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『Transients』〜異世界で筋肉無双してモテたい!〜  作者: NewSankin
第一章

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【11-3】商人と少女の再会

護は、シェリーから貰ったハンカチを手に、ゲオルグ商会を訪れた。 突然の護の来訪に、商館の主人ゲオルグと、娘のシェリーは目を丸くし、そして心から喜んだ。


「護殿! よくぞご無事で! スタンピードでのあなたのご活躍、この街の者なら誰もが知っておりますぞ!」


ゲオルグが、興奮気味に護の肩を叩く。


「護さん! また会えて、嬉しいです……!」


シェリーの屈託のない笑顔に、護の顔も自然と綻ぶ。


「おう! この通りピンピンしてるぜ! 街の平和は、この俺の筋肉が守ったからな! シェリーちゃんたちが安心して暮らせるなら、オーガロードだろうがキメラだろうが、何だってぶっ飛ばしてやるぜ!」


護は胸を張って力こぶを作ってみせる。その単純明快な英雄ぶりに、ゲオルグは豪快に笑った。


「あ、そうだ! 二人を紹介するぜ! こっちが、俺のパーティーの仲間だ! こいつはカゲロウ! すげぇクールで、めちゃくちゃ強い剣士なんだぜ! で、こっちがメル! 生意気だけど、すげぇ頭のいい、俺たちの司令塔だ!」


「……カゲロウだ」

「メルクリウス・マグヌスだ。……この脳筋が、いつも世話になっている」


二人がぶっきらぼうに挨拶すると、護は再びシェリーに向き直り、デレデレした笑顔を浮かべた。


「なぁ、シェリーちゃん! 俺、Cランクになったんだぜ! 全部、シェリーちゃんみたいな可愛い子を守るためだ!」


コホン、とわざとらしく咳払いをする音が、護の隣から聞こえた。 メルが、じっとりとした目で護を睨みつけている。


「護。ゲオルグ殿を待たせている。私的な話は後にして、さっさと本題に入るぞ」


その声は平坦を装っているが、どこか不機嫌さが滲んでいた。 護はそんなメルの内心など露知らず、「お、おう、そうだな!」と慌てて本題に入った。


護は個室に通されると、事情をかいつまんで説明し、研究メモに記されていた「常識では手に入らない、希少な魔物の素材リスト」をゲオルグに見せた。 商人としての顔になったゲオルグは、リストを一瞥し、眉をひそめる。


「……護殿。このリストにある品々は、そのほとんどがギルドでも厳重に管理されているか、あるいは捕獲自体が禁止されている危険な魔物のものです。これだけの品を、継続的に、そして秘密裏に集めるとなると……通常の交易ルートでは、まず不可能です」

「じゃあ、どうやって……?」

「……『裏』のルートを使うしかありません」


ゲオルグは声を潜めた。


「冒険者が討伐した魔物は、本来ギルドの買取所に渡るのが正規のルート。しかし、そこから横流しされたり、密猟者が生きたまま捕獲した魔物を売買する、『闇市場ブラックマーケット』が存在するという噂です」


「闇市場……」

「その市場は、どこにある?」


カゲロウが核心を突く。


「マリーナのような港町では、ダリウス殿の目が行き届いており、大規模な裏取引は難しいでしょう。これだけの希少品が集まる場所となると、大陸で最も金と権力が集まる場所……つまり、エルドラドの王都アウロラに、その本拠地があると考えられます。高価な品を求める貴族や、秘密の研究を行う金持ちの魔法使い……『需要』がある場所にこそ、市場は形成されるのです」


「王都アウロラ」――。 三人の次の目的地が、明確に定まった瞬間だった。

お読みいただきありがとうございます!


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★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。

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