【18-3】二つの死闘
「やはり、英雄殿も来てくれたか! 役者が揃ったな!」
公爵は驚きをすぐに収め、むしろ歓喜の表情を浮かべた。
「アーサー、あの二人はどうでもいい! あの英雄殿のお相手をしろ! なに、多少傷ついても構わんから、存分にいたぶってやれ!」
そして、公爵は不気味な笑みで奥の檻を指差した。
「君たちには、こいつらのお相手をしてもらおうか」
檻が開かれ、中から呻き声を上げる集団が現れた。 それは、行方不明になっていた冒険者たちだった。だが、その姿は変わり果てていた。肌は土気色に変色し、目は赤く充血し、理性を失った魔物のようになっている。
「殺して……くれ……」
「助け……て……」
口々に漏らす言葉は、残されたわずかな人間性の叫びだった。
「趣味が悪いな……!」
カゲロウが吐き捨てる。
「護! そっちは任せた!」
「おう! 思いっきり暴れてやる!」
護はアーサーに向かって突進し、カゲロウとメルは元冒険者の群れへと向かった。
「オラァッ!」
護の戦斧と、アーサーの大剣が激突する。 力では護が上回る。だが、技術ではアーサーが圧倒していた。 アーサーの剣は、感情がないゆえに迷いがなく、機械のように正確無比だ。護の豪快な攻撃を紙一重で躱し、カウンターで鋭い斬撃を叩き込んでくる。
「ぐっ……!」
護の頬を、剣先が掠める。 だが、護は引かない。これまでの戦闘経験を経て、彼の戦闘センスは研ぎ澄まされていた。 目で追うのではなく、相手の「気」と「筋肉の動き」を読む。 護は、アーサーの剣筋を体で感じ取り、徐々に対応し始めていた。
一方、メルとカゲロウは苦戦を強いられていた。 相手は元人間。しかも、助けを求めている。
「くそっ……!」
カゲロウは峰打ちで応戦するが、痛みを感じない彼らには効果が薄い。数に押され、じりじりと後退する。
「カゲロウ、下がれ!」
メルが叫び、錬金術で生成した催涙弾と麻痺ガスを投げ込む。 紫色の煙が充満し、元冒険者たちの動きが鈍る。 カゲロウはその隙に、彼らの武器だけを弾き飛ばし、関節を外して無力化していく。 それは、倒すためではなく、救うための、苦しい戦いだった。
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