【56-2】それぞれの夢と、現実の枷
エリオナは話題を変えるため、少し真面目な顔でアイリに尋ねた。
「ま、冗談はさておき。アイリんは、将来の夢とかあるん?」
「え? 夢、ですか……?」
唐突な質問に、アイリは少し戸惑いながらも、自分の胸の内を素直に打ち明けた。
「私は……地元に帰って、魔道具店を開きたいんです」
「魔道具店?」
「はい。学園で学んだ知識で、村のみんなの生活を少しでも豊かにできるような……例えば、農作業が楽になる魔道具とか、お年寄りでも安全に使える魔導ランプとか……。そんな魔道具を作って、みんなを幸せにしたいんです」
アイリは、故郷ののどかな風景を思い浮かべるように、優しく微笑んだ。
エリオナは、その健気で純粋な夢に、少し眩しそうな目を向けた。
「……アイリんはエエ夢持っとるのぉ。ホンマ、羨ましいわ」
「エリオナ先輩は、ないんですか? 夢」
「うーん、ウチの夢かぁ。なんかあったかなぁ……」
エリオナは、少し遠い目をして考える。
「今は、あのドロドロのクソみたいな家から出て、そのままマギアで骨を埋めたいかなぁ。占星術の研究者として、誰にも縛られず自由に生きていきたいわ」
「あの、素朴な疑問なんですけど……」
アイリは、恐る恐る尋ねた。
「家から出ていってしまったら、ご家族から『国に帰ってこい』って言われないんですか?」
「(少し複雑そうな顔をし)……まぁ、そう考えんのは自然やね。でも、ウチの両親は、マギアにコネができれば何でもええんよ。それがエリオットの婚約者だろうが、凄腕の占星術師エリオナだろうが、マギアの上層部に繋がるんなら、ウチの意思なんて何でもええんや。だから国に帰って来い言うよりも、マギアでの地盤を築き上げて来いって感じやな」
エリオナは、少し悲しい顔で自嘲気味に笑う。
「アイリんみたいに、『誰かを幸せにしたい』なんて、綺麗な夢、ウチにはもう見れんわ」
「エリオナ先輩……」
アイリが心配そうにエリオナの顔を覗き込む。
「でもまぁ、それもこれも、マモやんの働きと輝石祭の結果によっては何とかなるんやけどな」
エリオナが、再びニヤリと笑う。
「え? それってどういう……」
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