のしかかりのこうかはばつぐんだ
「ほむら先輩、重くないですか? 私は大きい方ではありませんが……先輩、小さいですから♡ 一年も先に生まれているのに、私と同じくらい……♡ 成長期、まだなんですか? それとも、終わってしまいました? その内、ノノさんにも越されてしまうかもしれませんね♡」
ノノの名前を聞いて、ようやく僕は思い出した。今の僕は、心の中のノノに見守られているということを。
「な、何してるの、シュシュ君!? ダメだよ、こんな……こんなっ……浮気になっちゃう!!」
「くすっ♡ 今更ですか? 少し、遅いですね。私に言われてようやくだなんて……でも、気付けてえらいですよ♡ ちゃんと先輩はこの状況の意味に気付けた……だから、大丈夫です」
「大丈夫って、何が!? こんなところ、誰かに見られたらっ……」
仰向けになっている僕と、その上に覆い被さっているシュシュ。さっきまでは甘えているだけという言い訳もできたかもしれないけれど、この恰好は致命的だ。
誰がどう見たって、浮気の現行犯にしか見えないだろう。しかし、シュシュはそれすら楽しんでいるかのように、僕の耳元で熱っぽく囁いた。
「見られても、大丈夫なんですよ……だって、先輩は望んでこうなっているわけではありませんから。周防しゅうにのしかかられた結果、内沢ほむらは仕方なくこうなっているんです。決して、先輩の意志ではない……違いますか?」
「それは、そうかもだけど……でも……」
「でも……なんですか? ほむら先輩は被害者なんですよ? 同意さえしなければ、この体勢で私を求めなければ、浮気にはならないんです。だから、手は浮かせたままですよ……間違っても私の背中に回さないでくださいね? ちゃんと抵抗もできないようにしてあげますから。少しだけ我慢ですよ……絶対に喜んじゃだめですよ? 行きますよ……ぎゅうぅ~~っ♡」
密着していたシュシュの体が、僕の身体に沈み込んでくる。肩に、胸に、お腹に感じる重みが強くなっていく。
まるで柔らかな布団に包まれているような圧迫感は心地よく、思わず意識を手放してしまいそうだった。
「ほら、これで先輩は抵抗ができませんね……♡ だって力で敵わないのですから、これは仕方のないことなんです。だから、そんなふにゃふにゃの抵抗は止めて、諦めてください?」
無理やりなら浮気にはならないかもしれない。でも、ノノが見たらきっと傷つく。
ノノを悲しませないために、ノノに誇れる自分であるために、僕は必死に抵抗しようとはしていた……ふにゃふにゃ呼ばわりされてしまったけれど。
「うぅ……うぅ~っ……」
「いいですよ、その調子です先輩♡ ちゃんと嫌がれてますね……♡ う~♡ うぅ~♡ って、可愛く呻いて……上手♡ 呻くの上手ですよ、先輩♡ こんなのは重いだけですもんね……ノノさん以外にくっつかれても不快なだけ……♡ 嬉しくない……全然嬉しくないですね……♡ ほらっ♡ ほらっ♡ こうやってっ♡ もっと圧をかけて差し上げます♡ 苦しくて、重くて……全く喜べないですよね……っ♡」
僕に被さりながら上下に揺れるシュシュ。エクササイズでもしているかのようで、結われた黒髪も楽しそうに跳ねている。
シュシュの体が沈む度に、押し出された吐息が唇から漏れていく。胸やお腹などの、ふたりの柔らかい部分が押し合って苦しくなる。
シュシュの体が浮く度に、失われた酸素を補填しようと肺が膨らむ。重圧からの解放は心地良さを感じると共に、じれったさがじんわりと胸に広がっていく。
もっといっぱいして欲しい、なんて思ってない。
もっと強くして欲しい、なんて望んでない。
今の僕が口にしたところで、ノノは信じてくれないだろう――
――だって、僕自身が信じられないのだから。
「うぅっ……うぅ、うぅ~っ……」
「ぎゅっ♡ ぎゅっ♡ ぎゅうぅ~~っ♡ 熱い……♡ 先輩の体、火照っていますね。でも、喜んではいないですよね? これはただ、密着しているから熱がこもっているだけ……こうやってっ♡ ぐっ♡ ぐぅっ♡ って押し付けた時に呻いてしまうのは、苦しいからですよね♡ お耳が真っ赤なのも、私から逃れようと必死だから……ああ、そういえば思い出しました♡ ノノさんが教えてくれましたよ? 先輩のお耳って……くちゃいんでしたっけ?」




