕だけがあの子をわかってる。僕に迷惑をかけまいと、

 あの子はわざとあんな………さよならなんて言ったんだ。

 そうだ。そうに決まってる。

 だから僕は行かなくちゃ。

 僕はKiller(キラー)になってやる。

 そして、()()()()世界に行く! 待っててね・・・赤ずきん。」


ジュードは、卑しいものを見るように見下ろし、

次の瞬間、華麗な動きでオオカミの頬を引っぱたいた。


「お前のような小悪党が、Killer(キラー)になれると思うな。」


いきなり部屋の隅まで吹っ飛ばされたオオカミの怒りは収まらなかった。

「執事ふぜいが僕をバカにするな!!

 本来ならもっと長く牢獄に入るべき罪を犯したんだ!こっちは!」

 

熱くなればなるほど、ジュードは冷徹になっていく。

「そうですか。

 残念ながらお前ごときが吠えたところで敵う相手ではありませんよ。

 あの人はまだ服役中ですからね。

 この幻火(まほろび)(やかた)という檻の中で。」


「………服役? 裁判長だろ? まさか………ハハッ………」


ジュードがポケットからジャラリと出したのは、冷たい鍵の束。

オオカミはその鍵に見覚えがあった。


「まさか・・・お前が看守・・・・」

「知らなくていいことだ。」


そう言うが早いか、ジュードは細い腕からは想像もつかない力で

文字通りオオカミを乱暴に屋敷の外につまみ出した。


屋敷の重厚な扉が閉ざされ、ガチャリと鍵をかける音が

夜明け前の森に響いた。






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