思わぬ支援物資
「はい、ルチアからあなたへの贈り物。あいつが持ってる分は、ここにあるので全部だって」
「え……? 本当に、俺がもらって良いのか……?」
「私に聞かれても知らないわよ、そんなこと。まあルチアの奴が言うには、あんたからもらったあの腕の付け根のおかげで、彼女がいま作っているやつがやっと完成しそうとか何とか。だから、これはそのほんのちょっとしたお礼なんですって」
「そうか……分かった、ありがとう。ありがたく受け取っておくよ」
「だっから、質問とかお礼は私じゃなくて、ルチアの方にしなさいって言ってんでしょが……」
律儀に感謝の言葉を述べるカイトに、メリッサは呆れた風に苦虫を噛み潰しつつ、手にしていたナノマシン注入器の束をぞんざいに押し付ける。
手渡されたその医療用携行必需品を、カイトはベッドの脇へと手早く並べる。
保存状態を確認すると、辛うじて二本のみは使用可能な状態を維持していた。
しかし、その他の全てはナノマシン保存容器が損壊したり、注入機器の一部が破損したりしているなど、実用には堪えない致命的な損害を受けていた。
ひとまずは現状の分で、先日のような自家中毒から機能停止に陥る危険は、当面は免れられるはずである。
しかし、鋼骸器の専門家であるというルチアの所でも、たったこれだけの数しか揃えられないとなれば、これから先の展望は、決して明るいとは言えなかった。
自分の置かれた苦しい状況を理解したカイトは、小さく肩を落として嘆息する。
唐突に陰鬱とした雰囲気を漂わせる彼に、メリッサは怪訝そうにその顔を覗き込んだ。
「どうしたのよ、変に塞ぎ込んじゃって。もしかして、そこにあるの、全滅?」
「ん……いや、大丈夫。幾つか使えないのはあるが、何本かは無事だ。おかげで、しばらくはどうにか凌ぐことができそうだ」
「そう、良かった。また前みたいに急に倒れられても、もう面倒を見るのはごめんだったし」
さほど相手を心配する様子もなく、冷淡とも受け取れる反応を示したメリッサは、傍らに置き直していた椅子へと腰を降ろす。
どこか面倒臭そうに腕と足を組み、いかにも尊大ぶった姿勢を取った彼女は、同じ位置にあるカイトの顔を探るような三白眼で睨め上げた。
「さてと、渡す物も渡したし、さっさと本題に入るわよ。あんた、自分は悪魔じゃなくて鋼骸種なんだって、前に森で話してた時に言ってわよね? もう一度聞くけど、あれ、本当なの?」




