【6-3】囁きの洞窟への道
場面は再び、護たちの旅路へ。森の中を歩いていると、数匹のオークに遭遇する。 メルが即座に弱点を分析する。
「オークの弱点は火と、関節部! 効率的に倒しなさい!」
しかし、護はメルの指示を完全に無視した。
「うおおお! まとめてかかってこい!」
正面からオークの群れに突撃し、戦斧『岩砕き』を振り回す。オークたちは、その圧倒的なパワーの前に、なすすべもなく吹き飛ばされていく。 護が作った巨大な隙を突き、カゲロウもまた、メルの指示とは逆の左側から回り込み、逃げようとしたオークの首を音もなく斬り捨てた。 結果、あっという間にオークは殲滅された。
「人の話をちゃんと聞きなさい、この脳筋!」
メルが、かんしゃくを起こして叫ぶ。
「結果的に勝ったんだからいいだろ!」
護は、悪びれる様子もなく答える。
「…………(はぁ)」
カゲロウは、今日一番の深いため息をついた。 連携は全く取れていない。しかし、個々の戦闘能力の高さだけで、彼らはあらゆる障害を乗り越えていく。それは、パーティーと呼ぶにはあまりにも歪な、暴力の塊だった。
場面は、再び本部の会議室。幹部たちの報告を受け、総帥エイブラハムが静かに口を開いた。その声は静かだが、部屋の隅々まで響き渡る。
「ふむ……。この『人工魔石』の問題が、単なる魔物の暴走なのか、あるいは特定の国家による意図的な『攻撃』なのか……。まずはそれを見極める必要があるな」
エイブラハムは、各幹部に的確な指示を出す。
「アルドレッド、マギア共和国を含め、各国の国際情勢、特に不穏な動きがないか、改めて確認せよ」
「リヒト、貴様は犯人について、半分どころか、ほとんどあたりをつけておるのだろう? 言い訳は聞かぬ。犯人を特定し、その証拠を掴め」
「ゼノヴィア、緊急即応部隊の準備を。万が一、これが『戦争』の引き金となる場合、我らも動かねばならん」
それぞれの幹部が、厳粛な面持ちで頷く。そして最後に、エイブラハムはダリウスに向き直った。
「ダリウスよ、報告ご苦労だった。下がって良い。……ああ、それと、一つ頼みがある。その新人、磐座護に、いつでも良いから一度ここに来るように、と伝えておいてくれ。彼のような『規格外』は、我々が直接、見ておく必要がある」
場面は護たちに戻る。数日の旅の末、彼らはついに「囁きの洞窟」の入り口に到着した。 鬱蒼とした森の奥深く、巨大な岩の裂け目が、まるで大地の口のようにぽっかりと開いている。その奥からは、不気味な風が吹き出し、まるで何者かが囁いているかのような不気味な音が聞こえてくる。周囲からは、動物の気配が一切しない。
「ここが、囁きの洞窟か……。なんだか、嫌な感じだな」
護が、本能的な警戒心から呟く。
「フン、怖気付いたのかい、脳筋? さっさと入るよ。ボクの貴重な時間を無駄にしないでくれたまえ」
メルが、一行を促すように、先に洞窟へと足を踏み入れた。 カゲロウは、黙って洞窟の闇を見つめている。その目は、ただの洞窟ではない、何か別の存在を感じ取っているようだった。 護も意を決し、二人の後に続く。
護たちが何も知らぬ間に、世界は彼らを中心に、大きく動き出そうとしていた。
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