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『Transients』〜異世界で筋肉無双してモテたい!〜  作者: NewSankin
第一章

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【8-2】白い悪夢の崩壊

ただでさえ強力なゴーレムが、さらに戦闘中に進化していく。絶望的な状況だった。


「だが、弱点はある! 動力源はあの祭壇だ! 祭壇を破壊すれば、ゴーレムは止まる! カゲロウは陽動! 護は祭壇の破壊! ボクが君たちをサポートする!」


 メルが司令塔となり、三位一体の攻略戦が始まった。


「行くぞ!」


 カゲロウが、神速の動きでゴーレムの注意を引きつけ、撹乱する。彼の刃が白い装甲を滑るが、ダメージには至らない。逆にゴーレムの腕が、カゲロウのいた空間を薙ぎ払い、岩壁を粉砕する。


「(速いだけでは、いずれ捕まる……!)」


 メルが叫ぶ。


「カゲロウ、三秒後、右に跳べ!」


 言われた通りにカゲロウが跳躍すると、彼のいた場所にゴーレムの拳が叩きつけられた。メルの分析が、敵の動きを予測し始めていたのだ。  護は、二人が稼いだ時間を使って、一直線に祭壇へと向かう。しかし、ゴーレムは執拗に祭壇を守ろうとする。カゲロウの陽動を振り切り、祭壇へ向かう護の前に立ちはだかる。


「行けぇ! 護!」


 カゲロウが、自らの身を盾にするように、ゴーレムの前に飛び出す。


          ◇


 ゴーレムの拳が、無防備なカゲロウに振り下ろされる。  その瞬間、護が祭壇に到達。戦斧『岩砕き』を天に掲げる。


「うおおおおおっ! 《漢の一撃・磐座クラッシュ!》」


 護の渾身の一撃が、祭壇に叩きつけられる。  凄まじい轟音と共に祭壇は砕け散り、広場を覆っていた魔法陣の光が、急速に失われていく。  拳を振り下ろす寸前だった白いゴーレムは、ピタリと動きを止め、その体から力が抜けるように、ガラガラと音を立てて崩れ落ち、ただの白い砂の山となった。


 戦闘の終わりを告げる静寂の中、護は、張り詰めていた糸が切れたように、その場に膝をついた。


「はぁ……はぁ……終わった、のか……?」


 そこに、メルが駆け寄ってきた。


「護! 大丈夫か!?」

「おう……ちょっと、疲れちまった……」


 護がへらりと笑う。その姿を見て、メルは俯き、聞こえるか聞こえないかぐらいの、小さな声で呟いた。


「……ありがとう」

「ん? 何か言ったか?」

「な、何も言っていない! 君の聴覚に異常がないか、確認しただけだ、この脳筋!」


 メルは顔を真っ赤にして叫ぶと、プイとそっぽを向いてしまった。


          ◇


 疲労困憊の三人が、祭壇の残骸に近づくと、その中心に、守られるようにして置かれていた一つのものを発見する。それは、目的の『月光苔』だった。  しかし、苔の下には、もう一つ、見慣れないものがあった。羊皮紙に書かれた、一枚の研究メモだ。  メルが、そのメモを拾い上げ、そこに記された紋章を見て目を見開く。


「どうした、メル?」

「この紋章……それに、この術式の記述……。間違いない、これは……」


 彼女は、信じられないという顔で、震える声で言った。


「マギア共和国の、ドクター・モルゴーの研究室のものだ……。なぜ、こんな場所に……」


 仲間を探すための、ただの護衛依頼。それが、世界を蝕む巨大な陰謀へと繋がった瞬間だった。

お読みいただきありがとうございます!


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★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。

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