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【第三部完結】灰に至るまで  作者: からん
第二部 英雄の逝く町にて
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第12話 契約

「おい!こっちも材料が足りてねぇぞ!」

「母さん、死なないで、お願い!一人にしないで」

「駄目です。工房からはもう限界って連絡が」

「技師様、頼む、こっちに来てくれ、妻が…子供が……」

「くっそ、いったいどうすればっ。はやく魔石を用意しろ」


 ウリウス商会・二階。


 客室から目覚めたクリシスはモイラとともに客室から出ると……あんまりにも衝撃的な光景で言葉を失った。


 ホールの吹き抜けに面した廊下。ウリウス商館の数千人も余裕に収納できるホールはいまや人に埋め尽くされている。


 地面いっぱいに横たわる顔色の優れない人、人、人。


 咳き込む者から、顔色そのものが真っ青になる人まで、そしてその隙間を縫うように動き回る医者らしき者たち。


「行くぞ、弟子ちゃん」


「でも、師匠、これはいったい」


 しばらく気を失っていたとはいえ、クリシスもまさか町がこんな事態に陥っているとは思いもよらなかった。


「もしかして、寝ている間にまた異形が攻めてきたとか」 


「あれ以来異形どもは襲ってきていない。ふむ、そういえば弟子ちゃんは異形が現れてから一ヶ月辺りの記憶が曖昧だったな。ハルトマン領が朽ちていく過程も覚えていない、か。まぁ、戦いとなれば必然的に病気がつきまとうものだ。いちいち驚いても仕方がない」


「しかし、」


「ほれ、突っ立ってないでさっさと動け。これに関してあたしらはどうにもできん。もっと有意義なことをしなくてはいけません」


 無理やり引っ張られて進み、クリシスはかつて通ったことのある応接室が並ぶ廊下を歩く。すると、背中の焦燥が遠ざかっていくと同時に、前のほうから言い争っているような声が聞こえた。


「会長、これが第三工房から物資の申請がきています。いかがなさいましょう」

「会長、難民キャンプの設置に関する報告書です」

「会長、城壁の修復案及び兵員補充案でございます。どうかご覧になってください。のちほどの防御を考慮して速やかに対応すべきかと」

「会長、義肢協会から人員不足の報告です。医術に心得のある者がまったく足りません!」


 クリシスが一度訪れたことのあるオフィスに、人溜まりができている。職人、兵士、医者。服装から職業が分かる人たちから、身なりの整った管理職に見える者たちまで、さまざま。手には紙の束やら道具やらを持ち、顔には疲弊しきっていた色が伺える。


 対して、彼らの中心。精巧に編み込まれた紫のドレスを着込んだ少女はクリシスが当初見た時とまったく変わらぬ上品な雰囲気が漂う。悠々とした態度で資料を改めて、逐一指示を出していく。


「アルキュミア、ちょっといいか」


 場の空気を一向に構わず、モイラはドアを叩いた。


 無論、室内の人たちは一斉に振り向くことになる。


 各々の視線が師弟二人に集中して、誰の顔にも疲労と焦燥が籠もっている。心なしか、クリシスはハルトマン領のことを思い出す。


 大広間で、たしかに領民の人たちもこんな顔をしていた。


「全員、退室してちょうだい」


 静かに微笑んで、ウリウス会長は軽やかな動きでデスクの後ろから立ち上がった。


 これは……たぶん待っている人たちの反感を買うのではないか……


 そうクリシスは不安になるが、しかしさっきまで剣呑な雰囲気を放つ人たちが二人を見た途端一斉に頭を下げ、室外へ向かう。すれ違い様に、クリシスに脱帽した者までいる。


「どうぞこちらへ」


 アルキュミアは招く仕草を一つ、モイラの後ろについてクリシスも室内に入る。


 見れば書類の束が散乱して、先日の整理整頓された印象の欠片もない。しかし、長身の補佐官が終始傍にいるため、おそらくすぐに使えるようにわざとこういうふうに放置しているのたとクリシスは思った。


 ある意味、町が陥る現状を代弁するような光景だ。


「クラニオ、お茶を」


「大変な時にすまんな」


「いえ、何百年も生きていればこれぐらい慣れてしまいますし、それに、部下たちは有能ですから」


 案内されて、モイラは接客用のソファーに座り込んで、慣れた手付きで煙管を口元に咥える。一瞬迷うが、クリシスはその隣に腰をかける。


「クリシス様も無事にお目覚めになられて、嬉しい限りです」


「いえ、その、こちらこそありがとうございます。客室を貸して頂いて、新しい服まで」


 あの戦いから、すでに三日も過ぎている。その後クリシスはしばらく昏睡状態に陥り、ウリウス商会の世話になった。いま羽織っているマントも特別に用意したものらしい。


「ふふふ。クリシス様はこの町を救ってくださった方ですから、そんなにかしこまらなくてもよろしいのですよ。わたくしにとって、あなた達を最優先にするのが当然ですから」


 にっこり笑い、ウリウス会長は注がれたお茶を持ち上げ、唇を濡らす。そのしっかり梳かれた黒金髪を目に、ほんとうにお人形さんみたいな方だとクリシスは先日と同じ感想が浮かぶ。しかし、これから話すことを思うと、どうも心が晴れない。


