【12-3】交差する潜入者
深夜。 三日月小路は、不気味な静寂に包まれていた。 月明かりさえ届かぬ闇の中、三人は音もなく第7倉庫が見下ろせる隣の建物の屋根の上に潜んでいた。 倉庫の周りには、松明を手にした屈強な警備兵が、寸分の隙もなく配置されている。
「(すげえ警備だな……あいつら、全員そこそこの腕利きだぞ、たぶん)」
護が小声で感心していると、反対側の路地から、もう一組の影が現れた。 黒いマントで全身を隠した、十名ほどの集団だ。その統率の取れた動きは、ただのゴロツキや冒険者ではないことを示していた。
その集団が倉庫の裏口に近づいた、その瞬間。 地面に仕掛けられていた警報魔術が作動した。
『ウゥゥゥゥ――ッ!!』
甲高い警報音と共に、赤い光が辺りを照らし出した。
「チッ、罠か!」
黒マントの一団から、鋭い声が漏れる。 同時に、倉庫の扉が内側から一斉に開かれ、中から多数の警備兵たちが雪崩を打って飛び出し、黒マントの一団を包囲した。
「囲まれたか! 円陣を組め!」
絶体絶命の状況。 それを見た護の体が、作戦を無視して勝手に動いた。
「待て、脳筋! 作戦を忘れたのか! 静観だ!」
メルの制止の声も、彼の耳には届いていなかった。
「目の前で困ってる奴がいるのに、見過ごせるかよ! しかも、あっちのリーダー、声からして女の人だぞ! 美女のピンチかもしれねぇ!」
護は、屋根から飛び降りた。
ドォォォォン!!
凄まじい着地音と共に、護は警備兵たちのど真ん中に降って湧いた。土煙が舞い上がる中、戦斧『岩砕き』を構えて仁王立ちする。
「おーい! この俺が相手になってやるぜ!」
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