ノノにはできないこと
シュルシュルと衣擦れの音がして、シュシュの手によってシャツと肌着がいっしょにめくり上げられる。お腹に直接空気が当たって、少しくすぐったい。
へその周りをシュシュの指がくるくるとなぞる。シュシュからは見えていないだろうけれど、目の前にいるノノには見られているのだろう。
そこは人に見られてもいいけれど、見せるようなところではない。触ってもいいけれど、触らせるようなところではない。
しかし、見ないで、触らないで、と言うと余計に恥ずかしくなりそうで、僕はされるがままにシュシュにおへそを弄ばれていた。
人差し指で縁をなぞるようにくりくりと。中指と薬指で挟んでへそを閉じたり広げたり。そして、一番細い小指でへその穴の中心に――
「あっ、あっ、シュシュちゃん、ダメッ、だめぇっ……それ、禁止……!」
「くすっ……承知しました♡ ここは、ノノさんの特別ですね?」
シュシュは両手の指で僕のおへそを挟むと、くぱくぱとノノに向けて広げて見せた。
そこは見られてもいいし、触られてもいい場所……そのはずなのに、恥ずかしさを感じているのはどうしてだろうか。ノノの視線も、見てはいけないものを見ているかのように食い入っている。
「ズボン、少しだけ指を入れますね? ご安心ください。入れるのは指先だけ、先ほどと同じ位置を押すだけですから。ほんのちょっとだけで、十分なんです……こんな風に♡」
「うっ……うぅっ……っ」
シュシュの薬指と中指が、僕の下腹部に沈み込む。腹筋が全くない柔らかな肉を押して、僕の体の奥にある何かを指で押している。その度に、脳に甘い痺れが走った。指先をぐっ、ぐっ、と押し込まれるだけで思考が寸断されて、重く深い衝撃が全身に響く。
「ノノさん、いかがですか? 私からは見ることができませんから、教えていただけませんか? ほむら先輩は、どんなお顔をされているでしょうか?」
「っ……の、ノノもそれやる! ノノも同じことしたら、先輩だって同じ顔するもん!!」
「はい、どうぞ♡ ここですよ、ここ……ノノさんの位置からだと押しにくいでしょうから、ベルトは外しましょうか♡」
カチャカチャという音とともに、ベルトとホックが外される。ジジジっ、とジッパーが下ろされて、僕の下腹部を守るはずのズボンがぱっくりと開かれてしまう。
多分、下着が見えてしまっているだろうけれど……今の僕にとってはどうでも良かった。
シュシュに手を引かれて、ノノの右手が僕の下腹部に触れる。指先でふにふにと感触を確かめた後、ノノは遠慮がちに、ぐっと僕の下腹部を押した。
「ど、どう……せんぱい、気持ちいい?」
「? …………?」
「少し、弱いのかもしれませんね。こうですよ、ノノさん……こう♡」
「ぉっ……ふっ……」
「っ! こ、こう? せんぱい? これでどう?」
ノノが僕の下腹部をぐいぐいと押す。細い腕で力任せに、小さな体で体重をかけて、指先を柔らかなお腹に沈めてくる。
重い、苦しい、痛い、気持ち悪い……決して口には出せない感情が、僕の中に積み重なっていくばかりだった。
「な、なんで? ノノ、同じことしてるよ? どうして、シュシュちゃんの時だけ……? ねえ、せんぱい……せんぱい?」
「大丈夫ですよ、ノノさん。これはただの生理現象です。ほむら先輩のお気持ちは関係なく、ただそういう反応をしてしまうだけなのです。それに、ノノさんも練習をすればすぐにできるようになりますよ……このように♡」
「うっ……ふぅっ……あっ、ぉっ……っ」
僕の意志に関係なく、勝手に声が漏れてしまう。これが生理現象によるものならば、確かに納得がいく。まるで音の鳴る玩具にでもなってしまかったのようだった。
「せんぱい……?」
「はっ……はっ……うぁっ……んぅっ……」
目の前で僕を呼ぶノノの表情もわからないまま、僕はシュシュの指に悶えることしかできなかった。




