【18-2】公爵の独白と、石像の破壊
「答える前に、こちらが聞きたい」
メルが一歩前に出る。
「あの実験室で、何を作っていた? あのおびただしい数の実験器具と、魔物の死骸……ただの道楽じゃないはずだ」
「気になるかね? まあ良い、冥土の土産に聞かせてあげよう」
公爵は、自らの偉業を誇示するように、朗々と語り始めた。
「あれは、未来への投資だよ。この街に溢れる冒険者や、金のない孤児や貧乏人……社会の役に立てず、ただ死んでいくだけの『素材』に、新たな価値を与える、素晴らしい研究さ」
彼は、数年前の「朱の市場暴動」も、開発中だった薬の戦闘データを取るために、わざと引き起こしたこと。そして、その混乱の中で運良く、英雄アーサーという「極上の素材」を手に入れたことを、何のてらいもなく話した。
「な……ッ!」
あまりの非道さに、カゲロウが絶句する。メルは怒りで体を震わせた。
「なぜ、そんな非道なことを……!」
「ドクター・モルゴーとの大事なビジネスのためさ。彼が求める最高の『素材』を提供し、見返りに『力』と『富』を得る。そして、実験でできた魔物紛いの兵士は、他の貴族や他国に高く売れる。需要と供給、実に素晴らしいビジネスだとは思わんかね!」
公爵の高笑いが、地下室に響き渡る。
「さて、講釈は終わりだ。そろそろ幕引きにしよう」
彼は玉座から立ち上がり、アーサーに指先を向けた。
「アーサー、あの二人を捕らえろ。抵抗するなら、殺していい」
虚ろな瞳の騎士が、命令に従い、大剣を引きずりながら歩み出る。 カゲロウが刀を抜き、メルがポーションを構える。 その時だった。
「――護ッ!!」
メルの絶叫に応えるかのように。 公爵の背後、中庭の回廊に飾られていたはずの巨大な戦士の彫像が、内側から爆発した。
ドッカァァァァン!!!
「なっ!?」
飛び散る大理石の破片。舞い上がる粉塵。 その中から、鬼の形相をした巨漢が飛び出してきた。
「ヒーローはッ! 遅れて登場するってもんだぜぇぇぇッ!!」
護だ。 彼は彫像の破片を纏ったまま、弾丸のようなタックルで公爵の私兵たちをなぎ倒した。 突然の事態に、公爵が目を白黒させる。
「き、貴様……! まさか、彫像の中に……!?」
「(プハァッ!) ……死ぬかと思ったぜ! 中は狭いし、空気は薄いし、鼻は痒いしよぉ!」
護は大きく息を吸い込み、にやりと笑って戦斧を構えた。
「待たせたな、みんな! ここからは反撃開始だ!」
お読みいただきありがとうございます!
もし「面白そう!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、 ページ下の【☆】マークから評価や、ブックマーク登録をしていただけると、作者のモチベーションがマッハで上がります! (感想もお待ちしています!)
★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。




