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終末の月 ~異世界転生したら仙女でした…仙女ってナニ?~  作者: 天鳥たくみ


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79 城攻略2

 城から少し離れた家の陰に隠れて様子を見る。


 城ではまだ夜明け前にもかかわらず、乏しい灯りで女たちが作業を続けていた。

 どんなブラック企業よ!

 ……いや、奴隷労働か。



 ルニと同年配の子供もちらほら混じっている。

 総じて若い女性であまり年配の者は見当たらない。


 人影に目をこらしていると、ファルタが動いた。


 え?


 と思う間もなく、少女を抱えて戻って来る。



 行動が速すぎて頭がついていかない。

 私が声も出せずにいるうちに

「アモ」

 と、抱えた子供をさし出した。

 ルニは動かない。

 ファルタの高速移動で気を失っているのかもしれない。


 アモは例の筆と瓶を取り出すと、少女の額に小さく何かを記した。

 それが金色に輝いて光が消えると、ルニはまばたきをして私を見つめた。


「お姉さん……」

「ルニ、大丈夫? 気分は悪くない?」

「お姉さん!」

 ルニは私にすがりついて涙をこぼし始めた。


「奥様を……奥様と坊ちゃんを探しに行かなくちゃ! お願い! お姉さん、お願いします」

 ルニは私の服を掴み、震える声で泣きすがった。


「わかった、わかったから、ルニ」

 そっと背を抱いてさすってやる。

 主人たちは、ルニにとって家族のようなものだったのかもしれない。


「静かにしてね? 必ず助けに行くから。どうやって助けるか、一緒に考えましょ」


 ルニは黙って何度もうなずいた。


 ルニを連れて、街はずれまで移動する。

 今度は普通の速度でゆっくりだ。


 考えましょうとは言ったが、何か妙案があるはずもない。

 城の内部の様子はわからないし、さすがにファルタまかせの強行突破というわけにもいかない。

 唯一、城に関して情報を持っているのはルニだ。


「奥様たちが、城のどこにいるかわかる?」

「たぶん……」


 たぶんだとしてもわかるのか。

 それはすごい。


「大体どのへんかな」

「城は、入り口から入ると、上と下に行けるようになってます」


 地下があるってことか。

 ダンジョンなら、ありそうではある。


「上の方は、王さまに選ばれた人たちが行く場所です」


 不穏な言葉が出て来た。

 『選ばれた』とは何を意味するのか!?


「王さまの家来の、猫みたいな耳のある人が居て」


 出た!

 猫耳娘!!


 マチュピチュもどきの獣人の村も、新王国の一部だったのだろうか。

 あのやる気のないダンジョンで作った半妖を連れて来てるのか。


「他にも、ウサギみたいな人とか、不思議な姿の人たちが住んでます。あと、綺麗な女の人たちです」


 綺麗な女性、は普通の人間だろうか。

 操られた女性のうち、若くて見た目の良いものだけを集めているのか。


「その王様の家来、というのは他にもいるのか?」

 突然ファルタが割って入った。


「はい。天使様って呼ばれてる羽のある人と、魔女様っていう人です」

「三人だけか?」

「はい、直接王さまとお話できるのは、その三人だけみたいです。あたしたちに王様の命令を伝えるのも、その人たちです」


「なるほど、ゴーレムは三体だな。あと戦力といえるのは」

「もしかしたら、あの虫もいるかも……」

「わざわざ別にダンジョンを作っているくらいだから、ここにはいないんじゃないか」


「そうか……ねえ、城の中に男の人はいないの?」


「ほとんどいません。男の人は皆、谷へ連れて行かれます。見張りの兵士の人が何人かいるだけです。……そういえば何日か前、兵士の人が何かをお城に運び込んでいたって話を聞きました」


 それってアカネ王子じゃないのか。


 ルニ、有能すぎる。

 操られてはいても、女たちに全く自由意志が無いわけでも、記憶が無いわけでもないらしい。

 操作されているのは、感情だけなのか。


「ねえ、アモ。ルニが操られていた方法は、どんなものだったの?」


「魅了ですねー」

「出た、魅了ッ!」

「出た?」

「そこはつっこまないで。ファルタ。おそらく新王国王は魅了で女を操り、魅了にかからない男たちは暴力で支配している。城に女ばかり集めてハーレム気どりなのよ」


 いかにも厨二の考えそうなことだ。もしかしたら本人は、魅了の力に気づいていないかもしれないまである。

 単に、女性たちが自分を好きになっただけ……とか思っているかも。

 思ってそう。


 そもそも喜んでハーレムに参加する女なんて、いるわけがない。

 ハーレムなんて現実的にはほぼ金銭的関係だし、女が愛してるのは男じゃなく金だ。


 そして十分な金銭的見返りが保証されない場合起きるのは、女たちの間での地位争奪戦だ。

 よく寵愛を争うなどというが、争っているのは地位であって愛ではない。


 その辺、だいたい男はカン違いしている。

 複数の妻が仲良くするなどという夢物語は、およそ女たちにあるのが金への愛だけの場合しか成り立たない。

 女は金にうるさい生き物なのだ。


 魅了の魔法は、『悪役令嬢ざまあモノ」なんかのラノベでよくヒロインが使う設定があるけれど、男主人公ハーレムものだって現実的に考えれば魅了アリアリだろう。

 そういう主人公はなぜか超絶美形じゃないし、なんで顔の良くない男が女にもてると思えるのか。

 俺Tueeeだけでは女にとってはとても魅力的とはいいかねる。

 せめて超絶美形にしておけ。


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