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『Transients』〜異世界で筋肉無双してモテたい!〜  作者: NewSankin
第一章

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【2-3】初めての同行依頼

 見違えるような姿になった護が冒険者組合に戻ると、朝とは打って変わって多くの冒険者で賑わっていた。その中で、護の姿は一際、注目を集めた。


「おい、見ろよ……きのうの『クラッシャー』だぜ」

「すげぇ……ドワーフ製の特注品か? あの戦斧、俺じゃ持ち上がりもしねぇだろうな」


 周りの冒険者たちの囁き声を背に、護は誇らしげに胸を張ってコーラルのカウンターへと向かう。


「コーラルちゃん! 装備、整えてきたぜ! どうだ? 似合ってるか? これで俺も最強の戦士だぜ!」

「磐座さん! まあ、素晴らしい装備ですね!」


 コーラルは護の姿を見て、目を丸くした。昨日までのボロボロの学生服が嘘のような、屈強な戦士の出で立ちだ。


「はい、とてもお似合いです! 冒険者にとって、自分の身の丈に合った良い装備を揃えることは、依頼を達成するための最も重要な『前準備』なんですよ。それを怠って命を落とす方も少なくないんですから」


 彼女は優しく、しかし諭すように言った。


「それで、早速ですがお話していたパーティーの件、お引き受けいただけそうな方々が見つかりました。こちらへどうぞ」


 コーラルに案内されて向かったのは、ギルドの隅にあるテーブルだった。そこには、軽鎧をまとった三人の男たちが座っていた。リーダーと思しき、精悍な顔つきの剣士。少しやんちゃそうな雰囲気の槍使い。そして、物静かで鋭い目つきの斥候風の男。


「ご紹介します。こちらはCランクパーティー『鋼鉄のグリフォン』の皆さんです。リーダーのレオさん、槍使いのゲイルさん、斥候のフィンさん。そしてこちらが、昨日登録されたばかりの新人、磐座護さんです」

「レオだ。よろしくな、磐座。話はコーラルさんから聞いている。俺たちでよければ、冒険者のイロハを教えてやる」


 リーダーのレオが、実直そうな笑みで手を差し出す。護もその手を力強く握り返した。


「磐座護だ! よろしく頼む!!」


 彼らが受けたのは、「街道に出没するマンティコアの討伐」というCランクの依頼だった。マリーナの街を出て、討伐対象がいる岩場地帯へと向かう道中、レオたちは護に冒険者としての様々な知識を教えてくれた。


「いいか、護。まず基本は索敵だ。フィンのように、常に周囲の気配を探り、獣の足跡や糞、食い散らかした跡なんかを見つけて、魔物の種類と進行方向を読むんだ」

「なるほど! ってか、この匂い……獣の匂いだな! こっちの方からするぜ! 俺、鼻が利くんだ!」

「戦闘になったら、陣形が重要になる。俺が前衛で敵の攻撃を受け止め、ゲイルが中衛から槍で牽制し、フィンが後衛から弓や投擲で急所を狙う。お前さんのような戦士は、俺と一緒に前衛で壁になるのが基本だ」

「壁か! 任せとけ! 俺の筋肉は最強の壁だぜ! ってか、フィンさんの動き、すげぇな! あんな身軽に動けるのか! 俺にもあんな動きができたら、もっと美少女を守れるのにな!」


 話の流れで、ゲイルが護に尋ねた。


「そういや護、お前、魔法は使えるのか? ちょっとした明かり(ライト)魔法でも使えれば、洞窟探索とかで便利だぜ」

「魔法か……考えたこともなかったな。どうやれば使えるんだ? 俺もやってみたいぜ!」


 ゲイルが簡単な呪文を唱えると、その掌に温かな光が灯る。護は目を輝かせた。


「すげえ! 俺もやってみてぇ! 教えてくれよ、ゲイル! 俺にもできるかな!?」


 レオに教えられるがまま、護は精神を集中し、体の中の何かを掌に集めるイメージをする。確かに、腹の底から温かい力が湧き上がってくるのを感じた。


「(いける! この感じ……! なんだか体の中から力が湧き上がってくるようだ!)」


 しかし、その力を魔法として形にしようとした瞬間、霧のように霧散してしまう。何度やっても結果は同じだった。


「……なんでだ。力がある感じはすんだけどな……。うーん……何か足りねぇのか? むずかしいな、魔法って……」


 護は、生まれて初めての挫折に、子どものように肩を落とした。


「はは、気にするな。魔力があっても、それを上手く扱えない奴はたまにいる。お前さんには、その規格外の腕力があるんだから、そっちを伸ばせばいいさ」


 レオの慰めに、護はすぐに「そうだな!」と元気を取り戻した。

お読みいただきありがとうございます!


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★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。

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