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終末の月 ~異世界転生したら仙女でした…仙女ってナニ?~  作者: 天鳥たくみ


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57 デェッツェンのダンジョン2

「待って待って待ってーっ!!」


 声と共にラスボス部屋に走り込んで来たのは、小柄な青年だった。


「ごめん、お願いだからそれ以上攻撃しないでくれ」

 青年は叫びながらファルタと巨人の間に入る。両腕を拡げて、巨人を守る体勢だ。


「あなた誰?」

 声をかけたのは私。

 ファルタは剣を構えたまま、うさんくさげに男を見やっている。


「僕はここのダンジョンマスターだ。頼むから剣を収めてくれないか」


 ダンジョンマスターキターーー!

 てか、そんな簡単に人前に出て来ていいものなの?


「ダンジョンマスター? このダンジョンを作った?」


「そう、オタクは竜人族だろう? なんてこった。よりによってウチに来るなんて」


「あぁ?」

 ファルタは少年マンガの悪役のようにすごんだ。


「あっ、す、すみません、失礼しました。竜人族の方ですよね。お強いことは理解してます。これ以上ダンジョンを破壊されると、ホント困るんです。今でも修復にかかるポイントの事を考えると頭が痛い……いや、申し訳ありません。非常に勝手なお願いだとはわかっていますが、どうか、ここまでで退いて頂けないでしょうか。もちろん無料(ただ)とは言いません。宝箱用に用意した宝玉をお渡しします」


 青年はどこぞの営業よろしくぺこぺこと頭を下げながらすごい勢いで嘆願した。


 彼の事情は、なんとなく察せられた。

 彼の容姿が、懐しい日本の国民そのものだったせいもあって、私は彼に同情的になった。


「あなた、ダンジョンマスターってことは、もしかして転生者なの?」


 青年はきょとんと目を見開き、視線をファルタから私に移した。


「えーっと、貴女もダンジョンマスターですか?」

 彼は不審そうな目で私を上から下まで眺めまわして問いかけてきた。


 それはそうかもしれない..

 彼の容姿がまんま日本人なのに比べて、私は金髪碧眼の人形みたいなゴスロリ少女だ。


「マスターなのに外を出歩いてる? ……どうなってるんだ」

 後半はひとりごとっぽくなった。


「私はちょっと特殊な例らしいから。峨山の仙女って知ってる?」

「あー、聞いた事はある……かも。塔の魔女って呼ばれてるダンジョンマスターだよね」


 なんか一気に慣れ慣れしくなった。

 まあ、気取って話すのも面倒だし、良しとしよう


「そうそれ。でも私、つい最近召喚されたばっかりで、この世界の事ほとんどわからないのよね。できたらいろいろ教えてくれないかな」


「なるほど。僕の知ってる範囲でなら答えますよ。と言ってもダンジョンマスターは基本ダンジョンから出られないので、噂話とか人伝てに聞いた事が多くなるけど」


「ファルタ、私ちょっとこの人と話したいんだけど、いいかな」

「サヤがそう言うなら、必要な事なのだろう。私はかまわん」

「じゃあ、その辺で休んでて」


 私はとりあえずファルタを遠ざける。


 ファルタが剣を収めないので、ダンジョンマスターの青年はずっとびくびくしているのだ。

 よっぽどこのボスキャラが大切らしい。


 ファルタが下がると、彼は目に見えて安心した。

「ボスキャラ作るのって、難しいの?」

「それは人によるなあ。あんまりこだわりなくテンプレなのしか置かない人もいるし。僕は一番力をいれてるけど」

「ダンジョンマスターは全員転生者?」

「おそらく。最初はダンジョンコアしかない部屋に転生させられて、コアと相談しながらダンジョンを造っていく」


「日本人だけ?」

「それはわからない。君は日本人なのか? 見かけはそうは見えないけど」

「中身は日本人です。なんかこの身体は代々の仙女が使いまわしてるらしい」

「身体の使いまわし……それは、他のダンジョンマスターとはだいぶ違うね。ああ、言い遅れたけど、僕は門倉ゴローです。よろしく」


「私のことはサヤって呼んで。ダンジョンって、いくつくらいあるの」

「それもわからないな……比較的近くのマスターとは、連絡がとれたりもするんだけど、遠くの事は知る術もないし、マスターの仕事はけっこう忙しいから、あまり他の事を考える余裕もないんだ」


 もしかしたら、ふられた役割(ロール)によって感情に制限がかかってたりするのかもしれない。

 ゾッとするような話だけれど。

 ファルタとの初対面でいきなり『盟約がなんとか』と言い放った自分のことを思い出す。

 しかしその辺は聞いても仕方ないことだ。


「新王国って知ってる?」

「ああ、最近覇権とってるって噂のアイツな。アレも転生者じゃないかって言われてる」


「え? 王様が?」

「そう。なんかやり口が転生者っぽいって。王都では魔導機械なんかも造ってるらしい」

「東にある湾市と戦争してるんでしょ? 湾市にも転生者がいるの?」

「いやー。あっちはまた別口じゃないかな。皇国とか名告りだしたのは最近でキナ臭いけど、あそこはずっと古くからの超文明の末裔って言われてるし」


「飛空艇とかあるのよね」

「らしいね、僕は見た事ないけど」

「なんで戦争してるか知ってる?」

「大峡谷の向こうでやってるんだろう? おおかた、最新の竜骸を争ってるんじゃないかな」

「ああ……竜骸か」

「竜骸は資源の山だからね。ダンジョンは地の魔力を使って形成されていくから、他のエネルギー源を必要としないけど。まあだいたいの戦争はエネルギー争奪戦だよね」


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