【56-1】少女たちの時間と「マモやん」の筋肉
「セオドアのおっちゃんって……マモやんって一体何者なん?」
「私にも……分かりません……」
聖マギア総合学園、旧校舎「占術部」部室。
護が、エリオナの依頼(という名の無茶振り)を受けて、「セオドアのおっちゃんにアポ取ってくる!」と嵐のように去っていった後、部室にはアイリとエリオナだけが残された。
静寂が戻った部室で、エリオナは淹れ直したハーブティーを一口すする。
神秘的なお香の匂いと、紅茶の香りが混じり合う。
アイリは、まだ護の残した衝撃(国家のトップと友達感覚であること)に混乱していたが、エリオナが楽しそうに口火を切った。
「いやー、しかし、マモやん、おもろい奴やなぁ。あんなデカブツが『おっちゃん』呼ばわりとか、いくら寛大なセオドア公爵でも苦労するわ。でも、なんや憎めへんのよな」
「ふふっ……護さん、いつもあんな感じなんです。真っ直ぐというか、裏表がないというか……」
アイリも、護の太陽のような無邪気な笑顔を思い出し、自然と頬が緩む。
「なぁ、アイリん」
エリオナが、円卓に身を乗り出し、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべた。
「マモやんって、実際どのくらい強いん? キメラ騒動の時は、ウチ、腰抜かしててほとんど見れなかったから分からんのよ。Aランク相当のアルトが興味持つくらいやから、相当なもんやとは思うけど」
「え、ええと……」
アイリは、昨日の路地裏でのゴロツキ撃退事件を思い出した。
「私も、実際に戦った姿をちゃんと見たのは昨日が初めてなんですけど……本当に、すごかったです……。10人くらいいた人たちを、ほんの数十秒で……ナイフや警棒を持った相手に、素手で……」
護が、自分を庇うように前に立ち、圧倒的な力で悪意を薙ぎ払った姿。
その広くて温かい背中を思い出すと、胸の奥が少し熱くなる。
「それと……」
アイリは、下宿先の窓から見た「朝の光景」を思い出し、ポッと顔を赤らめた。
「あ、あの……体も、すごかったですし……! 筋肉が、こう……!」
「(ニヤリ)ほう? アイリん、マモやんの裸でも見たん? もう大人の階段登ってるん?」
エリオナのイジるような視線に、アイリはカッと顔に血が上る。
「ち、違います! あ、朝、庭で鍛錬されてるのを、たまたま窓から見ただけで! 護さんは、上半身裸で、か、片手で逆立ち腕立て伏せを……!」
「片手で逆立ち!? アホやろ、あいつ! 物理法則無視しとるわ! ……で? どうやった? マモやんの裸。あの筋肉は、さぞかし立派やったんやろなぁ」
「も、もう! エリオナ先輩! 意地悪しないでくださいよぉ!」
アイリは、耳まで真っ赤にして両手で顔を覆う。
「ういやつよのぉ〜、アイリんは。カカカ。まあ、あれだけの筋肉なら、そらアルトも興味持つかもな。リゼットの雑魚どもが束になっても勝てるわけないわ」
エリオナは、楽しそうに笑いながら、アルカナカードを手遊びのようにシャッフルした。
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