【12-4】白百合の騎士
突然の乱入者に、警備兵たちも、黒マントの一団も、等しく困惑し、動きを止めた。
「な、何者だ!?」
黒マントのリーダーが、フードを乱暴に取り払い、護を鋭く睨みつけた。 フードの下から現れたのは、白銀の髪をポニーテールにまとめた、凛とした美貌の女性だった。月光と赤い警報の光を浴びて、彼女が身に纏う白銀と青の全身鎧が輝く。 その瞳は、あくまで冷徹で、強い意志を宿していた。
セラフィーナ・フォン・ヴァイスリッター。 王都騎士団『白百合騎士隊』の隊長である。
「何者です、あなたは! 我々は王都騎士団! 公務の邪魔をする気ですか!」
その声は、鈴の音のように美しいが、鋼のように冷たい。
「騎士様!? マジかよ、超美人じゃねえか! 俺は磐座 護! 通りすがりの冒険者だが、美女のピンチは見過ごせねえ性分でな!」
護は空気を読まず、親指を立てて爽やかに笑いかけた。
「は……?」
セラフィーナは絶句した。 公務執行中に、空から男が降ってきて、いきなり口説き文句(?)を言われるなど、彼女の完璧な人生設計には存在しないエラーだった。
(な、何なのです、この男は……! 野蛮で、不躾で、そして……規律というものを一切理解していない! これが……冒険者……!?)
セラフィーナの額に青筋が浮かぶ。 これが、常識外れの「力」で突き進む護と、絶対的な「規律」の下に正義を執行するセラフィーナの、最悪の出会いだった。
「何をしている! 侵入者だ、一人残らず捕らえろ!」
警備兵のリーダーの号令で、場が再び動き出す。 思考停止していた警備兵たちが、一斉に襲いかかってきた。
「ちっ、話は後だ! いくぞ!」
護は戦斧を一振りし、迫りくる三人の警備兵をまとめて吹き飛ばした。 その圧倒的な怪力に、セラフィーナが目を見開く。
「……チッ、結局こうなるのか」
屋根の上で頭を抱えていたカゲロウも、諦めたようにため息をつくと、影のように戦場へと滑り降りた。 混乱に乗じ、的確な斬撃で騎士たちの死角をカバーする。
圧倒的な個の武力を持つ二人と、統率された騎士団の力が合わさり、警備兵たちは瞬く間に蹴散らされた。 護は、そのままの勢いで倉庫の巨大な扉を戦斧で叩き割る。
「お邪魔しまーす!!」
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