【18-4】魂への呼びかけ
「どうした、英雄殿! お前の相手は不死身だ! どうやって倒すのかな? ハッハッハ!」
公爵の嘲笑が地下室に響く。 アーサーは、護の攻撃を受けて鎧が砕けても、体内に埋め込まれた魔石の力で瞬時に修復し、傷を塞いでいく。体力無限、痛み無効の殺人兵器。
だが、護は諦めていなかった。 斧を振るい、鍔迫り合いを演じながら、彼は目の前の「人形」に大声で語りかけた。
「おい、アンタ! 聞こえてんだろ!」
ガギィン! 火花が散る。護はアーサーの顔を至近距離で睨みつける。
「その剣は、そんな風に使うためのもんじゃねえだろ! アンタの剣は、泣いてる奴を守るためのもんなんじゃねえのか!?」
護の言葉に、アーサーの動きが一瞬、ぎこちなく止まる。プログラムのエラーのように。
「本当は、良い奴だったんだろ!? なんで、こんな奴の言いなりになってんだ!」
護は、脳裏に浮かぶセラフィーナの涙を、拳に乗せる。
「セラフィーナちゃんが、アンタのこと見て、泣いてたぞ! アンタは、あの子の英雄だったんじゃねえのかよ! アンタが命がけで守りたかったもんは、そんなちっぽけなもんだったのかよ!」
「無駄だ! その体は、もう私の完璧な人形なのだから! 心など……」
公爵が勝ち誇ったように叫んだ、その時。
ピタリ。
アーサーの動きが、完全に止まった。 振り上げられた大剣が、空中で静止する。 その兜の奥、ガラス玉のように虚ろだった瞳に、微かな、しかし確かな理性の光が宿る。
「……セ……ラ……」
ノイズ混じりの、錆びついた扉をこじ開けるような、掠れた声。 それは、命令された言葉ではない。彼自身の魂が絞り出した言葉だった。
「フィー……ナ……」
その名を呼んだ瞬間、アーサーの体が紫色の魔力に包まれ、バチバチと火花を散らして激しく痙攣し始めた。 主への反逆。制御術式が作動し、彼の体を内側から破壊しようとしているのだ。
「ガ、アアアアッ!!」
「なっ……!? そんな馬鹿な! 意識など、残っているはずが……! ありえん!」
公爵が、初めて焦りの表情を見せ、絶叫した。 最高傑作が、たかが冒険者の言葉一つで壊れようとしている。
「ええい、役立たずめ! さっさと殺せぇぇぇ! 自爆してでも、そいつを殺すんだアァァァサァァァアア!!!」
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