「アルキュミア。あたしたちはドレシアを離れるつもりだ」


 単刀直入に、モイラは本題を切り出す。


「あら、それはまた急なお話ですわね」


 深いベールの奥、アルキュミアは目を細めた。


 その口調こそ相変わらず上品さが漂うが、身に纏う雰囲気に明らかに変化があった。


 打算。


 少なくともクリシスはそう感じた。


「最初に言ったように。我々はベーゼという男の痕跡を追っている。この町に留まるのも彼の義肢についての情報がほしいからだ。でも、状況からしてこれ以上の代価を払うわけにはいかなくかったようです」


「ふ~ん、それは、クリシス様の髪を見て、出した結論でしょうか」


 ポニーテールにまとめたが、赤に交じる白はやはり目立つものだ。アルキュミアはすぐクリシスの身に起きた異変に気づいた。


「ないとは言わない。ただこれ以上巻き込まれるともう抜け出せない気がするんでね。すまない」


「けれど、何の情報も持たずに東へ行かれてしまったら難儀するのでは?」 


 モイラがクリシスを連れてドレシアに訪れた理由。


 それはベーゼの義肢に関する情報を割り出し、弱点をつくためだった。クリシスは実際に東大陸に行ったことはないが、西と同じぐらい広大なのは知っている。もし何の情報もなしに闇雲に探していたら、きっと膨大な時間を費やすことになるだろう。


 アルキュミアの言ったことは正論で、二人にとって耳の痛い話であった。


「それに、荷物もまだ回収されていないようですね。行くとしてもすぐというわけにはいきません。そうでしょう?」


 独り言を呟いているようで、同時に言い聞かせるような口調で、アルキュミアは言う。


 的確に痛いところをついてくる。


 クリシスは困った顔になるが、モイラはあくまで自然体だ。


「ああ、だからしばらくまだドレシアに滞在するつもりだ。荷物を回収し、情報も手に入れてからはすぐ東へ向かいます」


「ふふふ、つまり、折衷案というわけですか」


 手を口に添えて、ウリウス会長は静かに笑う。


「勇者候補のわりには交渉もお上手ですこと。モイラ様」


「その前に不死者だからな。旅を長く続けていれば自然と身につく。それに、商人のあんたには遠く及ばないと思いますが」


「ご冗談を。商談から降りるフリをして、自分の条件を出しやすいようにするのはなかなか勇気の要ることですよ。まぁ、わたくしも最初からドレシアに引き留めるのは無理があると理解していたつもりですけれどね」


 クリシスは半眼になる。


 やはり、この手の会話は苦手だと思った。


 それぞれの思惑が交錯し、言葉の裏に駆け引きが行われているような感覚は胸元をざわざわさせて、ときに寒気すら覚える。


「では、こちらも条件を変更させていただきましょう。モイラ様たちが満足してドレシアから旅立てるように、幾つかしてほしいことがございます」


 アルキュミアはしばらく無言のままコップの取っ手を眺めて、また切り出す。


「聞こう」


「実は、ドレシアにとって当面一番困っているのは異形ではなく、魔鉱石です」


「ドレシアが、鉱石で困っているのですか」


 考えたことを思わず口にしてしまって、クリシスは慌てて口を押さえる。


 ――モイラに睨まれた。


 それを見て、アルキュミアはクスクスと笑う。


「クリシス様はここ数日昏睡状態でしたのでご存じないかもしれませんが、実は先日の一戦以来、町中に疫病が蔓延しているのです」


 すっと、クリシスの首の後ろ辺りに悪寒が走った。


「我々は西と違い、教会による治療ができないため、病人の手当は魔石を用いるのが常です。そのうえ、防御に使う義体の製造やメンテナンスにもかなりの需要がありまして、備蓄が激しく消耗してしまいました」


 クリシスはホールの光景を思い出す。


 病人たちの間を駆け巡る医者らしい者たち。


 彼らはうっすら薄緑色のポーションを病人に飲ませていた。


「で?頼みはなんだ。鉱石の発掘はさすがに専門外ですけど」


「お恥ずかしい話。オルデンとの交渉をお願いしたいです」


「ふむ、弟子ちゃんにたかろうとしたやつらですか」


 やや呆れたように、モイラは足を組む。


「ええ、デミカスくんはお茶目な子ですからね。鉱山の採掘権を獲得してから本部も地下に根をおろして、あの手この手を使い、いまやドレシアの半分以上の魔石鉱を所持しています。なんというべきでしょうか。大変申し上げにくいのですが、デミカスくんは自分の支持者たちにしか販売しないようにしています」


