【15-4】崩れ落ちた騎士と、護る背中
「アーサー、先輩……あぁ……」
セラフィーナは、戦場にいることすら忘れたかのように、その場に崩れ落ちていた。 彼女の心は、五年前のあの日、瓦礫の中で冷たくなっていた彼の姿と、目の前で無感情に剣を構える「それ」とが重なり、完全に飽和していた。
「排除する」
アーサーだったモノが、機械的な声を発する。 彼は躊躇なく、かつて守ろうとした後輩に向けて、無慈悲な大剣を振り下ろした。
「しまっ――!」
セラフィーナは動けない。ただ、迫りくる死の刃を呆然と見上げるだけ。 その時。
ドスッ!!
肉が裂け、骨が軋む鈍い音が響いた。 セラフィーナの視界が、真っ赤な飛沫で染まる。 斬られたのは彼女ではなかった。 彼女を覆い隠すように立ち塞がった、護の左腕だった。
「ぐ、ぅううう……っ!!」
護が苦悶の声を漏らす。大剣は彼の腕に深く食い込み、鮮血がボタボタと床を濡らす。
「護、殿……?」
「ボサッとしてんじゃねえ!!」
護の怒声が、セラフィーナの鼓膜を叩いた。 彼は脂汗を流しながら、アーサーを睨みつけて叫ぶ。
「しっかりしろ、セラフィーナちゃん! あいつが誰だろうと関係ねぇ! 今、目の前にいるのは、お前を殺そうとしてる敵だ! 死にてえのかよ!」
「でも、彼は……彼は……っ!」
「あいつはもう、セラフィーナちゃんの知ってる先輩じゃねえ! 目を覚ませ!」
護は強引に剣を押し返し、アーサーを蹴り飛ばして距離を取る。 だが、セラフィーナの瞳からは光が消え、うわ言のように先輩の名を呟くだけだ。完全に戦意を喪失している。
「(くそっ、マジかよ……!)」
護は舌打ちし、片手で戦斧を構え直す。 周囲には無数の私兵団、そして目の前には規格外の力を持つ鎧騎士。 守るべき対象を背負い、護は孤立無援の死闘を強いられることになった。
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