引き裂かれた平穏
しかし、光が強まれば、影もまた濃くなるのが世界の理でした。
ある日、世界の果てから突如として、すべてを無に帰す邪悪なる神「ヴィル」が現れたのです。ヴィルが這い出た土地は枯れ果て、人々はただその圧倒的な絶望の前に震えるしかありませんでした。
「我が子を、そして愛する人間たちを渡すわけにはいかない」
アカとアオは、まだ戦う力を持たない幼いゴルドと人間たちを背に庇い、邪神ヴィルへと立ち向かいました。
戦いは天を割り、地を砕くほどの激戦となりました。アカの吐き出す紅蓮の炎がヴィルを焼き、アオの操る絶対零度の激流がヴィルの動きを止めます。しかし、邪神の力はあまりにも強大で、二匹の身体はみるみるうちに傷ついていきました。
それでも二匹は諦めませんでした。最期の力を振り絞り、アカとアオは互いの身体を重ね合わせ、火と水を融合させた一撃を放ちました。それは、世界が始まって以来の、最も美しく最も苛烈な大爆発でした。
「グオオオオッ!」
さしもの邪神ヴィルも、命を燃やし尽くした二匹の猛攻には耐えきれず、胸に消えない深手を負いました。ヴィルは苦悶の叫びを上げ、傷を癒すために、這う這うの体で闇の奥底へと退却していったのです。
世界は救われました。しかし、静まり返った戦場に残されていたのは、深手を負いながらも生き残った幼いゴルドと、すでに冷たくなって息絶えた、アカとアオの巨体でした。




