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【W/S】―世界終焉の物語は学園生活とともに―  作者: 灰土おやつ
巡礼の支度 想造育成機関_アトモス学園
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37.オリエンテーション⑧

『……ダインさんって変な人ですね』


 テスタマイザーから、マルの溜め息交じりの声がする。

 彼女はどちらかと言えば性悪説に寄った考え方なようだ。


「ハハ、言えてる。でも、自分じゃ出せない判断を下してくれるのは面白いよ」

「って、それ馬鹿にしてねえか?」

「さてね」


 否定しない以上馬鹿にしてると言っているようなものなんだが……やっぱヤな性格してるな、エスカーの奴。


「けどダイン、現状だとヒントは全部揃ってないし、まだ幾つかのチームに声を掛けないとダメってことになるよね」

「安全策を取るとしたら、そうなるだろうな」


 明確な答えを知りたいのなら、ヒントを全部集めた方が良いに決まっている。

 ただ、ある程度の目途を付けることはこの段階でも可能だった。


「このオリエンテーション、新入生は九チームに分けられた。この九チームにヒント用紙も綺麗に分割されるとしたら、パターンは二通りだけになる」

「……三か九、ですねえ」

「ああ。フェイの言うようにそのどっちかだ。ただしヒントが九分割されてるなんてのは難し過ぎる。現実的なのは三枚のヒントが三分割されて各チームにって方だろう」


 チーム毎にヒントが全て違っていたら、単純に問題として難題な上にほぼ全チームが足並みを揃えなくちゃならないし、そこまでの統率は期待していないように思う。

 ばったり出会った者同士が協力し合えるかどうか。求めているのはそれくらいのはずだ。


「そして仮にヒントが三つと置くと、残るは最後の一節だけ。オレとバランのチームがかなり具体的な地点について書かれているとなると……?」

「ううん……その二地点を絡めた文章になってるとか?」


 ルカの言葉に、オレは頷いた。


「一番可能性がありそうなのは、こんな感じじゃねえかな。『二つの色が交わる場所』……とかさ」

「はー、なるほどなあ……」


 エステルちゃんが感嘆の声を上げる。

 どうやら皆も納得はしてくれたようだ。


「拙者も、ダイン殿の説に異存はないでござる。ここは一度向かってみるのが良いのでは」

「俺もよく分かってないから賛成!」

「ウチもそうしたいけど。リーダーがどうするかやね?」


 そう言って、エステルちゃんはバランの方を見やる。始終視線を逸らしていた彼だが、


「……構わん。行くなら行くぞ」

「やってさ。おおきにな、ダインくん」

「別のヒントを見られたおかげだからな、正当な対価と思ってくれたらいいさ」


 これで順位が下がるわけでもない、こちらにデメリットはないことだ。


『森林にあるリンゴの木と平原の池の中間点、でしたね。池の場所は小さいながら元々マップに表示されていたので、二つを繋いだ真ん中の地点を算出してみましたよ』


 マルが淡々と言うと、マップ画面が更新されて説明通りの場所に赤い点が表示される。

 短い会話の間にこれをやってくれるとは、仕事の出来る子だ。


『向こうの方でレメディオさん? はぼんやりしてますけど……あの子大丈夫なんです?』

「さあ……そっとしといてやろう」


 レメディオの方は、バランとともに戦意喪失か。オペレーターとしても先が思いやられるな。

 バラン以外のメンバーが少し可哀想になってくる。


「マルがさっと目印を付けてくれたことだし、早速行ってみよう。駄目ならそこでまた考えればいいさ」


 全員、特に反論はなく、オレたちは大所帯になってぞろぞろと移動を開始する。

 これを他のチームが見たなら何事かと思うだろうな、と心の中で笑った。

 現在地がリンゴの木がある場所なので、北東の方角へとオレたちは進む。

 森を抜け、平原を真っ直ぐ歩き、そのまま十分と少し。間もなく二つのヒントの交点だ。


「何もないねえー」

「こんなとこ、ヒント無しじゃ絶対に探さないだろうなあ……」


 エスカーとルカがそれぞれ呟く。実際、この周辺は殺風景もいいところだ。

 探すべき地点もないように思えるが……少し大きめの石とか、背の高い草花の生えている辺りとかか?


「なあ、アレちょっと怪しくない?」


 テッドくんが指さした先。そこには大きめの倒木があった。この辺りではそれなりに目立つものだ。

 オレたちは横たわっているその木のところまで近寄り、付近を探ってみた。

 ……すると。


「あっ、これじゃない!?」


 木の根元を調べていたイオナが大声を上げる。

 皆が一斉に彼女の元へと集まり、その指し示す場所を覗き見た。


「本当だ……」

「これが合格証……」


 そこには、鉄製のバッジのようなものが無造作に置かれていた。

 持ってみると、掌にちょうど収まるくらいのサイズ。表面にはアトモス学園とイマジネーターを象徴する本とペンのマークが刻まれている。

 合格証の数は……九枚。ということは、全チーム一枚ずつ用意されている上で、オレたちが一番乗りということになるのだろう。


「はあ……あって良かったぜ。これでハズレだったら恥ずかし過ぎるからな」

「ハハ、迷推理にならなくて良かったねえ。実際、見事なものだったんじゃない」

「はいはい、褒めてくれて嬉しいよ」


 やや皮肉めいているが、エスカーが褒めてくれるなら正直な感想なんだろう。そう受け取っておく。

 何にしたって、これでオレたちは無事に合格証を手に入れられたわけだ。


「周りに他のチームはいないけど、集まってるところを見られたら怪しまれそうだし、さっさと拠点へ戻るとするか」

「そうですね。行きましょうか」


 エレンちゃんが頷き、他のメンバーも同様に賛同する。

 ということで、オレたちは再び長い隊列を作って、今度は拠点を目指すのであった。


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