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『Transients』〜異世界で筋肉無双してモテたい!〜  作者: NewSankin
第一章

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【2-4】連携と強襲

目的地の岩場に到着すると、フィンがすぐにマンティコアの巣を発見した。


「いたぞ。一匹だけだ」


 レオは護に向き直り、真剣な表情で言った。


「護、お前はここで見てろ。まずは、俺たちの戦い方を目に焼き付けろ。これが、お前の最初の仕事だ」

「……わかった。ちゃんと目に焼き付けておくぜ!」


 レオが合図を出すと、三人は息の合った動きでマンティコアに襲いかかった。レオが盾で突進を受け止め、ゲイルがその隙に横から槍を突き出す。マンティコアが苦紛れに毒のある尻尾を振り回すが、それを読んでいたフィンが放った矢が、正確に尻尾の付け根を射抜いた。よろめいたマンティコアの首を、レオの長剣が深々と切り裂く。見事な連携だった。


「(すげぇ……これがパーティーか……! 一人で戦うのとは全然違うな! 俺も早く、みんなで戦えるようになりたい!)」


 護は、三人の無駄のない動きに感嘆していた。一人で戦うのとは全く違う、信頼に基づいた戦い方。護は、自分も早くあの中に入りたい、そして、いつか自分のパーティーを作りたいと、心の底から思った。


「よし、討伐完了だ。フィン、証明部位の回収を頼む」


 フィンがマンティコアに近づき、ギルドに提出するための毒針のついた尻尾を切り取ろうとした、その時だった。  ゴ、と地を揺るがすような足音と共に、岩陰から巨大な影が躍り出た。


「なっ……! オーガロードだと!? なぜこんな場所に!」


 レオが叫ぶ。それは、単独でBランクに指定される強力な魔物だった。オーガロードは、手にした巨大な棍棒を、最も無防備なフィン目掛けて振り下ろした。


「フィン、避けろ!」


 ゲイルの叫びも虚しく、棍棒はフィンを的確に捉え、彼の体はくの字に折れ曲がり、岩壁に叩きつけられた。


「ぐはっ……!」


 オーガロードは、動かなくなったフィンに容赦なくとどめを刺そうと、再び棍棒を振り上げる。


「させっかよ!」


 レオとゲイルが斬りかかるが、オーガロードの分厚い皮膚には傷一つ付かない。


「(フィンが危ない! 俺が、俺が守らなきゃ!)」


 誰もが絶望した、その瞬間。


 ガギィィィン!!!


 凄まじい金属音と共に、オーガロードの棍棒が、突如現れた巨大な岩壁によって阻まれた。いや、違う。それは、オーガロードの前に仁王立ちした、護の戦斧『岩砕き』だった。地面にめり込んだ両足が、決して退かないという意志を示している。


「お前さんの相手は、この俺だ! フィンには指一本触れさせねえぞ!」


 護は、フィンを庇うように立ち、オーガから放たれる圧倒的な殺気を、その巨体で全て受け止めていた。


「(こいつ、スカーファングより遥かに強い……! ってか、腕が痺れる! でも……! 負けるわけにはいかねえ!)」


 オーガロードの攻撃は、一撃一撃が致命傷になり得る重さだった。棍棒が戦斧に打ち付けられるたびに、腕が痺れるほどの衝撃が走る。バルドの店主が作ってくれた防具がなければ、とっくに体が砕けていたかもしれない。だが、手の中にある『岩砕き』が、もっと力を込めろと、護に語りかけてくるようだった。


「うおおおおっ!」


 護は雄叫びを上げ、ただ受け止めるだけでなく、オーガロードの攻撃を弾き、捌き始める。その動きは荒削りだが、獣のような勘と圧倒的な筋力がそれを補っていた。


【フィン視点】


 意識が朦朧とする。全身が砕けたように痛い。俺はもう死ぬのか……。そう思った時、信じられない光景を見た。あのオーガロードの一撃を、新人の護が、真正面から受け止めている。あの、Aランクパーティーですらまともに食らえばただでは済まない一撃を。


(嘘だろ……? あいつ、本当に人間か……? まるで怪物だ……!)


 護の背中は、まるで城壁のようだった。オーガロードが何度棍棒を叩きつけても、びくともしない。それどころか、彼は笑っていた。


「なかなか良い重さだ。だが、俺の筋肉の前じゃ、そんなもん効かん! もっと来いよ! 俺はまだやれるぞ!」


 護が雄叫びを上げ、岩砕きを振り抜く。その一撃は、空気を震わせ、岩を砕き、オーガロードの体勢をぐらつかせた。


(なんだ、あの一撃は……前に一度だけ見た、王都のAランクパーティーのエース……いや、それ以上か……? あいつ、本当に新人なのか……?)


 俺は、畏怖と、そして感謝の念と共に、遠のいていく意識の中で、彼の戦いを見つめていた。


【護視点】


「うおおおおおっ! 《剛拳ごうけん磐座いわくらクラッシュ!》 」


 渾身の力を込めた一撃が、オーガロードの棍棒を弾き飛ばし、がら空きになった胴体に深々と食い込む。断末魔の叫びを上げ、巨体はゆっくりと、地響きを立てて倒れた。

お読みいただきありがとうございます!


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★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。

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