「町の権力闘争か……採掘権を他人に握らせたあんたにも問題がありそうだね。アルキュミア」


「仕方がありません。あの人……デミカスくんはリアン・トルヴィスの血族ですから。町を創り上げた英雄の子孫を蔑ろにするわけにはいきません」


「えっ、」


 お茶を飲もうとしたクリシスは、コップを持ったまま硬直した。


 あのいかにも悪人のお爺さんがまさか英雄の血族。いったいどんな経緯があってあんなふうになったのか……


 クリシスにとってはまさに衝撃的な事実だった。


「なるほど、だから暴力にも訴えないわけか。お得意なおもちゃを使えばすぐでもこの局面を打破できそうなのに」


 すると初めて、アルキュミアは苦い顔をした。


「いいえ、わたくしはあくまで商人ですから、商人の方法に則って施政を行わなければいけません。暴力という手段を許してしまえば、ドレシアはドレシアではなくなってしまいます。リアン・トルヴィスが残してくれたこの町を、台無しにするわけにはいきません」


「可哀相なフリをするのはよしなよ。アルキュミア」


 モイラは嗤った。


 それもいつもと比べて不機嫌が三割増しといった具合だ。


「暴力に訴えれば相手は鉱洞もろとも爆発する危険があるから、やれなかっただけだろう。小細工をするのは結構だが、もう少し相手を選べ。リアン・トルヴィスの石像が握っているのは鉱石と剣だぞ。どう考えても商人の礼儀作法は優先度が低い。違いますか」


 あっ。


 クリシスは岩壁に彫り込まれた巨大な彫像をクリシスは思い出す。


 すると、にっこり笑い、アルキュミアは突如いつも見せていた柔らかい表情に戻った。


「モイラ様には誤魔化せませんね」


「欲張りだな。アルキュミア」


「ふふふ、貪欲は商人にとって最も重要な素質ですから」


 そんなやり取りを、クリシスは漠然とした思いで聞いていた。


 もしこの場にいたのがクリシス一人だったら、きっとすでに手の上で踊らされていただろう。悪意ではなく、柔軟な物腰で自分の有利な方向に誘導する姿勢、商会の主が話す言葉はある意味旧市街の支配者よりもずっと危険だった。


『他人の計画の一部になるのではなく、つねにあくまで計画に便乗する心構えが必要だ』


 師匠、これ……じつはとても難しいことではないでしょうか。 


 心の中でため息をついて、クリシスは小さくなる。


「で、どうしてほしいんだアルキュミア。あんたのことだ。考えぐらいもうありますよな」


「そうですね……モイラ様はいま旧市街で逗留している東の部隊をご存知ですよね」


「無論だ。西の情報のために2500金貨を立て替えてくれる優しい~人たちでしょう?」


「ええ、わたくしの情報によると、どうやら東の客人たちも魔石鉱のためにオルデンを訪ねてきています。そして、クリシス様が言ったように、東の情報に大層ご執心のようです」


 アルキュミアはクリシスを見る。


 目つきは優しい。


 しかしクリシスは何故か突如蛇に睨まれたネズミの気分が理解できた。


「なるほど、そういうわけか。なんとかして魔石鉱の取引を邪魔したいわけだな。オルデンから異邦との交渉をとれば、商会の言うことを聞くほかなくなります」


「はい、オルデンは魔石鉱の採掘権を手に入れてから生産する側に留まらず、独自で異邦人との交渉を始めたのです。今回の東の客人といい。ここ数年町に来て商会をスルーしてオルデンと交渉する方が後を絶ちません。ただ、いまは戦時中です。外の客人は殆ど来られない状況なのがむしろ救いになりました。もしあの東の客人がこちらに振り向いてくれれば、デミカスくんも蓄えていた魔石を吐き出すほかないでしょう。なにぶん、食料の生産はこちらが握っていますから。金貨がなければ下の者に食べさせるのも一苦労でしょう」


