【12-6】筋肉vs鋼鉄、剣vs騎士道
ガイツの用心棒、「不砕の虐殺王」グラックが、護の前に立ちはだかった。 身長は護と同じく二メートル近い。その肉体は異常なまでに鍛え上げられ、まるで鋼鉄の塊のようだ。
「へへっ、楽しませてくれるじゃねえか、デカブツ!」
「へぇ〜! お前、なかなかいい筋肉してるじゃねえか!」
グラックの鋼鉄の拳が、轟音と共に護に叩きつけられる。 護はそれを戦斧の柄で受け止めた。
ドガァッ!!
衝撃で足元の床板が砕け散るが、護は一歩も引かない。
「(……硬ぇ! だが、それだけだ!)」
護はニヤリと笑い、攻勢に転じた。 戦斧『岩砕き』が、唸りを上げてグラックの体に叩きつけられる。
ガギィン!
火花が散り、甲高い金属音が響く。グラックの「不砕」と謳われた肉体に、初めて苦悶の色が浮かんだ。
「なっ……!?」
「どうした! もっと遊ぼうぜ!」
一方、セラフィーナは、護たちを「闇市場の用心棒」あるいは「敵対する傭兵団」だと誤解し、カゲロウに剣を向けていた。
「あなたたちの目的は何です! これ以上の狼藉は、王国の騎士として見過ごせません!」
剣に光を纏わせる《セイクリッド・エッジ》を放つ。 しかし、カゲロウはそれを柳のように受け流した。
「……話の通じない女だ」
セラフィーナの剣術は、王国騎士団に伝わる、洗練された「静」の剣。対するカゲロウの剣は、実戦の中で磨き上げられた、変幻自在の「動」の剣。 彼女の教科書のような剣筋は、カゲロウにとって、動きの先を読むことなど造作もなかった。
「くっ……なぜ、当たらないのですか!」
「お前の剣は綺麗すぎる。道場剣術では、俺は斬れん」
「そこだ! 護、相手の右膝が古傷だ! カゲロウ、騎士の剣筋は直線的だ、懐に入れ!」
後方から駆けつけたメルが、瞬時に戦況を分析し、的確な指示を飛ばす。 その声に、セラフィーナは一瞬戸惑った。
(指示を出しているのは……子供? それに、あの男たち……ただ暴れているわけではない?)
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