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第二章 幕間

生存報告。

短いですが大事な場面。

「ハロルド・アルテラド。今回はその男について話したいことがあったため君を呼んだ。機密情報に触れる内容のため本当に詳しい内容は話せない。しかし、今後非常に重要な役割を担う可能性が高い。アーゴン中尉、これを踏まえた上で聞いてもらう」


「了解です。グリッドマン大佐」


「よろしい。君の小隊にその男を配置することが決定した。文書でも報告がされていると思うが、それだけでは伝えられない情報及び任務を君に教える」


「文書での確認は既に済ませてありますが、それほど細心の注意を払う必要がある人物ということでしょうか」


「そうだ。厄介な火種ともいえる。とにかく、内容としては彼の監視及びこちらが派遣したもう一人の工作員以外との友好関係の断絶にある。作戦が終了するまでの間、君たちの小隊で訓練をしつつ彼を監視してほしい。そして、派遣した工作員以外は彼と友好関係を構築してはならない。この二点だ」


「彼を孤立させるということでしょうか」


「いじめまがいのことをして完全に孤立させるわけではない。周囲に馴染めなくする程度で良い。彼の立場上、彼が持っている情報は出し渋られる可能性が高い。国防上、時間が掛かることは避けたいのだ。だから、彼が頼れる人物を意図的に作り上げる。それが今回の目的だ」


「だから、私の部隊にはもう一人追加されるわけなのですね」


「工作員には部隊に元々いたように振舞うよう指示してある。君もそのつもりで彼を使ってほしい。加えて、他の部隊員にもこの情報を周知させ徹底させろ」


「了解しました。救出作戦が展開される前後までその二点を徹底させましょう。しかし、彼は国防に重大な影響を与えるほどの人物なのですか? 資料を見るには年齢が若い以外特筆した点が見られませんが」


「資料に書けないこともあるからな。詳しくは言えないが彼はかなりの実力者。兵士単体として見れば、前線に出て使い潰すような役割を与えるには惜しいくらいだ。隊長である君の立場からすれば、良い人材が手に入ったと思うかもしれない。彼としてもこの国で立場を築くため、その腕を存分に活かそうと考えるだろう。だが、そこで利害の一致を見せてはいけない。先ほども言ったが彼は国防において重要な役割を担う。そして、その詳細が明らかになればなるほど彼の価値は増していく。我々はそれをみすみす見逃すわけにはいかないのだ」


「了解しました。気を引き締めて作戦に当たりましょう。話は変わりますが、救出作戦において彼を使うことはあるのでしょうか。また、どの程度の活躍を見込んでいるのですか」


「状況次第だが、使えるのなら使いたい。彼の腕が立つのは分かっているが、どの程度か把握できていないのも実情だ。そのため、訓練などは手加減を加えることなく通常通りで問題ない。むしろ、彼の全力を引き出せるよう工夫してもらいたい。活躍としては対象を保護する役回りを考えている。無論、それができそうにないならば別の案を使うが、方針としては一隊員として作戦に終始従事してもらう。そのため、訓練内容はそちらで決めてくれて構わない」


「了解しました」


「それと報告書の提出は二日に一度行い、その日の消灯時間に回収する。その際は回収員を向かわせるからその者に預けてくれ」


「一つ気になることがあるのですが、よろしいでしょうか?」


「何だ、言ってみろ」


「今回の件は国防に関わる内容と仰っていましたが、それは現在起きているルダティアとトリトンの衝突絡みでしょうか。それとも、ノルディラムにも関わっているのでしょうか?」


「……機密に関わるため話せない。だが、良い着眼点はしている。これからの趨勢を見越すにはしっかりとした目利きだ」


「いえ、それほどのことは……」


「そうだな、これだけは言える。時代が新たになり戦争そのものが変わると。今、我々は時代の転換点に立っているのかもしれない」


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