「ふむ」


 モイラは考え込んだ。


「弟子ちゃん、あんたはどう思います?」


「えっ」


 まさかここでバトンタッチされるとは思わず、クリシスはたじろぐ。


「つまり、東の方たちを説得すれば、デミカスさんの蓄えた魔石は商会の手に渡り、町は防衛や治療といった資源不足による危機から脱出できる、ということでしょうか」


「ええ、端的におっしゃるならば、そういうことになります」


 アルキュミアの視線で、クリシスは圧力を感じた。こっそりモイラを覗いてみたら、煙管を口元に咥えて、どうでも良さそうに天井を眺めている。


 これ、俗に匙を投げられたというんですよね。


 クリシスは半眼になる。


 そしてしばらくぼーっと机の柄を眺めて、なんとか考えをまとめる。


 情報が消化不良気味で、分析が思考に追いついていない。


 ここ数日の経験で、さすがのクリシスも一筋縄にはいかないだろうと分かってきた。


 そもそも、ウリウス会長は何をしたいのか――それはまるで見えてこない。


 対して、はやく礎の石を回収したいのがクリシスの本音だが、一方、ドレシアには異形に蹂躙されたくない気持ちも強い。


 しかし、師匠には自分の身を優先すべきだと言われてるし……


 クリシスは試しに頭を抱えてみたが、ストレスはこれっぽっちも減らない。


 心がもやもやして、はっきりとした答えが出てきたのに、それを損得勘定して計るのがとても辛かった。


「師匠、その……一度旧市街の方と話してみたいんですが、いい、ですか?」


 なるべく低い声で、クリシスは恐る恐る切り出す。


「ふむ、じゃ頑張れ」


「えっ」


 ああ……師匠の目、自分の尻は自分で拭きなさいと言っている。


 二つ返事で了承されて、クリシスはなんとも言えない気分になった。


「ふふふ、クリシス様、お引き受けいただけるのはとてもありがたいのですが、今度はその前にちゃんとそれなりの見返りを求めたほうがよろしいですわよ。我々人間は助け合って生きていくものですから」


「見返り……あっ」


 相手が困ると言い、半ば反射的にクリシスは許諾しそうになったが、言われて気づく。相手が出した条件も聞かずに頷くというのは、商談よりも義務や責任感に近い。


 モイラがやれやれと肩を竦める。


 アルキュミアはクスクスと笑う。


「では、次へ進みましょう。モイラ様とは、さらに詳しい契約を交わしたいので」


「そうだな。そう簡単に情報を教えてくれるあなたではなかろう。アルキュミア」


 組んだ足を解き、モイラは今度こそ真剣な表情になる。


「さきに言っとくが、このにで滞在するのは精々あと一週間だ。その時になったら、何があっても東へ旅立たせてもいますぞ」


「ええ、分かっておりますわ」


 クリシスたちが西大陸から旅立ってから、すでに半年も過ぎている。いまではどんな状況なのか知る由もないが、時間を無駄にする余裕はない。


 勇者が万全の状態で旅立たなければ意味はない。


 クリシスとしては一刻もはやく聖剣を取り戻して兄に渡したいのだ。


「では、この一週間のうちでよいので、モイラ様、異形の攻撃から町を守って頂けますか」


 アルキュミアの表情は静かだ。でもベールのうしろに映る目がすわっている。


 モイラはまたしても鼻で笑った。


「情報一つで町を守れというのか。随分虫のいい話ではないか」


「もしモイラ様が助けてくださるなら、我々ウリウス商会は今回の人魔戦争が終わるまで損得抜きで、東西の前線をサポートいたしましょう。大陸各地に点在する商館の物資や設備はもちろん、資金もすきなだけ動かして構いません」


 フリフリのついた袖から、アルキュミアは一枚の羊皮紙を持ち出す。


 ほぼ空白に近い書面に、ただ最後のところにだけ「人魔戦争が終結するまで」と「アルキュミア・マックリ・ウリウス」のサインが記されている。


 特製の塗料で記したのか。うっすら緑の光を放つ。


「これが契約書です。内容はすきなだけ書いて構いませんわ」


 !


 さすがのクリシスでも、これが何を意味しているのか分かる。


「面白いことをするな、アルキュミア。一歩間違えばウリウス商会が潰れるかもしれませんぞ」


 モイラはさらに嫌味を口にするが、アルキュミアは答えない。ただ補佐官に運ばれたお茶を一口含んで、余裕の笑みを作った。


「ったく、あんたってヤツは」


 モイラは大きく息を吐く。


 机に広げた羊皮紙をくるくると巻いて、雑嚢に押し込む。


 交渉成立。


 言葉こそないが、この場の人間にとっては暗黙の了解であった。


 クリシスは思う。


 こんな契約書を突きつけられたら、頭を横に振る人間はまずいないだろう……もしかして最初から師匠はこれを狙っていたのではないか。


 ウリウス商会の力が総動員できれば、たしかに戦況を有利な方向に運ぶことができるはずだ。


「いいだろう。望み通りにドレシアを守ってやる。ただし、上限はあくまで一週間です」


「ええ、それで構いません。むしろ心から感謝いたしますわ。モイラ様」


 紫のドレスを着込んだ商会の主は曖昧な笑みを浮かべる。しかし、その華奢な体を包んだ洋服を目に、クリシスはなぜか当初見た輝きを失ったような気がした。


 ギシッと、どこかで歯車が動き出したように、不吉な感覚が少女の心を捉える。

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