至近距離のお友達
「えっ……あっ……いやっ、違くて……僕は別にシュシュ君に告白したわけじゃ……で、でも、シュシュ君が魅力的な人なのは、た、確かだからっ! ただ、僕はノノ君が好きでっ……だからっ、えっと……何か、上手く言えなくて、ごめん……」
「くすっ♡ 無理に言葉を尽くさなくていいんですよ、ほむら先輩。流石に冗談ですし、例え先輩にフラれても私は傷つきません。むしろノノさんがいらっしゃるからこそ、私も先輩の唯一になれるのですから」
確かにシュシュは特異な存在だろう。花のように綺麗で、猫のように蠱惑的。こんな男の子がシュシュ以外にもあちこちにいては、たまったものではない。
しかし、シュシュの魅力にノノは関係ない。唯一性にしたって、別に僕以外の人間にとってもそうだろう。
僕がその意図を汲めずにいると、シュシュは淑やかにため息を吐いた。ため息なのに嫌味っぽくなく、儚さすら覚える所作だった。
「まだお気付きになりませんか? お友達ではありませんか。先輩と後輩の関係ではありますが、私はほむら先輩の唯一のお友達……他にお友達なんて居たら、私は嫉妬してしまいますよ?」
「…………え?」
「なんですか、その反応は。もっと感動してくださると思っていたのに、まるで呆気にとられたように……私がお友達では不服ですか?」
「不服というか……え……友達? 友達って言ったよね? シュシュ君、僕のことを友達だと思ってるの? この……距離の近さで……?」
仰向けになっている僕の上にのしかかって、体をピッタリと密着させているシュシュ。首筋に吐息が当たるような近さで、耳かきだけでなく保湿まで含めた世話をしてくれているのに、シュシュは僕を友達だと言っているのだ。
シュシュが僕に想いを寄せている、と考える方がまだ自然ではないだろうか。
「いけませんか? 昔からこうですし、ノノさんにも同じように接していますが……特に何かを言われたこともありませんよ?」
ノノは確かに距離の近さは気にしなさそうだけれど、少数派だろう。僕と同じように、近さに動揺する人の方が多いに違いない。
シュシュの友達たちは、この距離の近さを指摘しなかったのだろうか。それとも、シュシュも案外友達が少ないのだろうか。
「そ、そうなんだ……シュシュ君は皆にこうなんだ……」
「いいえ、誰でもではありませんよ? 私にだって、人の好き嫌いはあります。厳密に言うなら、特別なお友達だけです」
特別なお友達。その一言で愚直に喜んでしまうから、僕はシュシュの掌の上で踊ってしまうのだろう。
「でも友達ってことは、そういうことなんだよね……? シュシュ君は、その……別に僕を誘惑しようとしてたわけじゃなくて……ただ距離が近かっただけって理解でいいんだよね? 今までのこと、全部さ……僕の勘違いってことでいいんだよね?」
「いいえ、誘惑はしておりました」
「あっ……そこは誘惑だったんだ……そうなんだ……えっ、ひどくない? 僕とノノ君が付き合ってるの知ってるんだよね?」
「はい……何しろ、これはノノさんからのお願いでしたから」




