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終末の月 ~異世界転生したら仙女でした…仙女ってナニ?~  作者: 天鳥たくみ


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81 城攻略4

「ちょ、ちょっと待ってよ」

 追いつくのも大変だ。


「ルニ、この通路以外に行ける場所は無いのか」

「はい……え、と、たしかもっと下へ行く道があったはずです」

「よし、そっちへ行ってみよう」

「は、はい」


 問答無用で降りて来た階段の近くまで戻ると、たしかにもう少し細い通路が分岐している。


「あの部屋には人はいなかった。人がいるとしたら、この先かもしれん」

 ファルタはそう断言して、そちらへ進み始めた。


 行き止まりの部屋、人は居ない。

 なんとなく想像はついてしまった。

 ―――食料庫。

 それもおそらく麦の形のままの。


 ファルタがルニに見せまいとしたのもわかる。



 さほど歩かないうちに、また扉につきあたった。


 ファルタはためらいもなく開ける。

 今度は閉めることもなく、全開して中へと足を踏み入れた。


 扉の中には、かなり広い空間があり、よく見るとうずくまった人影がいくつか見える。

 部屋の広さに対して、人数は多くない。


 選別前の女性達を閉じ込めておく場所だろうか。


 ファルタは一人に近寄り、肩をゆすって声をかけた。

 だが、反応は薄い。

 うずくまった女性は顔を上げようともしない。


「ルニ」

 ファルタは小声で少女を呼ぶ

「おまえの主人はここに居るか?」

 ルニはおそるおそる部屋に入り、女性たちの顔をのぞきこむ。

 そして戻って来ると、下を向いて首を横に振った。



「そうか、残念だったな」

「どこか……どこかもっと他の場所に連れて行かれたってことはないですか」


 ファルタは答えない。


 けれど、ルニに付いて部屋をまわった私は、部屋の奥にもう一つの扉があることに気づいていた。


「あの扉は? あの奥にも部屋があるのでは?」

 私が指さすと、三人はそちらを見て一様に首を傾げた。


「扉? どこだ?」

「え、あの一番奥にあるやつ……見えない?」

「見まちがいではないですかー?」

「ウソ、あんなにはっきり見えて……」


 いや、はっきり見えすぎる。

 この暗さで、部屋に居る人々もろくに見えないのに、その奥の扉がこんなにはっきりと見えるはずがない。


 それに思い当って私は当惑した。


 その時

「シッ 誰か来る」

 ファルタが警告を発した。


「隠れる所は―――」

 辺りを見回すが、少なくともこの部屋には無い。


「こっち!」

 ダメ元で、私はルニの手を引いて走る。


 奥の扉は、相変わらず私の目にははっきり見えていて、近づくとそこには『谷』と書かれていた。


 ナニコレ?


 あ、これはアレだ。

 以前ダンジョンで見た魔方陣。


「私につかまって!」

 言うと同時に『谷』の文字に手を触れた。




 ―――まぶしい。



 今の今までほぼ暗闇の中にいたのに、ここは緑がいやという程鮮かだ。


 いや鮮かすぎる。


 目の前に拡がっていたのは、あの青麦だった。


「うわ、いやだ、これ」


 思わず後退ると、壁にぶつかった。

 ふり返って見れば壁ではなくの岩肌だ。

 そこに扉があって『新都』と書かれている。

 これもまた転移陣だ。


 私にしか見えなかった扉は、扉ではなく転移陣だったのだ。

 転移陣は、ダンジョンマスターにしか使えない。

 だから私以外には見えない。


 なるほど、ここもダンジョンの一部らしい。


 そして畑だ。


 例の麦の畑。


 食料のために生産しているのだろうか。

 それにしてもかなりの量だ。

 城にそれだけの量を必要とする程人がいたとは思えない。そしてそのための食料庫もあったはずだ。

 だとしたらこの麦は誰用のものなのか。



 麦畑の向こうにはまた崖があり、そこには洞窟が口を開けていた。左右を見れば谷間はかなり広い。

「あっちへ行ってみよう」


 なんとか一緒に転移できた三人に告げると、できる限りの速さで麦畑を通り抜け、洞窟に入る。


 そこは洞窟というより単なるトンネルで、すぐ出口だった。



 今度は本物の出口で、ダンジョンの外―――おそろしく深い谷の谷底につながっていた。


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