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Armed Wizard Vanguard(アームド ウィザード ヴァンガード)  作者: 伊森 維亮
第二章 追憶よりの魔手(アサルト フロム ザ パスト)
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大魔導少女の天敵

「え、ニセ魔女!? ほんとかよ、どこにいんだ!?」

「わっ、本当だ! 誰か、男の人の横に隠れてる! さすがニセ魔女、汚ったなーい!」

 

 少年の呼び声を耳にして引き返してきたその仲間達は、カイトの陰で身を強張らせるメリッサを目に留め、口々に騒ぎ始める。

 彼らはいずれも彼女に対し、獲物を見付けたような輝きが宿った眼差しを集め、純朴な悪意に満ちた揶揄(やゆ)と嘲笑を浴びせかけていた。


 少年少女達からの罵詈雑言による集中砲火に、メリッサはカイトの上着の生地を強く握り締めた後、彼の陰から勢いをつけて跳び出す。

 表へと姿を見せたメリッサに、周囲の幼い(あざけ)りの声は一層に大きさを増す。

 より激しくなる罵倒の嵐に、彼女は憤然として腰へと手を置くと、周りの包囲網を怒りに満ちた鋭い眼光で一瞥(いちべつ)した。


「うるさいうるさいっ! 嘘ばっか言ってんじゃないわよ、あんた達! 私は、別に逃げても隠れてもないし、それから本物の魔女! いい加減に覚えなさいよ、このバカ!!」

「ウソつきはそっちだろ! こないだだって、魔法を見せるとか言ってて、さっさと逃げ出したじゃないか! 魔法の使えない魔女なんて、魔女じゃないんだぞー!」

「あ、あの時は、用事があって忙しかったのよ! 私くらいの大魔術師になると、数多くの敵からいつも狙われるの! あんた達みたいな小うるさいガキンチョに構ってる暇なんて、これっぽっちもないんだから!」

「まーた、ウソついてるぅ! 本当は、本物の魔女さんの弟子だったけど、全然魔法が使えないから見捨てられたくせに! あたしのお母さんが、そう言ってたもん!」

「―っ、違う、違うわよそんなの! あれは、私の才能がとんでもなく凄いから、あの女が嫉妬して追い出したのよ! やっぱり、嘘つきの親も嘘つきね!」

「じゃあ、今ここでそのスゴイ魔法を使ってみせろよ! お前が魔法使いなら、俺達がビックリするようなことをしてみせるのなんて、簡単だろ!?」

「ぐっ……いや、今日はちょっと少し調子が悪い気がするし、それに、これからどうしても外せない大切な急ぎの予定が―」

「ほーら、やっぱりな! いつもみたいに言い訳して、さっさと逃げるつもりだろ!」

「やーい、逃げるのが得意なだけの、嘘ばっかりのチビのニセ魔女!」

「ニーセ魔女っ! ニーセ魔女っ! ニーセ魔女っ!」


 メリッサを小馬鹿にした一人の少年の発言を契機に、周りの子ども達も息を合わせ、彼女の蔑称を連呼し始める。

 手拍子を伴った彼らの大合唱に、メリッサは血の気のない形相を更に蒼白とし、両目へと憤怒の炎を燃え盛らせる。

 それでも、彼女は降ろした両手を強く握り締め、ただ小刻みに肩を震わせるだけで、何かを言い返すことも具体的な行動を示すこともなかった。


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