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【W/S】―世界終焉の物語は学園生活とともに―  作者: 灰土おやつ
巡礼の支度 想造育成機関_アトモス学園
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22.不可思議な能力

 ダイン=アグナス 年齢:15 性別:男性

 想造能力:門を開く者(アルニオン)  ……練度:E

      心象世界における門を通し、繋いだ力を発現させる。

 

 体力値    ……178 D

 魔力値    ……128 E

 想造値    ……*** 測定不能

 攻撃値    ……164 D

 魔法攻撃値  ……135 E

 防御値    ……157 D

 魔法耐性値  ……143 E

 敏捷値    ……161 D


 限定リミテッドスキル:再臨 他者の能力を再現する。一度の使用で再臨は消失する。

        七化ななばけ 用いる武器によって能力値が変化する。


 特性:闇耐性S


 能力総合ランク:D(要検証)


「測定不能……」


 他の能力値については細かく数値が表示されている――全てDかEなので、やはりコーネリア校長はとんでもなかったようだ――のだが、想造値という項目だけは値が出ていない。

 たまにあることなのか、やり直せば修正されるのかとも思ったが、


『おかしいですね……過去にこういうことは一度もなくって』


 と言われたので、どうやらかなり異例の事態らしい。


「まず、想造値って具体的にどういうものなんです? 他は何となく分かりますけど」

『はい。想造値というのはですね、勘違いされ易いのですが、単純にイマジネート能力の強さというわけではないんです。もちろん能力の強さに影響はするんですが、最終的な強さというのは能力の練度、想造値、攻撃値、魔法攻撃値の複合によって決定される感じですね。想造値単体ではどのような意味を持つのか分かりやすく言うと、心象世界における限界容量……といったところでしょうか』


 限界容量……分かるようなそうでもないような。

 容量、という言葉から連想するならカバンとか飲み物のボトルとか、そういう『容れ物』をイメージするが。


『その認識で合っていますよ。極端な例えをしますが、攻撃値や魔法攻撃値が500もある人がいたとして、想造値が300だったとしましょう。この場合、イマジネート能力で攻撃しても300以上の力は発揮出来ないんです。強力な闘技スキル魔法スペルを使った方がダメージが高い、ということになりますね』

「その器の限度までしかイマジネートでの力を発揮出来ない、か。なるほど……」

『逆に、攻撃値と魔法攻撃値が300、想造値が500の人がいた場合。イマジネート能力が攻撃と魔法、両方の値によって威力が増すようなものなら、500のダメージを出すことが可能ということになります。単純に言えば、ですけどね』


 闘技や魔法だと、両方の能力値を参照するものは無いに等しそうだし、後で説明してくれた方ならイマジネート能力が真価を発揮出来る、というわけだ。

 無論、単純に言えばと注釈を入れてくれたように、環境条件やら何やらでも威力は変化するだろうから、全てがこうだと決めつけられるものではなさそうだが。


『それが測定不能というのは……やっぱり、装置の誤作動かもしれません。もう一度だけ計測させてください』


 オレにとっても不明点があると困るし、可能な限りは正確な情報がほしい。

 ということでもう一度同じように測定し直してもらったのだが、結果は一度目と変わらず想造値が測定不能のままだった。


「うーん……変わらないのか。担当者としてはどう思います?」

『考えられる説としては幾つか。まず、やはり装置が壊れてしまっている可能性。でもこれは他の生徒さんを普通に測定出来てますし、後の生徒さんも測れるなら有り得なさそうだと。もう一つは、ダインさんの想造値がリアルタイムで変動するようなものだという可能性。想造値は心の力ですから、もしかしたら常に移ろうような人がいても変じゃないのかな、とは。見たことはないですけどね。そして最後は……』


 これも有り得なさそうなんですが、と前置きしてから事務員の女性は答えた。


『……ダインさんの想造値が、計測出来る限界を超えている場合ですね』

「……ああ……」


 確かに、常識的に考えて有り得なさそうではある。こういうエラーが一度も起きてないなら、どんなイマジネーターだってこの装置が計測できる範囲内に力が収まっているということ。

