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Armed Wizard Vanguard(アームド ウィザード ヴァンガード)  作者: 伊森 維亮
第二章 追憶よりの魔手(アサルト フロム ザ パスト)
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協力を望む者、望まない者

「アビゲイルは大領主付きの魔導士となってから、外部との接触を全て立っている。恐らくは、彼女が何かしらの計画に参与しているのは、間違いないだろう。だからこそ、さっき君達が彼女の名前を口にした時、思わず僕も浮足立ってしまったという訳さ」

「俺達は前に、その魔女の仲間らしい『悪魔』って奴に襲われた。アビゲイルがメリッサを狙っているのと、今回の騒動は、何か関係があるのか?」

「それは、僕にも分からない。だけど、もし君の話が事実であるなら、騎士団としても君や彼女の身柄を保護する用意はある。今はどんなに小さなものでも、彼らの動向を解明する糸口が欲しい状況だからね」

「こちらの身の安全を保障する代わりに、アビゲイルについての情報を提供しろってことか。だが、もしあいつが持ってる情報が、お前らの気に入るような内容じゃなかったらどうする?」

「その保険も含めて、君には鋼骸器に関する知識を、僕達に貸して欲しい。例の大領主が採集したと思われる鋼骸器が、いったいどんな性質の物なのか、僕達には見当さえ付かない。だけど、鋼骸種である君なら、その正体についてある程度の予想は付くんじゃないか?」

超能力者(エスパー)じゃあるまいし、現物も見ていないのに言い当てられはしねえよ。だが、どんな形状の物だったか分かっているなら、ある程度は絞り込めるかもしれないな」

「何にしても、彼らが鋼骸器を何らかの目的のために用いようとしているのは明らかだ。その真意を探るためにも、君みたいな専門家の力を、是が非でも借りたいんだ。君の仲間である彼女や、この土地の平穏を守るためにも、力を貸してはくれないか?」


 力を込めてそう言葉を切ったヒルデブレヒトは、曇りない瞳でカイトを真正面から見据える。

 固く唇を引き結んで答えを待つ相手に、カイトは考えあぐねるように視線を爪先へ落とす。

 (うなじ)を乱暴に(こす)りながら考えをまとめていた彼は、やがてその手で膝を打つと、ヒルデブレヒトからの申し出を快諾(かいだく)した。


「分かった、お前達に協力しよう。一応確認だが、後で上からの意向で、用が済んだら俺を討伐するなんて破目にはならないよな?」

「君達の安全は、僕の誇りと命に掛けて保証するよ。信じてくれて良い。だけど、こちらの頼みを聞き入れてくれたのは嬉しいんだけど、あの彼女の許可をもらわずに決めて大丈夫かい?」

「問題ないさ。あいつがこの話を断るはずはないし、後で伝えても喜んで受け入れ―」

「断る!! 嫌だ、絶対に!! そんなの、私は、絶ッ対に認めないから!!」


 突然、何かがぶつかったようなけたたましい音と共に、甲高い絶叫が部屋へと轟き渡る。

 驚きから振り返ったカイトの目には、開け放たれた作業場の扉の前に仁王立ちし、自分達を憤怒の形相で睨み付けているメリッサの姿が映った。

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