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【W/S】―世界終焉の物語は学園生活とともに―  作者: 灰土おやつ
第一の巡礼 悠久原生世界_エイヴス
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78.特別な依頼

 アトモス学園に帰還し、依頼掲示室へ直行したオレたちは、フィンクスさんにレア素材の獲得を報告した。

 希少な魔物はランクに関係なく滅多にお目に掛かれない存在なので、ゴールドスクワールの毛皮を目の前にしたフィンクスさんは物珍しそうにしげしげと眺め、


「はぁー、見事な一品やねェ」


 と嘆息を吐くのだった。


「レアモンスター言うたら、何年イマジネーターやってても出会われへん人もおるし、君ら運ええんとちゃう?」

「そんなもんなんですか。評点も一ポイントくらいですし、フィンクスさんが驚くほどとは思ってなかったな」

「低ランクやからそれはしゃあない。高ランクで見つけられたらそれこそ血眼になって探すっちゅうもんやね」

「……ちなみにどれくらい貰えます?」

「そこに貼り出されてるアレ、三ツ星ランクのレア素材やけど……見てみ、一万ペンドって書いてるやろ」

「わお……」


 ルカが思わず驚きの声を上げる。

 魔物を一体倒すだけで、オレたちだと一人あたり二千ペンドの臨時収入か。

 そこまでいくと確かに凄い。


「ま、今回のコレも貴重なもんには違いない。おめでとうさん、五人とも」

「えへへ、ありがとうございます」


 フィンクスさんからの祝いの言葉に、イオナがペコリと頭を下げる。


「新入生の評価レースも頭一つ抜けてる感じやね。……で、そんな君らにちょいとニュースがあるんやけど?」

「ニュース?」


 フィンクスさんの方から話を振られるとは思っていなかったので、オレはオウム返しに聞いてしまう。

 彼はそうやと頷くと、


「実はちょっと前に特殊な依頼が入って来てねェ。その条件って言うんが『新入生の中で評点トップのチーム』ってなってるんよ」

「はい?」


 やけに具体的というか、学園内の成績が条件にされるようなもんなのか。

 そりゃあ、依頼主からすれば成績が良いなら腕もいいだろうって気持ちなのかもしれないが……ちょっと外部の人にしては事情に詳しいような。


「それ、依頼主は?」


 エスカーも依頼主の素性が気になったのか、口元に手を当てながらフィンクスさんに訊ねる。


「ヒミツ。……いや、冗談やなくてね。事情があって伏せられてるみたいやねェ」

「……なんか、怪し過ぎない?」


 ルカが眉間にしわを寄せ、露骨に嫌そうな顔をする。

 ただ、彼女の心配は尤もだ。依頼主を明かさない依頼というのはちょっと信頼性に欠ける。

 いくら新入生といえども、オレたちは依頼を請ける当事者だ。仕事はちゃんと選ぶべきだろう。


「まずは内容を聞かせてもらえませんか?」

「そうやね。依頼内容はごくシンプルで、魔物一体の討伐。場所はワールドスクリプト:エイヴス……友好世界として認定されてるところの一つやね」

「魔物一体……」


 当然初めて向かう場所だが、友好世界というなら任務地点は特に問題ない。

 なら、先のゴールドスクワールのように珍しかったり、或いはとても凶暴な個体を倒すようなものなんだろうか。


「生態系に異常を及ぼす特殊個体、というのがこの依頼の討伐目標や。名前が出てへんけど、見つけられたらコイツやと分かるレベルの奴やて。報酬は六千ペンド、それに評点も三ポイントプラスやね」

「ううん……対価は魅力的だけど、謎の多い依頼だね」


 イオナが唸る。……オレとしても材料が少なく、判断に迷ってしまう内容だ。

 どちらかと言えば不安要素が多いし、保留するか遠慮しておいてもいいかなと思ってしまうのだが。


「……せやねえ、ボクから言える範囲でのことで申し訳ないけど、依頼主が信頼出来る人なんは間違いないよ。この依頼形式の意図を聞いてるワケやないから、ボクとしてもハッキリしたことは分からんけども……多分これ、試されてるんちゃうかなァ」

「試されてる?」

「君らの実力をね」


 オレたちの実力を試す、か。

 依頼主の目的がそれで、尚且つフィンクスさんが信頼出来ると評する人。さらに言えば、その人はアトモス学園の内情に詳しい……。

 ……まさかとは思うが、コーネリア校長だったりしないだろうな。


「……はあ、分かりました。フィンクスさんが信頼出来る人って言うんなら、その依頼受けてみますよ。実は今後の評価に影響してるとかだったら怖いですし」

「おっ、そら良かった。まあ請けといて損はないと思うから。危ない魔物やっちゅうんで急ぎの依頼ではあるけど、今日はもう遅いから明日以降にやってくれたらええよ」

「そうですね。今日はもう十分頑張ったんで、明日にでも頑張ってみようかと」


 一日に二度も遠征するのは時間的にも体力的にも無理がある。

 今日のところはしっかり休み、明日万全な状態でその危ない魔物とやらに対処すべきだろう。


「そしたら受注ってことで処理しとくわ。……依頼主さんも喜んでる思うで」

「はは……どこのどなたかは知りませんけどね」


 果たして自分の想像が合ってるのかどうか。少なくとも、学園関係者っぽい気はするのだけど。


「そしたら、今日のところはお疲れさん。次も頑張りや、個人的にも君らのことは応援してんでェ」

「プレッシャーだなあ……ま、頑張って評点トップは維持したいとこですよ。それじゃまた」


 報酬の受取から新たな依頼の受注まで全て済ませ、オレたちはフィンクスさんに別れを告げて依頼掲示室を出る。

 ……異世界エイヴスで特殊個体の討伐か。奇妙な依頼が舞い込んできたものだが、とにかく全力でやるだけだ。

 期待されている以上、なるべくはそれに応えたいものな。


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