心情代弁コンビネーション
「吸って、せんぱい……たっくさん、いっぱい……もうちょっとだけ、お胸をおっきく膨らませようね……」
「ほむら先輩の中、空気がたくさん入ってきて……気持ちがいいですね……♡ 肺の内側にぎっちぎちに空気が詰まっちゃってますよ……お胸もパンパンで、今にも破裂しそうにビクビクしてます……♡ 出したい……♡ はやく空気を出したくて仕方がないですね……♡ はやくっ、はやくっ♡ って、ノノさんにおねだりしたくてたまらないですね……♡」
「はい、吐いてー……せんぱい、全部吐いていいよ……ノノよりちっちゃくなっちゃうくらいに、空気を全部出し切ろうねー……出して、いっぱい出していいよせんぱい……」
「ああ、やっと出せますね……♡ 我慢をたくさんしていた分、空気がたくさん出ちゃいますね……♡ ふーっ、ふーっ♡ 出すのが気持ち良くて止められないですね♡ ほむら先輩の中にあるもの全部出し切って、しぼんじゃうまでふーふーが止まらないですね……♡ いいんですよ、出して……小さなノノさんの言いなりになって、情けなく全部出しちゃいましょうね……♡」
「止めて! さっきのうそ! ちょっとだけ空気を残してせんぱい! えへへ……ノノ、シュシュちゃんみたいにできてる? せんぱい、もうちょっとだけがまんだよ? ぜんぶは出し切っちゃだめー……えへへ♡」
「残念……♡ 全部出せなかったですね……少しだけ空気が残ってるの、もどかしいですね……♡ ノノさんの気まぐれに振り回されちゃって、情けないですね……♡ でも、それが気持ちいいんですもんね♡ ぜんぶ出したい……出したい♡ はやくっ、はやくって身体が疼いちゃって……ノノさんへのおねだりが止まらないですね……♡」
勝負中でケンカ中というのが嘘のように、僕はふたりから息の合った攻めを受けていた。ノノの無邪気で幼い呼吸管理が、シュシュのせいでなんだか背徳的な雰囲気になってしまっている。
むしろ、これではシュシュの声の方が刺激が強い。まるでノノの指示が引き立て役で、シュシュの方にばかり耳が――
「せんぱい、めっ!」
――両の頬にぷにっとして温かい物が触れたかと思えば、僕の首は無理矢理右に回されていた。
「せんぱい、ノノを見て……ノノだけの声を聞いて……ね?」
不安に揺れる瞳。きゅっと結ばれた唇。上目遣いで僕に懇願するノノの顔。
ノノの手が両頬から離れた後も、僕の首は回ったまま固まってしまっていた。
「うん、そう……そのお顔だよ。そのお顔で、シュシュちゃんにも教えてあげようね……せんぱいはとってもカッコいいんだって♡」
カッコいい顔……出来ているのだろうか。ただノノに見惚れていただけなのだけど。しかしノノの顔は満足気だった。
ノノの言葉に興味を惹かれたのか、シュシュはノノの背に回り込んで僕の顔を覗き込んでいた。
「ふむ……へえ……これは、確かに……」
ピンと立てた人差し指を下唇に当てながら、シュシュはふむふむと何やら頷いている。ノノだけではなくシュシュまで言うのなら、もしかしたら僕はカッコイイ……のだろうか。そう思い始めた瞬間――
「あっ、かわいくなってきちゃってるよ! せんぱい、もっとカッコよく!」
――鼻先に人差し指を突きつけられながら、ノノに注意されてしまった。やっぱり、よくわからない……カッコいいって、なに……。
ノノの後ろで何度か頷いていたシュシュだったが、突然にやりと笑い始めた。それは漫画に出てくるような、好敵手の登場を喜ぶ強キャラのようで……とてつもなく嫌な予感がした。
「ノノさんに一本取られてしまいましたね。確かに、ほむら先輩にはカッコいい一面もあるようです。私も本気を出す必要がありますね……覚悟してくださいませ、ノノさん♡」
それ、覚悟が必要なのは僕の方じゃない……?




