【55-3】『古代の霊角』の情報漏洩
セオドアは、話題を変えるように、少し複雑そうな顔で切り出す。
「護殿、君に報告したいことがあるんだ。……いや、謝罪すべきか」
「ん? 報告? 謝罪? 何かあったのか?」
「君が『死を呼ぶ森』から持ち帰った、あの『古月の霊角』なんだが……どこからか情報が漏れたようで、国内外の貴族や大商人、ギルドの上層部から、問い合わせの連絡や譲渡の書状が後を絶たないんだ」
セオドアの言葉に、護は「へぇ、人気なんだな」と呑気な顔をしている。
「あぁ、仕事の邪魔になってる感じか? そりゃあ悪いことしたなぁ、ごめんなさい!」
護が自分の持ってきたものがみんなの仕事の邪魔になっているのだと思い素直に謝ると、セオドアは慌てて首を横に振った。
「いや、それはいいんだ! むしろ、貴重な素材を一時的に預からせてもらっているのはこちらなのだから。問題は、情報が漏れたことだ。今は私が『国宝級素材』として厳重に管理していることになっているが、もしかしたら、あの角が君個人の持ち物だと勘づく連中がいるかもしれない。そうなってしまったら……」
セオドアは、護の目を真剣に見つめる。
「今来ている問い合わせが、全て君に集中するかもしれない。あの角を狙う連中は、金や権力、あるいは暴力など、手段を選ばん者も多い。どうか、気をつけてくれ」
「わかった、忠告ありがとうな! おっちゃん!」
護は、事の重大さをあまり理解していない様子で、ニコっと笑った。
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