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終末の月 ~異世界転生したら仙女でした…仙女ってナニ?~  作者: 天鳥たくみ


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34 いろいろ衝撃の展開

「じゃあそうしましょうー」

 アモは賛成し、ファルタは無言。無言は反対しないということのようだ。


「今日は早めに寝て、明日早く出発しますー。次の町がちょっと遠いので」

「朝食はどうする」

 とファルタ。

「町で買いましょう。早く発つ人は結構いるはずですからーきっと屋台が出てます」

「いいだろう」


 早速食事の心配か。

 私はファルタに呆れる。

 まだお腹いっぱいで苦しいくらいなのに。

 頭にご飯がつまってるんじゃないかな、この人。

 顔は良いのに、残念すぎる。


 ほんとに顔は良いのだ。窓から差し込む陽に透ける紺青の髪。凜々しいとしか言いようのない顔立ち。複雑な色を宿した瞳。

 すらりとした長身なのに、海賊の誰ひとり逆らえなかったくらい強い。

 まさにゲームキャラそのものだ。


 その時私は気づいた。

 もっと早く気づいて然るべきだったと思うけれど、昨日はここに着くなりバッタリだったし、宿の手配とかずっとアモの仕切りに任せていたから疑問に思わなかったのもある。

 けれど―――

 これってこの世界の標準なのだろうか。


 大部屋雑魚寝みたいなのならともかく、そこそこ高級な宿で家族でもない男女が一つ部屋ってありなの?


 この部屋にはベッドが四台ある。ファミリーユース的なものなのだろう。

 で、そのうちの三台にそれぞれが座って話をしている。荷物も置かれている。椅子やテーブルは無いからだ。

 どう見てもファルタの部屋が別にあるようには思えないのだが。


「ファルタの部屋は別じゃないの?」

 思い切って聞いてみた。


「宿代のことですかー?」

 勘違いされたらしい。

「二部屋にすると高くなりますからー。食事代は食べた分だけきっちり割りますよー」

 確かにそれも心配だけど。


「そうじゃなくて……ほら、アモだって若い女性だし、その、男性と同じ部屋っていうのは」


「は?」「え?」

 二人の声がハモった。


 すごく吃驚した顔で見られてるんですけど。

 そんなに変なこと言ったかな。


「私は女だが」


 言ってましたーーーーっっっ


「ご、ごめんなさいっ」

 ベッドの上で土下座状態。平謝りだ。


 今の今まで男性だと思い込んでましたっ。

 だって、あの銀髪のデカい男―――あれは絶対男。胸部分がかなり露出した服着てたから―――と対等にやりあってたし、見た目も声も中性的だけどどっちかというと男性寄りだよ。

 むしろなんでアモがすぐ分かったのかが謎。


「名前聞いたらわかりますよねー」


 疑問氷解。

 でもファルタって確定的女性名なの!?

 花子とかそういう感じなわけ?

 それは私にはわからんわ……


「わかればいい」


 ファルタはあっさり赦してくれた。


 変な汗かいたわー。

 それにしてもこれで女か。

 竜人族っていうのはあまり性差が無いものなのかな。

 ファンタジーだ……



「そうだ、サヤ」

 心を明後日に飛ばしていた私に、ファルタが呼びかける。

「はい?」

「これは貴女のものだろう?」

 そう言いながらファルタが懐から出したのは。


 あの塔で目覚めた時見つからなかった―――


 スマホだった。


 あまりの衝撃に、ぎゃーとかわーとか変な声を上げてしまった。


 スマホ!?

 今頃になってスマホが出てくる?

 ていうか、使えるの、これ。


 ファルタの手からスマホをひったくって電源を入れる。

 おなじみの起動画面が出て、ホームが起ち上がる。


 動いたよ!


 感動で涙が出そうだ。

 この世界にもずいぶん馴染んできたと思っていたけれど、こんなにも元の世界のものが懐かしい。

 どうしても戻りたいわけではない。

 それでも私はここでは異邦人だ。

 違う文化、違う技術、違う常識の世界で生まれ育った。

 その世界の象徴みたいなモノが出てくるなんて。


 しかも起動するとは。


 メーラー起ち上げてみる。

 過去のメールは残っていたけれど、新しく受信はできない。

 ぐぐる開いてみる。

 適当に検索入れても、やっぱりネットには繋がらない。当然か。


 地図を開いてみる。

 おお、開いたよ。

 現在地―――


 新宿駅構内かよ!


 使えない……


 カメラはどうだ。

 ファルタを撮ってみる。

 撮れてるよ。写真にすると美形が際立つわー。


「それ、なんですかー」

 アモが覗き込んできた。


「写真」

 と言って画面を見せる。


 アモは首をかしげた。

「これ、なんでできてるんですかねー。石ですか」


「え……、これ、見えない?」

「仙女さまにだけ何か見えるマジックアイテムですか」


 そうなのか。他の人には見えないのか。

 それだと私の記憶用くらいしか役立たない。

 おそらくだけど、録画や録音も私しか閲覧できないだろう。


 懐かしいものはたくさん入っているけれど、この世界で使えそうな機能は無いらしい。

 それも充電が切れたらお終いだ。

 盛り上がった気分が急降下する。


「ありがとう、ファルタ。持ってきてくれて。凄く大切なものだったから嬉しい」

 涙声になった。

「いや、あの部屋に落ちていたから貴女のものだろうと思って」

 凄いな。あの状況で落ちてたスマホを拾う余裕があったとは。さすがすぎる。


 ファルタには吃驚させられてばかりだ。


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