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『Transients』〜異世界で筋肉無双してモテたい!〜  作者: NewSankin
第一章

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【6-2】本部激震

その頃、護たちの旅路から遥か遠く離れた場所――リベルタリア自由都市同盟の首都、ポルト・リベルタ。そこに、ワールド・ギルド・ユニオンの本部はあった。  本部の地下深くにある転移室。空間が歪み、眩い光と共に、希少な転移門がその姿を現す。光が収まると、中からマリーナ支部のギルド長、ダリウスが疲れた顔で現れた。


 彼は、磨き上げられた大理石の廊下を抜け、ギルド総帥エイブラハム・ヴァン・デル・ヴァルトが待つ円卓会議室へと向かう。  重厚な扉を開けると、そこにはギルドの最高幹部たちがすでに集結していた。


 “アイアンフィスト”の異名を持つ、戦闘総括長官ゼノヴィア。  影のような気配をまとった、情報総監リヒト。  常に算盤を弾いている、財務長官ポルティア。  穏やかな笑みを絶やさない、渉外審議長アルドレッド。


 そして、上座には、ギルドの全てを統べる総帥、エイブラハムが静かに座している。  ダリウスの報告のために、世界の心臓部が、今、動き出そうとしていた。


「――以上が、我がマリーナ支部で発生したスタンピード、及び、特異個体に関する報告の全てだ」


 ダリウスが、マリーナで起きた一連の騒動、そしてオーガロードとキメラに埋め込まれていた人工魔石について報告を終えると、会議室の空気が一気に緊張する。


最初に口を開いたのは、戦闘総括長官ゼノヴィアだった。その瞳は、獲物を見つけた肉食獣のように爛々と輝いている。


「ほう、Bランク級のキメラを、たった二人で、だと? 片方はあのカゲロウか。奴の腕は聞いているが、スタンピードの群れとキメラを同時に相手にできるとは到底思えん。して、ダリウス。もう一人の新人……磐座護とは、一体何者だ? 詳しく聞かせろ」

「はっ。奴は、ただの『戦士』です。魔法も、特殊な技も使えません。ただ、その肉体一つで、あらゆる攻撃を受け止め、粉砕する豪快な男です」

「肉体一つだと?」


 ゼノヴィアは面白そうに顎を撫でる。


「ええ。その証拠に、奴は登録初日、Cランク冒険者が全力で殴っても傷一つ付かないドワーフ製の鑑定水晶を、片手で握り潰しました」


 ダリウスのその言葉に、それまで静かだった幹部たちが、僅かにざわめいた。ポルティアは「備品の損害賠償は請求なさいましたの!?」と叫び、リヒトは仮面の下で興味深そうに喉を鳴らした。


 ゼノヴィアは、その報告を聞くと、ニヤリと口の端を吊り上げた。


「ハッ! 面白い! 魔力だの小細工だのに頼らず、己の肉体と闘志のみで道を切り拓くか! 気に入った! そいつは、あたしと同類だ!」


 彼女は、護を自分と同じ、ただ強さのみを求める純粋な戦士だと勘違いし、満足そうに笑った。  その不穏な空気を断ち切ったのは、情報総監リヒトだった。


「磐座護……。面白いサンプルですねぇ。ですが、私が気になるのは『人工魔石』の方です。あれを造れるほどの天才は、大陸広しといえど数えるほどしかおりません。実は、同様の被害報告が、ここ数ヶ月で世界各国から少数ですが上がってきております」


 そして、犯人がわかっているのか「一体、どこの国の仕業なんでしょうねぇ」と薄気味悪い笑みを浮かべた。

お読みいただきありがとうございます!


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★更新予定 毎日19時に更新します。ストックはあるつもりなので、安心してお付き合いください。

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