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あまあまでサドサドな男の子たち  作者: papporopueeee
放課後の教室デート編

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すごく硬いものと、柔らかく湿ったもの

「がじっ、がじがじがじ……がぶっ♡ がぶっ、がぶぅ♡ どう? せんぱい、痛い? 痛すぎない? ノノ、ちゃんと噛めてる?」


「うんっ……ちゃんと、痛くできてるっ……できてるよっ」


「そっかぁ……♡ 良かった。でも、もう少しだけ強くするね? 少しだけ、ほんの少しだけだから……せんぱいのお耳噛んでたら、気持ちよくなってきちゃって。なんでかな……ガムとかグミとは違って、こりっ♡ って食感が楽しくて……がじっ♡」


「~~っ」


 痛い。痛くないはずが無い。だって、噛まれているのだ。ノノは小さいとはいえ、歯の硬さは変わらない。

 耳の神経が歯に押し潰されて、悲鳴を上げるように痛みの信号を放っている。軟骨に歯が食い込んで、へこんだ形で固まってしまいそうだ。中身が出てしまうんじゃないかと思うくらい、耳たぶが潰されている。


 痛い。痛い痛い痛い。痛くて、痛くて、痛くて――


「くすっ♡ せんぱい、うれしそうだね? お口がニコってしてるよ?」


 ――このままでは、狂ってしまいそうだ。


「お耳のこりこりをーはぐっ♡ こりっ♡ こりっ♡ おいひぃ♡ おいひぃよぉ、せんひゃい♡ こーり♡ こーりぃっ♡ やわやわな耳たぶもぉ、がぶぅ♡ やわやわ~♡ がぶっ、がぅっ、がぶうぅ~~っ♡ えへへぇ、あとが残っちゃった……♡ 取れなくなっちゃったらどうしよっか……ねえ、せんぱい♡」


 ノノに加減をしてくれる様子は無い。食べ物の咀嚼と同じではないけれど、じゃれ合いの範疇に収まっているかはギリギリだ。


 きっと、僕の耳は歯形だらけになっているのだろう。僕がノノに負けたことが、誰が見てもわかるくらいに。降伏して敗北を認めた証が今も一つ一つ耳に刻まれて……僕はそれを喜んでしまっている。


 もっと噛んで欲しい。ノノの名前をたくさん書いてほしい。僕から全部を奪って欲しい。

 強引に、無邪気に、無理矢理に、わがままに――


 ――悪意なんて欠片もない笑みを浮かべながら――


 ――いつも通り僕をノノで塗りつぶして欲しい。


「がぶがぶ♡ あぐあぐ♡ はぐっ……あっ、そうだ!」


 僕はその声を知っている。ノノは何か碌でもないことを思いついたようだ。大抵は僕を悶絶させるようなことだけれど、ノノにそんな意識は無い……ただ楽しんでいるだけなのだ。


「ふふ……せんぱい、ちょっとだけ失礼するね? あー――」


 ノノが口を大きく開けたことは見なくてもわかった。そのまま勢いよく耳を噛み締めるなんてことは、いくらノノでもしないはず……しないはずだから、どうか僕の心臓には落ち着いていただきたい。


「――むぅ♡」


「ひゃぁっ!?」


 突然、僕の耳が閉じ込められた。生暖かくて、湿っていて、とても狭い空間に拉致されてしまった。


「えへへー……どう、せんぱい? おもしろい? どんな感じ?」


 ノノが何かを喋っているが、その内容は僕には定かではない。発音がぼやけているし、ひどく反響しているからだ。

 ノノは僕の耳を口に含んでいた。唇を耳の付け根にぴったりと付けて、僕の耳を粘膜で包み込んでいた。


「せんぱい? どうしたの? もしかして、これいや? 止めた方がいい?」


「う、ううん? ちがうよっ……そうじゃないよ? ぜんぜん、いやじゃない……」


 ノノが離れようとしたのを感じ取ったので、思わず雰囲気で否定してしまった。離れないでと懇願してしまった。


「ね、ねえ、もっとっ……もっといっぱい話してみて欲しいな? こ、このまま……このままで……」


「うん、わかった! やっぱり、おもしろい感じする? ノノもあとでせんぱいにやって欲しいなー♡」


「うんっ……うんっ、そうだね……?」


 意味もわからないままに、ノノにそれっぽい相槌を打つ。集中すれば内容も理解できそうだったけれど、僕は今それどころじゃない。


 ノノは気付いていない……というより、意識できていないようだ。小さな口で耳を咥えれば、当たり前のように耳と口内が触れ合う。湿っていて、温かい、心地良い感覚に包まれて、全身が包まれているような錯覚さえ覚える。


 湿り気を帯びた耳に、喉から漏れた吐息が直接当たる。鼓膜だけでなく、耳全体がノノの声で震え上がる。


 そして、何よりも……口の中をチロチロと動く存在が居た。ノノが喋る度に一生懸命動くそれは、時折僕の耳を掠めていく。その瞬間が愛おしくて、待ち遠しくて、僕は空返事を繰り返した。


「せんぱい、お耳痛くない? ノノやりすぎてなかった? あのね、せんぱいのお耳って上っかわがおいしいんだよ。せんぱいにも食べてみてほしいなぁ……♡」


「ふ、ふぅんっ……へぇっ、っ……うんっ、うんっ……そう、なんだっ……~~っ」


 ノノが気づいてしまったら、この時間はすぐに終わってしまうだろう。

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