【55-2】繋がれる点と線
数分後、護がテント張りの臨時司令室に入ってきた。
キメラ・プライムとの死闘を経て、以前にも増して凄みを増した彼の『強者の残滓』に、周囲の研究者たちが「あれが、あのキメラを素手で……」と息をのむ。
「おっちゃん! 久しぶり! なんか大変そうだな!」
護は、そんな周囲の緊張感など意に介さず、いつもの調子で手を振った。
「護殿! 君は相変わらずのようだね」
セオドアは、その元気そうな姿に、呆れと安堵が入り混じった複雑な表情を浮かべた。
「病院からパジャマのまま逃げ出したと聞いた時は肝を冷やしたよ! 身体は……(護の分厚い胸板を一瞥し)大丈夫そうだね。常識が通用しないな、君は」
セオドアは、こめかみを押さえながらも、嬉しそうに笑う。
「へへっ、まあな! それより、早速本題なんだが……今、俺が依頼で関わってる女の子の先輩で、エリオナ・ヴェルデって子がいるんだけどよ。
おっちゃんと話し合いたいんだって。なんか、『星の導き』について話し合いたいらしい。あと、はいこれ」
護は、エリオナから預かった高級そうな小箱をセオドアにポンと渡した。
セオドアは、護のあまりにも軽い口調とは裏腹に、その名を聞いて表情を引き締めた。
「(小箱を受け取り)ヴェルデ家の者か……となると、この箱は……」
セオドアが箱の中身(精巧な装飾が施された短剣)を確認し、目を見開く。
「……やはり、『帝国の証』か。しかも、これは王族に近い、かなりの良家のものだ。なるほど、『星の導き』か……」
セオドアは、政治の暗闘と、この先の展開を先読みし、深く納得したように頷いた。
「そうなのか? よく分かんねえけど。それで、時間作ってもらえるか?」
「わかった。これほどの『証』を持参したのだ。無下にはできん。時間を作ろう」
セオドアは秘書に、明日の午後のスケジュールを極秘裏に調整するよう指示を出した。
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