 それを、オレみたいな新入生が軽く突破するなんて、百人いたら百人が無いと言い切るだろう……多分。


『妥当なのは二つ目の説かな、とは。もちろん、ハッキリと言えるようなことじゃないですけれど……申し訳ないです、曖昧な結果になってしまって』

「いえ、今までに無かったようなことじゃ仕方ないですよ。そのうちきちんと計測出来る日が来ればいいなと思っておきます」


 テスタマイザーには簡易的な測定機能も入っている。こまめに計測していれば、変動が落ち着いているときに数値が分かる……なんてこともあるかもしれない。


『ありがとうございます。想造値の他は、新入生としてはまずまずの水準でしょう。ダインさんはどちらかと言えば魔法よりも物理攻撃よりのステータスで、Dランクに到達している項目も多くて平均よりは少し高めかなと。特殊なのはむしろイマジネート能力に限定スキル、特性の項目が全て不思議なところですね』

「不思議……と言うと?」

『ええと、すいません。まずイマジネート能力の説明が曖昧でして。剣を出せる人なら剣を召喚する、なんて説明になるものなんですが、ダインさんの力は門を通して力を発現させる、と……それが何の力かという記載がないんです』


 ……言われてみるとその通りだ。黒い霧を生み出すとか、それを好きな形に変えられるとか、そういう記載があれば納得なのだが、オレの能力説明は具体的なところが何も書かれていない。

 まるで門の向こうにあるのが、黒い霧だけじゃないようにも思える……。


『能力を使い続けて練度を上げていくうち、内容が強化されていく人も沢山います。なので、ダインさんもそういうタイプかもしれません』

「練度が上がればもっと詳細になるかも、か。とりあえずは使い続けて様子見するっきゃないかね」


 これも想造値への対応と同じになりそうだ。ただ、イマジネート能力はテスタマイザーで詳細を見られないため、成長の都度ここで測定して貰わないといけなさそうだが。


『それから、特性は名前の通りその人が持つ特別な性質なのですが、闇耐性が最上級であるSランクというのが高過ぎます。これだと闇属性の攻撃はほとんど受け付けないということになってしまうので……』

「でも、特段訓練して身に付けたとかでもないんですよ。生まれつきとかってあり得ます?」

『今まで見たことはないですが……まあ、ゼロとは言えませんよ、流石に』

「そりゃそうか」


 今まで無かったからと言って、じゃあ絶対にあり得ないとも言えない。これは天性の才能とでも思っておく方がいいか。

 ……あの悪夢に耐性をつけられた、というのも考えられはするが、原理が分からないしな。


『そして最後……限定スキルというのは、イマジネート能力の補助的なものとして大抵の人に備わっているものなんですが、こちらもかなり異様です。まず、一度使えば消えるスキルというのはデメリットが大きすぎる』


 この、再臨というヤツか……誰かの能力を使えるのは魅力だが、それ以降このスキルが二度と使えないならあまりに損失が大きい。いつこの切り札を切ればいいんだ、という風になりそうだ。

 ……他のイマジネーターは、こういう使い切りのスキルなんて出ないということなのか。


『ええ、使い切りスキルなんて初めてです。もう一つの七化というスキルだって非常に珍しいですよ。攻守のバランスを切り替えるようなスキルは見たことがありますが、武器によって能力値が変わるというのは柔軟過ぎます。盾役、斬り込み役、魔法攻撃役から、回復補助まで出来る素地があるということなんですから』

「そう聞くと、なるほど……七化は凄い優秀に見えますね」


 何ともちぐはぐなスキルバランスだ。片や非常にリスキーで、片や非常に万能。……むしろ、だからこそバランスがとれているのか?


『スキルが一つだけって人も多いですし、リスキーなものと使い易いもの、二つで丁度良くなっているのかもしれませんが……いや、私が見てきた中でこれほど不思議な方はいませんよ』

「それ、褒められてます?」

『ええ、凄いと思っています。ダインさんがこれからどのように成長していくのか、これを見たら気にならない人はいないでしょう』

「……ん-、ありがとうございます」


 どのように成長していくのか、か。そりゃあ、どんどん強くなっていきたいという単純な気持ちではあるのだが。

 イマジネート能力の全貌も見えず、想造値も特定出来ず、補助スキルは奇妙不可思議。……うん、あまりスッキリする測定にはならなかったな。

 オレにはまだまだとんでもない伸びしろがある……くらいポジティブに考えておくことにしよう。そう無理やり結論付けて、オレは事務員の女性に謝意を告げ、測定区画を後にするのだった。


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