【14-1】侯爵令嬢の正体
「へえ~、これが招待状か。すげぇ豪華だな」
騎士団詰所のテーブルの上。セラフィーナが提示した、金箔で縁取られた豪奢な招待状をまじまじと見つめながら、護は素朴な疑問を口にした。
「でもよ、セラフィーナちゃん。騎士団長とはいえ、役人にこんな高そうな招待状が届くもんなのか? 貴族のパーティーなんて、俺たち庶民には縁遠い世界なんだろ?」
護の問いに、横からメルが招待状を覗き込み、その上質な紙質と刻印された紋章を見て目を細めた。
「護の言う通りだ。これはただの招待状じゃない。王城で開かれる夜会の中でも、特に高位の貴族にしか送られない『特級』のものだ。一介の騎士隊長、しかも現場指揮官クラスに送られるものじゃないぞ」
メルが鋭く指摘すると、セラフィーナは観念したように小さく息を吐いた。 彼女は居住まいを正し、少しバツが悪そうに、しかし毅然とした態度で口を開いた。
「……隠していたわけではないのですが。わたくしは、ヴァイスリッター侯爵家の長女です。騎士である前に、貴族の端くれとして……このような場への出席も、逃れられない義務の一つなのです」
「こ、侯爵家……!?」
護が目を丸くしてのけぞった。 「侯爵」が具体的にどれくらい偉いのかは、彼の知識では「王様の次に偉い奴の、そのまた次くらい?」程度のアバウトな認識だったが、とにかく「すげぇお嬢様」だということは理解した。
「へぇ~! セラフィーナちゃん、本当にお姫様みたいなお嬢様だったんだな! すげぇな! どおりで言葉遣いが丁寧だと思ったぜ!」
「……お姫様ではありません。それに、騎士団では家柄など関係ありませんから」
セラフィーナは少し顔を赤らめ、謙遜するように言う。 カゲロウは「貴族」という言葉に、一瞬だけ複雑な色を瞳に宿したが、すぐに無表情に戻り、腕を組んだ。メルは、ヴァイスリッター家という王国内でも有数の武門の名家を思い出し、彼女の実力と、この国での立場の重さを再認識していた。
「この夜会は、フェルディナント公爵が主催するもの。彼の懐に潜り込む、絶好の機会です」
セラフィーナの瞳に、再び騎士としての決意の光が宿る。
「護殿、あなたにはわたくしの『護衛』として同行していただきます。形式上は、『特例で騎士団に協力する有力冒険者』という名目で」
「おお! ボディーガードか! 任せとけ、スーツなら似合う自信あるぜ!」
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