【14-4】味覚の探求者
ヴィンチが去った後、護の腹がグゥと鳴った。 彼は会場の隅で、一流のシェフが目の前で肉料理を振る舞っているブースを発見し、吸い寄せられるように移動した。
「これ、食ってもいいか?」
「は、はい。どうぞ」
シェフが切り分けたローストビーフを、護は一口で頬張る。 もぐもぐ。ごくん。
「うめぇー!」
誰もが、彼がただの食いしん坊だと思った。 しかし、護は真剣な顔で、皿に残ったソースを指ですくって舐めた。
「けどよ、おっちゃん。このソース……太陽をたっぷり浴びたベリーの甘みは最高だが、ちょっと肉の脂に負けてるな。岩塩をもう一つまみ……いや、ほんの少しだけ柑橘の皮を削って入れれば、脂のキレが良くなって、全体の味がもっと引き締まるはずだぜ」
それは、元の世界でも異世界でも自炊を続け、素材の味と向き合ってきた彼ならではの、的確すぎる批評だった。 シェフがハッとして、すぐに手元の調味料で試す。そして、その味に目を見開いた。
「……素晴らしい! 味が、劇的に変わりました! お客様、あなたは一体……!?」
「ただの食いしん坊だ!」
周りで聞いていた食通の貴族たちも、護を見る目を変える。 ただの野蛮人ではない。確かな感性を持つ男だと。護の株は、本人が気づかないうちに爆上がりしていた。
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